JR東海とJR西日本は、「EX旅のコンテンツポータル」というサービスを開設します。MaaSを視野に入れた新サービスですが、利用者にとって便利なものになるのでしょうか。
ホテル、観光などを紹介
JR東海およびJR西日本は、東海道・山陽新幹線のインターネットネット予約サービスの「EXサービス」(エクスプレス予約とスマートEX)で、2021年11月1日からポータルサイト「EX 旅のコンテンツポータル」を開設すると発表しました。
EXサービス利用者向けに、出張や旅行で利用できるホテルや二次交通などのコンテンツを紹介するものです。
紹介するコンテンツは「ホテル」「観光」「交通」「ビジネス」の4つのカテゴリー。
「ホテル」では、東急ホテル、プリンスホテル、都ホテル、ホテルアソシア(JR東海ホテルズ)、ホテルグランヴィア(JR西日本ホテルズ)などと提携し、特別価格の宿泊プランを紹介します。
「観光」では、神社仏閣と連携した特別企画や、三河湾の島々をめぐるプランなどの旅行コンテンツを紹介。山陽エリアでは、せとうち観光ナビ「setowa」で提供している観光サービスも案内します。
「交通」では、在来線のお得な周遊きっぷ、タクシー配車アプリ、カーシェア・レンタカーのサイトのアプリなどを紹介します。
「ビジネス」では、EXサービス会員向けワークスペース 「EXPRESS WORK」やビジネス向けのオンラインコンテンツを会員に紹介します。
EX-MaaS見据え
これだけの話なら、EXサービスに観光コンテンツをリンクさせるだけのようにも感じられ、利用者にとってそれほど役立つものにはならない気がします。便利になるには、もう少しサービスの進化を待つ必要があるでしょう。
というのも、JR東海は、2023年夏に「EX-MaaS (仮称)」として、EXサービスのサイト内で予約から決済まで完了できるシステムを導入する計画があるからです。11月にオープンする「EX 旅のコンテンツポータル」は、その前段階として、旅行コンテンツ関連サービスへのリンクを、まずは整えたという形でしょう。
EX-MaaSが実現すれば、東海道・山陽新幹線利用者は、新幹線のチケットだけでなく、周辺交通機関や観光施設のチケットもアプリ上で購入でき、ホテルの予約まで済ませられるようになります。さまざまな予約、支払い、キャンセルを一つのアプリで管理できるようになります。
MaaSはIT系企業も参入していますが、主要交通機関の取り込みで苦戦しています。その視点でみると、東海道新幹線という基幹路線を擁する「EX-MaaS」は、別格の強さとなるかもしれません。
利用者としては、現在のEXサービスアプリの使いやすさが損なわれないかが気になるところ。新幹線予約のたびに「ホテルも一緒にいかがですか?」「レンタカーが5割引!」なんてポップアップが出てこないようにして欲しいものです。(鎌倉淳)