京阪電鉄が2021年9月ダイヤ改定の詳細を発表しました。複々線を持てあますかのような、余裕のあるダイヤになります。
15分ヘッドのダイヤに
京阪電鉄は、2021年9月25日にダイヤ改定を実施します。新型コロナウイルス感染症による利用者減少を受けた、列車本数削減が柱です。
大きく変わるのは京阪線の10時~15時頃の日中時間帯。これまで各列車種別で毎時6本だったのを4本に減便します。
具体的には、特急と準急、普通が、これまでの毎時6本が4本になります。これとは別に、新たに快速急行を毎時2本運転します。快速急行ではプレミアムサービスを実施します。
京橋駅の12時台の平日時刻表(出町柳方面行き)を例示します。15分ヘッドのダイヤをベースに、30分間隔で快速急行を挿入しています。
京阪電鉄は天満橋~萱島間が複々線ですが、その設備を持てあますかのような、余裕あるダイヤとなります。
夕ラッシュ時は12分間隔
京阪線の夕ラッシュ時については、各列車種別の17時~20時台について、現行毎時6本が毎時5本に。22時台について、現行の毎時5本が毎時4本に削減されます。
これにより新ダイヤでは、17時台~21時台が12分間隔に、22時台が15分間隔になります。交野線、宇治線も同程度となります。
夕ラッシュ時の上下合わせた運転本数は、391 本から359 本となります。
朝ラッシュ時の「通勤優等」縮小
朝ラッシュ時については、平日7時~8時台に京橋駅に到着する下り列車(淀屋橋・中之島ゆき)の運転本数を63本から58本へと変更します。上下あわせた平日朝ラッシュ時間帯の運転本数は、179 本から161本になります。
通勤快急、通勤準急の運転時間帯は縮小します。両種別は守口市駅を通過しますが、運転時間帯縮小により、守口市駅の快速急行、準急停車時間帯が拡大します。
ライナー、プレミアムサービスは拡大
一方で、平日朝夕ラッシュ時に運行している全車両座席指定の「ライナー」は3本増発し、朝5本、夕4本とします。下表がライナーの新ダイヤ概要です。
「プレミアムカー」サービスについては、これまでの特急に加え、昼間時間帯の快速急行においても実施します。これにより、新たに守口市駅、寝屋川市駅、香里園駅からも「プレミアムカー」サービスが利用できるようになります。
一方、22時40分以降に淀屋橋または出町柳を出発する特急については、「プレミアムカー」サービスを中止します。利用者が少なかったためです。
終電繰り上げ
深夜時間帯は、列車本数を削減します。上下合わせた運転本数を平日は56本から38本に、土休日は53本から37本に変更します。いずれも3割程度の削減率で、深夜時間帯の列車は大幅に減少します。
終電の繰り上げも実施します。繰り上げは最大20分程度です。主な駅の最終列車は以下の通りです。
快速特急、特急の所要時間短縮
快速特急「洛楽」と特急では、所要時間を短縮します。平日の「洛楽」では、淀屋橋~出町柳間の所要時間を最大2分短縮。昼間時間帯の特急では、京橋~祇園四条間の所要時間を最大1分短縮します。
列車本数削減で、ダイヤに余裕ができるからでしょうか。
石山坂本線は半減の区間も
石山坂本線では、昼間時間帯の一部列車の運転区間を見直します。
日中時間帯に、現行は石山寺~坂本比叡山口間を10分間隔で運転しているところ、石山寺~坂本比叡山口間の列車と石山寺~近江神宮前間の列車を10分間隔で交互に運転します。
つまり、近江神宮前~坂本比叡山口間が20分間隔となります。以下に時刻表を例示します。
また、石山坂本線においては、学校が休みとなる春季・夏季・冬季期間の平日において「学休期ダイヤ」を今冬以降実施します。通常ダイヤから7時~9時台の運転本数を減らして運転します。
始発、最終列車に変更はありません。京津線についても大きな変更はありません。
本数削減、課金サービス拡充
今回のダイヤ改定で、京阪電鉄は、1日あたりの本数を平日15%、土休日20%程度削減します。新型コロナの影響で、2021年4月の1日あたりの利用客数が、感染拡大前の2019年と比べ約30%減少しているためです。
一方で、プレミアムカーサービスや有料ライナーの充実に力を入れています。有料サービスの課金によって収益拡大を図ろう、というわけでしょう。
特急を毎時6本ではなく、特急毎時4本と快速急行毎時2本にしたのが、新ダイヤの大きな特徴です。その理由は定かではありませんが、一つとして、快速急行のみ停車する駅で、プレミアムカーを含めた、優等列車の利用状況を確認するためではないか、と推測します。
このダイヤでの利用状況をみたうえで、今後、特急と快速急行の統合など、列車種別の整理を行う可能性もありそうです。つまり、新ダイヤは最終形ではなく、過渡的なものかもしれません。
それにしても、せっかくの複々線区間で、15分に4本しか列車が走らないのは、ちょっともったいない気もします。経営環境の苦しさを考えれば、やむを得ないのでしょうか。(鎌倉淳)