「神戸・姫路デジタルパス」の研究。破格だけれど、しくみに注意

使い勝手にはやや難あり

JR西日本が「神戸・姫路デジタルパス」を発売します。兵庫デスティネーションキャンペーンにあわせた商品です。内容を研究してみましょう。

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tabiwa専用

「神戸・姫路デジタルパス」は、兵庫県南部のJR線、一部バスの乗り放題と、観光施設の入館券などがセットになった周遊パスです。正確には、「(ICOCA で GO)神戸・姫路デジタルパス」という名称で、利用には事前に「tabiwa by WESTER」に登録した ICOCAが必要です。

JR西日本のデジタル旅行サービス「tabiwa by WESTER」内での発売です。みどりの窓口や券売機では発売しません。購入、利用はスマートフォンのみからで、JR線の利用にはICOCAが必要です。

神戸・姫路デジタルパス
画像:JR西日本
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フリーエリア

「神戸・姫路デジタルパス」のフリーエリアは下図の通りです。

神戸姫路デジタルパス、フリーエリア
画像:JR西日本

神戸を中心に、東は尼崎を経て篠山口まで、西は姫路を経て播州赤穂までがエリアです。神戸市営地下鉄と神戸電鉄の一部区間もエリアに含まれていて、有馬温泉へもアクセスできます。ただし三宮~有馬温泉は往復のみで、乗り放題ではありません。

そのほか、神戸市内のポートループ、シティループというバスが乗り放題になります。観光施設としては、北野異人館の萌黄の館、リゾートクルーズ、姫路城の入場券が含まれています。

価格は2日間で3,000円で、7月から9月が主な利用期間です。

神戸・姫路デジタルパス
画像:JR西日本
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「神戸・姫路デジタルパス」の概要

「(ICOCA で GO)神戸・姫路デジタルパス」の概要は以下の通りです。

■「(ICOCA で GO)神戸・姫路デジタルパス」

●発売期間
 2023年6月26日(月)~9月30日(土)
 ※利用期間の1か月前から利用開始日当日まで発売。

●利用期間
 2023年7月1日(土)~10月1日(日)までの連続する2日間
 ※2023年9月30日(土)利用開始分まで発売。

●有効期間
 2日間

●価格
 3,000円(大人用のみ)

●発売箇所
 「tabiwa by WESTER」内

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内容に比して破格

セット内容をみてみると、有馬温泉に泊まり、神戸市内や姫路城を観光し、播州赤穂や丹波篠山にも足を伸ばす、といった使い方を想定しているようです。

価格は2日間で3,000円。尼崎~播州赤穂間の正規運賃が1,980円、尼崎~姫路間が1,520円なので、JR線フリーエリアを単純に往復すれば元が取れるきっぷです。

三宮~有馬温泉間の片道だけでも正規運賃なら690円がかかりますし、ポートループとシティループの2日券は1,000円しますので、有馬温泉に泊まって神戸市内を観光するだけでも、だいたい元が取れそうです。

さらに、神戸・姫路おとくーぽんという割引特典もついていて、主要な観光スポットが網羅されています。総じて、内容に比して破格の乗り放題きっぷといえます。

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JR線はポイント還元

難点は、利用時に「tabiwa by WESTER」に登録した ICOCAが必要で、JR線に乗る際は、ICOCAから運賃が引かれてしまうことです。JR線自由周遊区間の乗車分は、翌月末にWESTERポイント(チャージ専用)で還元するしくみです。

JR西日本エリアに住んでいて、日頃からICOCAを使っている人には問題ありませんが、エリア外からの旅行者で、ふだんICOCAを使っていない人には、不親切なしくみに感じられます。一方で、パスの内容は遠方からの宿泊客をターゲットにしているように思えます。その点で、やや不思議な設定の企画商品です。

ターゲットは関西人?

しくみから考えると、関西エリア在住のJR西日本利用者向けのチケットです。ありていにいえば、「関西人」がターゲットでしょう。実際、関西他府県から神戸へ日帰り観光するだけでも、「いろいろセットで、めちゃくちゃおトク」です。

注意点として、JR線自由周遊区間をまたいで利用した場合は、WESTERポイントが付与されません。

大阪方面から来た場合、尼崎駅で下車して改札口を入りなおさなければならない、ということです。帰路も同様で、大阪方面まで乗り通すと、自由周遊区間分のポイント付与はありません。つまり、運賃の実費がかかってしまう、ということです。

破格なパスであることは確かですが、使い勝手にはやや難がありそう、というところでしょうか。(鎌倉淳)

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