日本経済新聞電子版2012/3/7付けに、「渋谷駅にツインタワー計画、都内一なるか」という記事が載りました。タイトルは「ツインタワー」ですが、渋谷駅周辺の壮大な整備計画に驚いた人もいるようです。
記事や渋谷区の基盤整備方針資料を基にすると、駅周辺にはおおまかには次のような整備計画があります。
・東横線の駅を地下化する(2013年完成)
・東急東横店の一部を取り壊す
・東横線渋谷駅跡と、東急東横店の一部跡を、JR渋谷駅として活用する。
・JR渋谷駅は、山手線も埼京線も島式ホームになる。2面4線。
・JR渋谷駅の上にはコンコースができる。
・そのコンコースはスカイウェイに繋がっていて、道玄坂(現マークシティの西口)から宮益坂までフラットで歩ける。
・銀座線渋谷駅は宮益坂方向へ少し移動する。
・東西の駅前広場に歩行者デッキが張り巡らされる。
・国道246号線に面した部分のJR駅の東西に高層ビルが建てられる(ツインタワー)
・バスターミナルが作られ、空港アクセスを向上させる。
このほか、現在の埼京線ホームの東西での再開発計画などもあるのですが、それは省略。
これらが全部できあがるのは、2040年頃とされていて、まあかなり先の壮大な計画ですね。
現在の渋谷駅が使いにくいのは、みなさんご存じの通り。東横線と井の頭線と銀座線と山手線だけならば接続は良く、巧く考えられた構造なのですが、半蔵門線や副都心線、埼京線からの乗り換えははっきり言って不便。エレベーターやエスカレーターも少なく、バリアフリーにもほど遠い状況です。
渋谷駅周辺の整備が全て完了すれば、これらの問題点は大きく改善されます。繰り返しますが、未来過ぎてリニアモーターカー並みに現実感がないのですが。
話は変わりますが、以前、東京在住のフランス人が、「最も日本的な風景は渋谷」と話してくれたことがあります。ハチ公口を出て、人がわちゃっといて、大きなディスプレイが何枚も目に入り、ネオンがきらめいている場所。彼のイメージでは、日本は「電気の国」で、渋谷はその象徴だそうです。
この渋谷駅の整備が進めば、そうしたごちゃごちゃした華やかさが、あるいは失われてしまうかも知れません。都市整備は猥雑さを消す作業でもあるからです。そうなってしまっては、貴重な「セカイのシブヤ」も失ってしまうことになりかねません。
かくいう筆者も渋谷駅をよく利用しますが、駅周辺のごちゃごちゃ感にはやや辟易していて、この整備が早く進むといいな、と考えています。けれど、住民には見えてこない「旅行者だからこそ見える渋谷の魅力」が失われないことも祈りたいものです。