JR各社が2022年お盆の特急列車の利用状況を発表しました。各列車とも新型コロナウイルス感染症の影響から回復傾向にありますが、なかでも「ひだ」「サンライズ」の利用者が増加しています。
JR在来線特急の利用者数の詳細をランキング形式で見ていきましょう。
2022年お盆の利用状況
JR各社は列車利用状況の統計を「年末年始」「ゴールデンウィーク」「お盆」の3期のみ発表します。当サイトでは、JR各社が発表した「お盆の利用状況」の情報をまとめて、「お盆の在来線特急利用者数」をランキングにまとめてみました。
2022年8月10日~17日の8日間の統計です。「マリンライナー」は快速です。
順位 | 列車名 | 区間 | 利用者数(万人) | 対前年比 | 対18年比 |
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1 | あずさ、かいじ、富士回遊 | 八王子~相模湖 | 18.2 | 228% | 65% |
2 | ひたち、ときわ | 我孫子~土浦 | 14.0 | 186% | 56% |
3 | ひたち、ときわ | 土浦~水戸 | 12.7 | 194% | 54% |
4 | かもめ、みどり | 鳥栖~肥前山口 | 11.9 | 306% | 54% |
5 | サンダーバード | 京都~敦賀 | 11.5 | 269% | 58% |
6 | あずさ | 甲府~上諏訪 | 9.6 | 324% | 65% |
7 | マリンライナー | 児島~宇多津 | 9.3 | 160% | 61% |
8 | ソニック | 小倉~行橋 | 8.1 | 193% | 56% |
9 | ひたち | 水戸~高萩 | 6.1 | 197% | 59% |
10 | 踊り子、湘南 | 横浜~熱海 | 6.0 | 152% | 92% |
11 | カムイ・ライラック・オホーツク・宗谷 | 札幌~岩見沢 | 4.8 | 159% | 58% |
12 | しなの | 名古屋~多治見 | 4.4 | 364% | 59% |
13 | しらさぎ | 米原~敦賀 | 4.1 | 219% | 55% |
14 | しおかぜ、うずしお | 岡山~児島 | 3.9 | 207% | 65% |
15 | くろしお | 和歌山~箕島 | 3.9 | 200% | 58% |
16 | しおかぜ | 児島~宇多津 | 3.8 | 209% | 64% |
17 | しおかぜ、いしづち | 多度津~伊予三島 | 3.8 | 177% | 65% |
18 | ひたち | 高萩~いわき | 3.6 | 202% | 67% |
19 | 北斗、すずらん | 東室蘭~苫小牧 | 3.2 | 174% | 55% |
20 | きのさき、まいづるなど | 二条~亀岡 | 3.2 | 260% | 60% |
21 | わかしお | 蘇我~大網 | 3.0 | 156% | 60% |
22 | 成田エクスプレス | 千葉~成田空港 | 2.9 | 660% | 23% |
23 | しなの | 松本~長野 | 2.8 | 312% | 60% |
24 | 南風 | 岡山~児島 | 2.5 | 245% | 63% |
25 | 南風 | 児島~宇多津 | 2.4 | 244% | 65% |
26 | やくも | 岡山~新見 | 2.3 | 325% | 77% |
27 | 南風、しまんと | 多度津~阿波池田 | 2.2 | 259% | 62% |
28 | こうのとり | 大阪~三田 | 1.9 | 217% | 59% |
29 | おおぞら、とかち | 南千歳~トマム | 1.8 | 156% | 63% |
30 | ひだ | 美濃太田~下呂 | 1.8 | 346% | 103% |
31 | いなほ | 新潟~村上 | 1.8 | 199% | 49% |
32 | しおさい | 千葉~佐倉 | 1.7 | 150% | 58% |
33 | 宇和海 | 松山~宇和島 | 1.5 | 161% | 82% |
34 | スーパーはくと | 姫路~上郡 | 1.4 | 319% | 54% |
35 | はるか | 日根野~関西空港 | 1.4 | 934% | 18% |
36 | しらさぎ | 名古屋~大垣 | 1.3 | 250% | 58% |
37 | スーパーはくと | 智頭~鳥取 | 1.2 | 318% | 52% |
38 | 草津 | 高崎~渋川 | 0.8 | 183% | 63 |
39 | ひたち | いわき~原ノ町 | 0.8 | 181% | – |
40 | しまんと、あしずり | 高知~窪川 | 0.7 | 175% | 60% |
41 | 南紀 | 松阪~紀伊長島 | 0.6 | 234% | 49% |
42 | ひたち | 原ノ町~仙台 | 0.5 | 161% | – |
42 | ふじかわ | 富士~富士宮 | 0.5 | 159% | 61% |
44 | ふじさん | 御殿場~山北 | 0.5 | 308% | 83% |
45 | サンライズ出雲・瀬戸 | 静岡~浜松 | 0.5 | 257% | 107% |
46 | はまかぜ | 姫路~寺前 | 0.4 | 221% | 63% |
47 | しらゆき | 直江津~長岡 | 0.4 | 137% | 46% |
48 | さざなみ | 蘇我~五井 | 0.4 | 125% | 45% |
49 | スーパーいなば | 智頭~鳥取 | 0.3 | 253% | 53% |
50 | スーパーおき | 新山口~益田 | 0.3 | 423% | 50% |
51 | スーパーいなば | 上郡~岡山 | 0.3 | 249% | 51% |
52 | いなほ | 酒田~秋田 | 0.2 | 137% | 37% |
53 | サンライズ出雲 | 岡山~新見 | 0.1 | 253% | 123% |
54 | うずしお | 児島~宇多津 | 0.1 | 224% | 61% |
55 | うずしお | 高松~徳島 | 0.1 | 172% | 62% |
56 | 伊那路 | 豊川~本長篠 | 0.1 | 240% | 51% |
57 | はまかぜ | 岩美~鳥取 | 0.003 | 253% | 29% |
上記のランキングは、JR各社から広報発表された数字をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。
ランキング下位では、百人単位の四捨五入が順位に影響している場合も多くなっています。四捨五入の単位が発表元の各社・支社により異なることもあり、1万人以下のランキングの細かい順位の違いにあまり意味がない点も、ご留意ください。
なお、「ひたち」のいわき以北は、2020年3月まで長期運休をしていたため、2018年比がありません。「つがる」「リゾートしらかみ」は、大雨の影響で運休していたため、今年の発表がありませんでした。
上位は例年通り
2022年のお盆の特急列車利用者数でトップに立ったのは、中央東線特急「あずさ、かいじ、富士回遊」です。例年、夏に利用者の多い列車で、今年も変わりませんでした。次いで常磐線特急「ひたち、ときわ」が2位に付けましたが、この順位も例年どおりです。
3位も「ひたち、ときわ」(土浦~水戸)で、つづく4位に長崎・佐世保線特急「かもめ、みどり」、5位に北陸線特急「サンダーバード」が入りました。このあたりの上位特急のラインナップも例年と変わりません。
空港特急の回復はじまる
対前年比が高かったのは東西の空港特急で、「はるか」が934%、「成田エクスプレス」が660%です。飛行機の国際線の運航再開にあわせるように、空港特急も回復が始まりました。
ただ、数百パーセントという数字は、新型コロナでの落ち込みがそれだけ酷かった、ということの裏返しです。2018年度で見ると、それぞれ18%、23%と、まだまだの数字で、空港特急が従前の活況を取り戻すには、もうしばらく時間がかかりそうです。
「ひだ」「サンライズ」快調
好調さが目立ったのは「ひだ」。対前年比346%、2018年比で103%となっていて、新型コロナ禍以前の数字を超えています。33年ぶりの新型車両HC85系の導入がその理由でしょう。話題の新車だけに、集客力は抜群のようです。
また、大雨で北陸線が不通になったため、その代替交通としての利用もあったようです。
「サンライズ出雲」も好調です。岡山~新見間で対前年比253%、対2018年比123%となっていて、大人気といってもいいでしょう。新型コロナ禍で個室寝台が好まれるようになったことが大きな理由のようですが、「最後の寝台特急」という希少性も人気を後押ししているように感じられます。
「サンライズ瀬戸」を併結している静岡~浜松間でも、対前年比257%、対2018年比107%と良い数字でした。
東北方面で伸び悩む
伸び悩んだのは東北方面の特急です。羽越線特急「いなほ」は村上~新潟で対前年比199%、対2018年比49%。酒田~秋田間で対前年比137%、対2018年比37%に沈みました。前線による大雨と、お盆を直撃した台風の影響をもろに受けた形です。
大雨被害の影響を受けた列車としては奥羽線特急の「つがる」もありますが、奥羽線が大雨被害で運休したため、本年の数字を公表していません。
「南紀」も不振
名古屋発着の非電化特急として「ひだ」と好対照となったのが、紀勢線特急「南紀」。対2018年度比で49%と、コロナ前の半分の水準にとどまります。紀勢線は平行する高速道路の整備が進んでいて、鉄道利用者が漸減傾向にあり、コロナ明けでもその傾向は止まりません。
ただ、「南紀」にもそう遠くない将来に新車が導入されるでしょうから、将来の回復を期待したいところです。(鎌倉淳)