JR東日本がハチ公改札を移設します。東京メトロ半蔵門線・東急田園都市線との乗り換えが不便になりそうですが、どう対応したらいいのでしょうか。
ハチ公前広場前の改札口を閉鎖
JR東日本は、渋谷駅改良工事で、2025年1月26日にハチ公改札を移転することを明らかにしました。
現在のハチ公前広場に面した改札口を全て廃止し、宮益坂口との間の自由通路に面した位置に移転します。
また、しぶちかにつながる階段も閉鎖します。
新改札口は、現在の自由通路に面した改札口の、向かって左側付近にできます。
乗り換え動線が長く
これにより、大きな影響を受けるのが、JR線と東京メトロ半蔵門線、東急田園都市線との乗り換えです。
これまでは、JRハチ公改札を出ると、目の前にあるしぶちかへの階段に降りれば、スムーズに半蔵門・田園都市線ホームに至りました。
しかし、改札移転により、このルートは使えなくなります。同様のルートをたどるなら、新改札口から自由通路を経てハチ公前広場にいたり、広場にあるA8出口の大階段を使って地下に降りなければなりません。
これまでより、動線はかなり長くなります。Googleマップでざっと測ると、新ハチ公改札から、A8出口の階段まで、約60mもあります。
B7出入口が代替に?
代替となるのは、東口広場にあるB7出入口でしょう。新ハチ公改札からは20mほどで地下に降りる階段に到達します。
ただ、地下に降りてから、半蔵門・田園都市線改札まではやや遠く、トータルの乗り換え距離では、A8出入口経由と大差なさそうです。
A8、B7のどちらが利用しやすい?
では、A8ルートのB7ルートのどちらが利用しやすいでしょうか。
A8ルートは、地下への階段が広く、地下階に降りた後も、改札口に至るルートが複数あり、スムーズです。
半蔵門線・田園都市線の中央部の改札口(ハチ公改札)を利用できますので、ホームの中央に降りられます。ただし、JR新ハチ公改札からハチ公前広場に至る自由通路は狭いですし、広場には非常に多くの人が行き交います。
一方のB7ルートは、狭い自由通路は長く歩かずに済みますし、B7出入口には、エスカレーターも上下で揃っています。ただし、階段部が細く、ラッシュ時には行列ができそうです。
地下に降りてしまえば、東口地下広場は広々としていて、動線にストレスはありません。
B7ルートでは、半蔵門線・田園都市線の宮益坂改札を使います。表参道方のホーム末端に接続しますが、このあたりは副都心線との乗り換え客も多く、混雑します。
どちらにも一長一短があり、田園都市線の利用位置なども勘案して、使いやすい方を選ぶといいでしょう。JRとしては、両ルートに分散してくれることを狙っているのかもしれません。
混雑の懸念
懸念されるのは、改札口と自由通路の混雑でしょう。図を見る限り、新改札口は、現改札口よりも改札機の数が削減されそうです。また、JR利用客の全てが自由通路に集中しますが、膨大なハチ公口の利用者を捌くには、細すぎる気もします。
おまけに、地理に不案内な旅行者も多く訪れる場所です。改札口と自由通路の容量が小さいことから、とくにラッシュ時には大混雑が想定されます。
当面、ハチ公口でのJR利用には、十分な時間をみたほうがよさそうです。可能なら、南口など別改札口の利用を検討した方がいいかもしれません。
最終的なレイアウトは?
気になるのは、最終的に、ハチ公口がどのように変わり、いつ完成するのか、という点でしょう。
まず、最終的にハチ公口がどういうレイアウトになるのか、という点ですが、以下の渋谷区の資料を見るとわかりやすいでしょう。
ご覧の通り、改良工事の完成後、ハチ公前広場に面した改札口は復活せず、自由通路に面した場所に「JR改札(北)」だけが残ります。1月26日に供用開始となる新改札口が、おおむね恒久化するわけです。
「ハチ公改札」は自由通路のみに
ただし、次の図を見ると、改札口はかなり幅が広いです。つまり、1月にできる新改札口は、将来的に拡張する可能性が高いでしょう。
整備完了時には、自由通路も改札口も拡張されるので、混雑は緩和するとみられます。
なお、今回の告知で、JR東日本は、自由通路に面した「JR改札(北)」を、新たな「ハチ公改札」と称していますので、ハチ公前広場に面していなくても、「ハチ公改札」の名称は残すようです。
「しぶちか階段」は角度を変えて復活
今回閉鎖される、ハチ公改札前の地下への階段(しぶちか階段)は、角度を90度変えて、自由通路に並行する形で復活します。地下階では、現在のしぶちか階段下層とほぼ同位置の踊り場に達するのでしょう。
したがって、改良工事が完成した後、半蔵門線・田園都市線からの乗り換え動線は、現在と大差ない利便性を保てそうです。
渋谷区のイメージ動画を見ると、新しぶちか階段はエスカレーターになるようですから、より使いやすくなるかもしれません。
東西に出やすく
これとは別に、宮益坂方面の東口地下広場へは、B7出入口への動線も確保されます。
つまり、JRで渋谷駅に到着し、新ハチ公改札を出た旅客は、左の階段(エスカレーター)を降りればしぶちかに、右の階段を降りれば東口地下広場に行けることになります。
渋谷駅東西の地上、地下に出やすくなるレイアウトです。
あと3年で整備完了
工事期間は人があふれて大変そうですが、完成すれば便利になるのは確かです。
では、その完成時期はいつなのか。公表されている事業期間によると、渋谷駅の改良工事は、2027年度までの予定です。つまり、2028年春までに整備完了します。
予定通りに工事が進んでいるのなら、ハチ公口が不便な期間は、3年程度です。利用者は大変ですが、これだけの大改良工事ですので、辛抱するほかなさそうです。
それまでの間、大きな荷物を持ってハチ公改札を利用するのは、できるだけ避けた方がいいでしょう。(鎌倉淳)