JR東日本は整備中の羽田空港アクセス線について、開業予定を2031年度に変更しました。これまでの2029年開業から2年延期となります。羽田空港駅のホームが頭端式になることも明らかになりました。
都心へ3ルート
JR東日本の羽田空港アクセス線(仮称)は、羽田空港と都心を結ぶ鉄道新線計画です。
羽田空港の国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に「羽田空港新駅」(仮称)を設け、東京貨物ターミナルまで「アクセス新線」を建設。そこから田町駅への「東山手ルート」、大井町駅への「西山手ルート」、東京テレポート駅への「臨海部ルート」の3ルートを建設します。
このうち、先行して整備が進められているのがアクセス新線と東山手ルートの計12.4kmで、JR東日本は、2023年6月に起工式をおこない本格着工すると発表しました。
認可を取得
アクセス新線はおもにシールドトンネルの新線で、東京貨物ターミナル駅の改良区間をはさみ、東山手ルートはおもに東海道貨物線(大汐線)の高架線を改良して旅客化します。
JR東日本は、アクセス新線について工事施行認可を2023年3月24日付で国土交通省より取得、東山手ルートについて鉄道施設変更認可を2023年1月31日付で取得しています。
認可を取得し準備が整ったことを受け、いよいよ本格的な建設に着手するわけです。
開業は2年遅く
本格着工にあわせて、JR東日本は、アクセス新線と東山手ルートの開業予定を2031年度と発表しました。2021年1月に鉄道事業の許可を受けた際には2029年度開業予定としていましたので、2年遅くなります。当初想定した以上の難工事を予想しているためです。
概算工事費は2,800億円と見積もっています。鉄道事業許可時には約3,000億円としていましたので、200億円程度圧縮した形です。こちらは工法の見直しによるものです。
なお、空港島内のシールドトンネル、開削トンネルは国土交通省が空港整備事業で整備する予定です。概算工事費には、国の空港整備事業のうち、JR東日本に関係するトンネル本体などの工事費(約700億円)を含みます。
第2ターミナルと高低差なし
開業後は上野東京ラインに乗り入れ、東京駅を経て東北線、高崎線、常磐線と直通します。羽田空港駅から東京駅へは直通で約18分です。現在、同区間は途中で乗り換えて30分程度を要しますので、大幅な短縮となります。
羽田空港新駅(仮称)は、第1旅客ターミナルと第2旅客ターミナルの間の空港構内道路の地下に設けます。P3駐車場の脇にあたる位置です。
ホームの最大幅員は約12m、延長は約310mで、15両編成の上野東京ラインが停車できます。ホームは地下1階の高さで、第2旅客ターミナルへ高低差なく移動できることも明らかにされました。
詳細な駅構内図は公表されていませんが、高低差なく移動できるということは、頭端式ホームになるようです。となると、第2ターミナル側の線路は延伸できない構造になる理屈で、国際線が発着する第3ターミナルや川崎方面への延伸は期待薄となりそうです。(鎌倉淳)