品川・田町エリアの鉄道改造計画をまとめてみる。京急品川駅地上化は実現するのか?

最近、品川駅や田町駅近辺の話題が続いています。JR山手線田町~品川間の新駅建設に続き、田町駅付近から分岐するJR羽田新線の建設計画も明らかになりました。さらにリニア中央新幹線の起点も品川ですし、京急品川駅の大改造の構想も伝わっています。これらは、いずれも今後10年程度の間に実施される工事です。実現すれば、品川界隈の姿は一変するかもしれません。

ここで、品川・田町エリアの鉄道関連の開発・改造計画を整理してみましょう。

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山手線・京浜東北線の線路を海寄りに移設

まず、山手線新駅は、品川駅と田町駅の間に2020年までに建設されます。田町駅から約1.3km、品川駅から約0.9㎞付近ですので、両駅の中間よりはやや品川寄りです。京急・都営泉岳寺駅とは約300メートルほど離れていますが、新駅から泉岳寺駅にかけては人が移動できるように「何らかのかたちで連絡設備の開設を考えたい」(JR東日本の冨田哲郎社長)としており、一体的な駅勢圏ができそうです。新駅周辺は「品川大規模開発エリア」となり、8棟の超高層ビルが建つ予定です。

山手線新駅の設置にともない、山手線と京浜東北線の線路は東側に移設されます。つまり、現在第一京浜寄りの線路は海寄りに平行移動します。これにより捻出した第一京浜に近い空間が再開発エリアになります。

山手線新駅
画像:JR東日本

品川駅東西自由通路延伸構想

一方、リニア中央新幹線の起点が品川駅になることは知られていますが、その位置は東海道新幹線直下です。開業は2027年頃です。このリニア駅ができる頃までに、品川駅の東西自由通路を西へ延伸して第一京浜をまたぎ、同じ平面でウィング高輪やホテルエリアまで接着させる、という構想があります。東西自由通路の延伸と同時に、品川駅西口広場を拡張し、整備する予定です。

東西自由通路を同一平面でウィング高輪まで結び、品川駅西口広場を拡張するためには、自由通路と同じ高さにある京浜急行のホームを移設する必要があります。そのため、京急ホームを地上に下ろして移転する計画が進められています。具体的にどういう手順でどの位置に下ろすのかは明らかではありませんが、現在の山手線ホーム西南付近にあるJRの留置線(山手留置線)を京急品川新駅用地に充てるという案が有力のようです。

京急品川駅は地上化で2面4線に

この案の通りになれば、京急品川駅は東南に少しずれて地上ホームとなります。現状の2面3線が2面4線になる計画で、折り返しが可能になるほか、待避も行えるようになります。現京急品川駅の一部は、第一京浜の拡幅や、駅前広場に利用されます。

京急品川新駅が、どうやって既存線と接続するのかはわかりません。常識的に考えると、南北とも速やかに地下に潜るしかありません。つまり、横浜方は、すぐ地下線になり第一京浜下を走り、JR線をくぐり北品川駅付近で既存線と接続すると思われます。山手留置線の土地に12両分の長さのホームを設置して、なおかつ地下に潜る傾斜を作るだけの余地が南側にあるのか微妙ですが、他に方法はなさそうです。

このルートの場合、北品川駅は地下駅になるかもしれませんが、品川第一踏切(八ツ山橋踏切)を解消することができます。品川第一踏切の解消も、「品川駅・田町駅周辺 まちづくりガイドライン」に課題として明確に記されていますので、横浜方はこの形に落ち着く可能性が高そうです。

泉岳寺駅も改造

泉岳寺方については、京急品川新駅から北に向かって地下に潜ったとして、既存線に接続させるのはやや難しそうです。都営浅草線の西馬込からの合流もあり、泉岳寺駅は配線が複雑だからです。これについては、泉岳寺駅を改造する方針のようです。具体的には、泉岳寺の現ホームの東側に新ホームを増設します。現駅の2つのホームを1ホームにまとめて、中央の2線を廃止、ホーム幅を広げます。新ホームと合併旧ホームのあわせて2面4線は変わらないようです。

泉岳寺駅には都心直結線構想があり、新東京駅へ新路線が建設される予定ですので、それを踏まえての改造になるとみられます。都心直結線の建設が不透明なため、泉岳寺新ホームは都心直結線への延伸を考慮したうえで、延伸しなくても機能するような構造になるかもしれません。

JRは本当に留置線を提供するのか?

ここで、本質的な問題として、京急品川新駅はできるのか、言い換えれば、JRは本当に山手留置線を京急に提供するのか、という疑問が湧きます。提供するとして、JRに何のメリットがあるのでしょうか。これについては、どうやら、品川大規模開発エリアとかかわりがありそうです。前述したように、田町車両センター跡の開発用地は、わざわざ山手線や京浜東北線の線路を東に寄せて、第一京浜寄りに空間を捻出していますが、そこがポイントのようです。

開発用地と第一京浜の間にはビルなどがあり、接道していません。そのビルのいくつかは京急の所有であり、これらを開発用地に取り込めば、第一京浜に接道した空間になります。幅広の道路と接することができれば、JRはより高層のビルを建てやすくなり、再開発用地の土地の価値は大きく上がります。JRが山手留置線を提供するのだとすれば、こうした広い観点での見返りがあるとみられます。

こうしてみると、品川大規模再開発と、それにともなう山手線新駅計画は、JR品川駅の改造だけでなく京急品川駅移転とも関連していることがわかります。いずれにせよ、品川・田町エリアの再開発は、JR、京急、西武などが協力して事業を進めており、JRと京急双方が納得できる形になるのは間違いありません。近く都市計画の概要が発表されるようですので、注目したいところです。

なお、最近話題になっている「JR羽田新線」については、山手線新駅より北側で分岐しますので、これらの再開発計画には直接は影響しないようです。ただし、都心直結線の建設の可否にはかかわってきますので、間接的には影響する可能性があります。

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