JALが羽田~ドーハ線を2024年夏ダイヤから開設します。日本の航空会社として、初の中東直行便です。路線開設のニュースに驚いた方も多いのではないでしょうか。
2024年夏ダイヤで
JALは、羽田空港とカタールの首都・ドーハを結ぶ路線を、2024年3月31日からの夏ダイヤ期間中に開設すると発表しました。週7往復の毎日運航です。
機材はボーイング787-9型機で、詳細な運航スケジュールなどは発表されていません。
JALは、現在、カタール航空の羽田・成田~ドーハ線とコードシェアを実施していて、自社便の開設後もこのコードシェアは継続します。
カタール航空の羽田・成田路線はいずれも毎日運航なので、JALとして、首都圏~ドーハ線がコードシェアを含めてトリプルデイリーとなります。
初の中東直行便
JALによれば、羽田~ドーハ線は、日系航空会社として初の中東直行便だそうです。
本来なら、ANAが2020年7月に羽田~イスタンブール線を開設する予定で、「中東一番乗り」になるはずでした。配分された羽田昼間時間帯を使う肝煎りの路線ですが、コロナにより延期となり、新たな就航予定時期は明らかにされていません。
そのタイミングでの、JALのドーハ就航です。これまで日系が二の足を踏んできた中東路線の、しかもアラビア半島のドーハへの直行便となれば、思い切った感があります。
今回は、岸田首相のカタール訪問にあわせて発表されたので、いわば「政治路線」の匂いもします。が、それを差し引いても、「日系エアラインのアラビア半島上陸」に仰天した方も多いのではないでしょうか。
相対的に遠回りではない
とはいえ、JALが採算を度外視して首相に付き合うほどの案件でもないでしょうから、それなりの勝算があってのことでしょう。
JALとカタール航空は同じ航空連合「ワンワールド」に加盟しており、JAL便はドーハにおいてカタール航空の国際線ネットワークに接続できます。
これにより、ドーハ経由で、ヨーロッパ、アフリカ、南米などへつながります。とくに、アフリカ方面は、これまでJALのネットワークが手薄だったので、ドーハ線の開設により強化されることなるでしょう。
ロシア・ウクライナ戦争の影響もあります。日欧路線は戦争ためロシア上空を飛べなくなり、大回りを強いられています。したがって、ドーハ経由は相対的にそれほど遠回りではなくなりました。
ドーハからヨーロッパ諸都市への路線も多いことから、日本から直行便のないヨーロッパ諸都市へ向かう場合、ドーハ乗り継ぎは有力な選択肢になりそうです。ロシア上空を飛べない問題は長引きそうで、日系初の中東路線は一定の搭乗率を確保できるのではないでしょうか。
羽田深夜発着か
気になるスケジュールは未発表です。ただ、カタール路線への羽田昼間時間帯の発着枠はありませんので、深夜早朝枠を活用することになるでしょう。
日本・カタール両国は、2012年の航空協議により、羽田線深夜早朝時間帯について、両国週7便の運航で合意しています。
カタール航空便と同じ時間帯で飛ぶのであれば、羽田を0時頃に出発し、23時ごろに戻るスケジュールです。その場合、ドーハ着は6時頃、ドーハ発は7時頃になりそうです。
カタール航空便と多少時間帯をずらすかもしれませんが、大きくは変わらないでしょう。(鎌倉淳)