「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第5弾 茅野~上田城を分析する。休日運休が厳しくて

アゲアゲ~♪

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」第5弾が放送されました。太川陽介が率いるチームと、河合郁人が率いるチームが、長野県茅野市から上田市を目指して競う番組です。

乗り継ぎで気になった部分を検証してみましょう。なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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76市町村を取り合う

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」は、ローカル路線バスを乗り継いで「陣」に見立てた各市町村の名所・名物を体験し、その数を競うテレビ番組です。

その第5弾が2021年9月2日にテレビ東京系列で放送されました。対決したのは、ルイルイこと太川陽介が率いるチームと、A.B.C-Zの河合郁人が率いるチーム。太川チームには、村重杏奈(HKT48)、瀬下豊(天竺鼠)が参加。村重は、HKT48メンバーとして「対決旅」初参加です。

河合チームには哲夫(笑い飯)、別府ともひこ(エイトブリッジ)が加わり、前回につづいて3人とも男という組み合わせ。別府は第2弾、第3弾につづく3回目の参加で、河合にとっては「盟友」的な存在となりました。

どちらのチームも使っていいのはローカル路線バスのみ。ただし、両者とも1万円までタクシーを利用できます。

スタートは長野県の茅野駅前。ゴールは上田市の上田城です。同県内の76市町村(茅野市除く)を陣に見立て、1泊2日で陣取りを競います。ゴール時刻は18時までで、より多くの陣を確保したチームが勝ちです。

前回は、新型コロナウイルス感染症の流行に配慮してバス車内での聞き込みが禁止されましたが、今回は解禁されています。一方で、20時以降の陣取りやバス乗車は、今回もできません。

ローカル路線バス陣取り合戦第5弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 第5弾 路線バスで陣取り合戦 in 長野 茅野~上田城
【出演】太川陽介、村重杏奈(HKT48)、瀬下豊(天竺鼠)、河合郁人(A.B.C-Z)、哲夫(笑い飯)、別府ともひこ(エイトブリッジ)
【放送日】2021年9月1日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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太川チームの実際ルート

まずは、両チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻や距離、経路は、筆者による推定です。なお、ロケは8月中旬の祝日がらみで行われたことが番組で明かされていますので、8月9日(月祝)~10日のようです。以下の検証も1日目は休日ダイヤ、2日目は平日ダイヤに依拠しています。

最初に太川チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。

▽1日目
茅野駅09:30→10:36白駒の池→徒歩15分→白駒の池(☆佐久穂町)→徒歩15分→白駒池入口11:30→11:47ふるさとの森→レストハウスふるさと(☆小海町)→ふるさとの森16:12→17:35佐久平駅前→北斗の拳デザインマンホール(☆佐久市)→徒歩6.7km→みよたん顔出しパネル(☆御代田町)

▽2日目
御代田→タクシー7km、3,040円→07:01佐久平駅前07:58→09:01上田駅前09:13→09:38当郷→徒歩1km→大法寺三重塔(☆青木村)→徒歩1km→当郷11:04→11:29上田駅前11:47→12:15牧家→徒歩0.8km→力士雷電の生家(☆東御市)→タクシー6.4km、2,940円→12:55丁子庵(☆小諸市)→徒歩0.3km→小諸駅14:16→14:56上田駅前→徒歩0.8km→上田城


※Googleマップの経路は概略です。一行のたどったルートを正確に表しているとは限りません(以下同)。

太川チームの上田城ゴールは15時過ぎ。タイムリミットまで3時間ほど余らせていましたが、河合チームの後塵を拝し、上田市の陣を獲得することはできませんでした。

太川チームが獲得できた陣は、1日目が佐久穂町、小海町、佐久市、御代田町の4つ。2日目が青木村、東御市、小諸市の3つです。1日目に夜まで粘って4陣を奪い、2日目は計算ずくの行動で3陣を確保。合計で7陣を獲得しました。

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河合チームの実際ルート

次に、河合チームのルートをおさらいしてみましょう。

▽1日目
茅野駅09:20→11:29上諏訪駅諏訪湖口11:33→11:36足湯前→諏訪湖間欠泉センター(☆諏訪市)→タクシー3.6km、2,340円→諏訪大社下社秋宮(☆下諏訪町)→徒歩0.8km→下諏訪駅13:49→14:03美謄堂印刷前→徒歩0.4km→あら川(☆岡谷市)→徒歩1km→15:35岡谷駅→タクシー約17km、6,140円+高出付近→徒歩1.4km→元祖山賊(☆塩尻市)→徒歩7.4km→村井駅

▽2日目
村井駅06:40→07:26山形村役場→山形村農業エポック館(☆山形村)→徒歩0.6km→山崎農園→徒歩0.6km→山形役場08:13→08:48松本バスターミナル09:15→09:21松本城・市役所前→松本城(☆松本市)→徒歩1.3km→松本駅10:40→12:10上田駅前→徒歩0.8km→上田城

河合チームは、12時すぎに上田駅前に到着後、周囲の陣を狙わずに、手堅く上田城を確保しました。上田駅周辺でバス路線を探索した後に上田城に向かったので、ゴールは13時頃だったとみられます。

獲得した陣は、1日目が諏訪市、下諏訪町、岡谷市、塩尻市の4つ。2日目が山形村、松本市、上田市の3つ。合計7陣です。ゴールで上田市の陣を確保したことで、引き分けに持ち込みました。

茅野駅からの選択肢

両チームのとったルートについて検証してみますが、その前に、起点となる茅野駅周辺のバス路線図を見てみます。

茅野市バス路線図
画像:茅野市

小さくて見づらいかもしれませんが、八ヶ岳・蓼科の観光地方面に豊富な路線バスルートがあるのがわかるでしょう。

一方で、都市近郊の生活路線は多くありません。隣接自治体に直接入れるのは、岡谷線と穴山・原村線くらいですが、両路線とも土休日運休です。夏季の休日なので高遠方面ならバスがありましたが、上田とは逆方向です。つまり、ロケ日において、両チームがバスで進めそうなのは、八ヶ岳・蓼科方面だけでした。

そのなかで、ジャンケンに勝って優先権のある河合チームは、09時20分発の車山高原経由の上諏訪行きを選び、太川チームは残った路線のなかで09時30分発麦草峠行きを選択しました。

新宿からの特急「あずさ1号」が茅野駅に到着するのが09時08分。これを受ける形で、茅野駅発の路線バスは、09時20分頃に集中しています。

そのため、他にもこの時間帯に乗れるバスはありましたが、「陣取り」に向きそうな路線は上諏訪行きか麦草峠行き以外には見当たりません。つまり、両チームは、想定された2つのバスに乗車したといえそうです。

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太川チームの検証

では先に、太川チームの検証をしてみましょう。一行は茅野駅から麦草峠を経て佐久市方面へ抜けるルートを選択します。これを「麦草峠ルート」と呼びましょう。

このルートでは、茅野発のアルピコ交通麦草峠線が、終点で佐久穂町方面への千曲バス白駒線に接続しています。

佐久穂町の陣である白駒の池は麦草峠近辺にあり、アルピコ交通と千曲バスの両方が乗り入れています。要は、八ヶ岳を東西から登ってくるバスの接続点というわけで、チェックポイントとしては訪れやすい場所でしょう。

つづく小海町の陣であるレストハウスふるさとも、ふるさとの森バス停で降りれば、訪問はラクです。これにより、太川チームは2つの陣を簡単に獲得しました。

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4時間待ちは避けられなかったか

しかし、一行がふるさとの森バス停に着いたのは11時47分、次発は16時12分で、実に4時間以上の待ち時間が生じてしまいました。ルイルイはここで「待つ」選択をしますが、タクシーを使うことはできなかったのでしょうか。

調べてみると、佐久市の勝間というバス停までたどり着ければ、佐久平駅を経て上田駅への路線があります。一行が2日目に利用した佐久・上田線の始発停留所が、この勝間です。しかし、この路線も、土休日運休なので乗ることができません。

ふるさとの森からタクシーに7kmほど乗り、小海リエックスまで抜ければ、小海町営バスが休日も運転していて、小海駅まで進めます。しかし、小海駅周辺もその他の路線は土休日運休が多く、動くのは難しそうです。

調べた限りでは、ふるさとの森からタクシーを活用しても、その先、有効に展開できる系統は見つかりませんでした。

白駒池入口から乗車したバスは八千穂駅止まりなので、ふるさとの森で下車せずスルーしても、佐久平駅へ行くなら八千穂駅で実際ルートのバスを待つことになります。したがって、ふるさとの森で降りなかったとしても、佐久平駅に着く時刻は同じです。

とどのつまり、太川チームがふるさとの森で下車したのは正解ですし、そこで停滞したことも避けられませんでした。

佐久平から乗れるバスはなかったか

実際ルートに戻りましょう。太川チーム一行は佐久平駅で北斗の拳デザインマンホールを訪れた後、歩いて御代田へ向かいます。御代田方面へは、近くの岩村田駅からバスが夕方にありますが、これも土休日運休です。

佐久平駅から立科町方面へもバス路線がありますが、休日は14時51分発が最終です。他にも探してみましたが、休日の夕方に佐久平駅から出るバスは見当たりません。行き詰まった状況で、一行が6kmあまりを歩いて御代田の陣を獲ったのは、健闘したと言うべきでしょう。

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軽井沢に向かっていたら

2日目、御代田の宿に泊まったルイルイは、当初、タクシーで軽井沢を訪れた後、折り返して上田に向かうつもりだったようです。07時40分に軽井沢町に到着し、08時13分に出発する案を考えていたようですが、「ほぼ不可能」として撤回してしまいました。

町営バスの中軽井沢駅の発着時刻と思われますが、仮にこの乗り継ぎに挑戦していたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
御代田→タクシー約4km、概算1,740円→三ツ石公民館07:16→07:40中軽井沢駅(☆軽井沢町?)08:13→08:38三ツ石公民館→タクシー9.4km、概算3,840円→四ッ谷10:00→10:51上田駅前11:13→11:38当郷→徒歩1km→大法寺三重塔(☆青木村)→徒歩1km→当郷13:04→13:29上田駅前→タクシー12.8km、概算5,140円→力士雷電の生家(☆東御市)→徒歩0.8km→牧家15:40→15:55小諸駅→徒歩0.3km→丁子庵(☆小諸市)→徒歩0.3km→小諸駅16:16→16:58上田駅前

軽井沢の陣が中軽井沢駅周辺にあり、30分以内で終わる内容なら、上田駅に河合チームより先に到着でき、青木村の陣へも先手が打てます。その後、上田駅からタクシーで東御市の陣へ急ぎ、さらに小諸市の陣を獲って折り返せば、2日目に4陣を獲得でき、計8陣。河合チームを上回ります。

この乗り継ぎの場合、上田駅から東御市の陣へ向かう際にタクシー代が1,000円程度不足しそうですが、たとえ2~3km歩いても、時間的には間に合います。

ただ、この乗り継ぎは全体的に机上論のきらいがありますし、そもそも中軽井沢で30分以内にミッションが終わらなければ成立しません。つまり、実現性には疑問符がつきます。

仮に、軽井沢町の陣に手こずって、30分以内にミッションを終えられなかった場合、佐久からのバスの上田着は15時頃になってしまいます。獲得できる陣は大幅に減り、おそらく敗退していたでしょう。

軽井沢町は広い自治体ですし、名所名物も多く、陣がどこにあるのか予測しづらいところです。そう考えると、軽井沢町に立ち入らなかったルイルイの判断は正しかったと言えそうです。

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先に東御市に立ち寄っていたら

今回の対決のキーポイントとなったのは、青木村の陣でしょう。太川チームは、佐久平からのバスを小諸市でも東御市でも下車せず、上田駅まで直行し、青木村の陣を抑えた上で、折り返しました。

早朝は開いていない小諸市のそば店はともかく、東御市の雷電の生家は午前9時から開いています。先に立ち寄っていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
佐久平駅前07:58→08:32牧家→徒歩0.8km→力士雷電の生家(☆東御市)→徒歩0.8km→牧家10:22→10:51上田駅前11:13→11:38当郷→徒歩1km→大法寺三重塔(☆青木村)→徒歩1km→当郷13:04→13:29上田駅前15:12→15:55小諸駅→徒歩0.3km→丁子庵(☆小諸市)→タクシー18.2km、概算7,340円→上田駅

タクシー代が最後に若干足らなくなりますが、時間的にゴールは可能とみられます。おおざっぱな目安として、上田城ゴールは17時半頃で、獲れる陣は実際と同じ7陣です。

こうしてみると、7陣を得て上田城に15時頃にゴールした、実際ルートのほうが優れているでしょう。となると、小諸市の陣と東御市の陣をスルーして、青木村の確保を優先したルイルイの判断は正しかったことになります。

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もう1陣取れなかったか

ただ、ルイルイは最終的にタクシー代を4,020円残していました。10km程度は乗れるお金です。この残金を使って、どこかに行けなかったかも気になります。

可能性があるとすれば、坂城町でしょうか。

▽2日目
小諸駅14:16→15:08下秋和車庫→徒歩5.7km→テクノさかき駅(☆坂城町?)→タクシー8.1km、概算3,440円→上田城

小諸駅からのバスを、上田駅で降りずに下秋和車庫まで乗り、歩いて坂城町を目指します。市町境までは3.3km、テクノさかき駅まで5.7kmです。坂城町の陣がどこか不明なので仮定の話になりますが、坂城町南部であれば、陣を獲得することができた可能性があります。

実際のところ、2日目12時以降、敵の動きがわからないなか、ルイルイとしては坂城町へ行っても後手を踏んで空振りに終わる可能性があると判断したのでしょう。ルイルイからみれば、青木村の陣を押さえられた河合チームが真っ先に狙うのが坂城町と考えるのが自然で、それならばと上田城の先着を目指したわけです。この読みは外れましたが、判断として間違っているとはいえません。

他にも、太川チームの可能性として、立科町や長和町の陣を狙う方法も検討してみましたが、上田市を除いて太川チームが合計8陣以上を獲得する方法は見つかりませんでした。御代田町、小諸市、東御市、青木村と幹線道路に沿って陣を獲るのが最も効率的で、太川チームはそれを実践したといえます。

次ページに続きます]

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