妙見の森ケーブルの廃止日は? 上部リフトとあわせ姿消す

1925年開業

能勢電鉄は、兵庫県川西市の「妙見の森」事業を終了すると発表しました。西日本唯一の標準軌のケーブルカーも廃止となります。

【追記】こちらの記事もご覧ください。
妙見の森ケーブル、12月に廃止前倒しか。国交省が繰り上げ認める

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妙見口駅から1.5km

「妙見の森」は、能勢電鉄が妙見山で展開している観光事業です。能勢電鉄の終点妙見口駅から約1.5km離れた黒川駅から「妙見の森ケーブル」(鋼索線)が運行しており、山上には能勢電鉄が運営する自然と遊びのエリアが広がります。

「妙見の森ケーブル」のほか、「妙見の森リフト」(索道線)といった乗り物や、バーベキュー場や遊具、足湯もあります。能勢電鉄は、こうしたエリア全体の事業を終了すると発表しました。

妙見の森ケーブル

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最急勾配23度

妙見の森ケーブルは黒川~ケーブル山上間666メートルを結んでいます。標高差は223メートル、最急勾配が23度、平均勾配は20度です。定員51人の車両2両が最高速度8.6km/hで往復し、所要時間は約5分です。

妙見の森リフトは、ふれあい広場 ~ 妙見山の573メートルを結んでいます。高低差は87メートルで、最急勾配は17度、平均勾配は8度です。搬器146個を擁するシングルリフトで、運転時速は2.9km/h。所要時間は約12分です。

妙見の森リフト

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標準軌のケーブルカー

1925年に妙見鋼索鉄道として、黒川~中間の下部線と中間~妙見山の上部線に分かれてケーブルカーが開業しました。戦時中の1944年に不急不要路線として廃止となりましたが、1960年に下部線のみケーブルカーとして再開。上部線はリフトに変更して運行を開始しました。

ケーブルカーは標準軌。国内で標準軌のケーブルカーは、妙見の森と十国峠(静岡)のみです。十国峠ケーブルカーは、妙見ケーブルの上部線の資材を転用したものです。妙見の森ケーブルが廃止されると、国内で標準軌のケーブルカーは十国峠ケーブルカーのみとなります。

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来年GWまでで廃止?

能勢電鉄は、廃止理由として、利用客の減少傾向と、大規模な設備更新が必要になることを挙げました。ケーブルカー、リフトとも、戦後の再開から数えても60年以上が経過しており、老朽化が進んでいるのでしょう。リフトの老朽化で営業を終了するスキー場も少なくありませんが、それと似た構造といえるかもしれません。

能勢電鉄が近畿運輸局に届け出たケーブルカー、リフトの廃止予定日は2024年6月24日です。ただし、これは手続き上1年後になっているだけのことで、廃止を繰り上げる可能性もあります。

現実的に、6月24日という中途半端な日を廃止日にするとは考えにくいので、長くても2024年のゴールデンウィークまでの営業となるでしょう。

ケーブルカーの営業終了日を以て、リフトやバーベキューなどを含めた妙見の森事業の全てが終了となります。(鎌倉淳)

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