JR東日本は、E131系を相模線、宇都宮線、日光線に93両投入します。ワンマン運転可能な新型車両で、これらの路線はどう変わるのでしょうか。
205系を置き換え
JR東日本は、相模線、宇都宮線・日光線に新型車両E131系を投入すると発表しました。相模線には48両(4両編成×12本)、宇都宮線・日光線には45両(3両編成×15編成)を投入し、それぞれ205系を置き換えます。営業運転開始は相模線が2021年秋頃、宇都宮線・日光線は2022年春頃の予定です。宇都宮線の運行区間は小山~黒磯間です。
E131系は2021年春に房総半島の各線でデビューしました。直流電化区間のワンマン対応車両の標準タイプとして開発され、車両側面にカメラを設置、運転台から旅客の乗降を確認する機能を備えます。このため、E131系が導入される各線は、ワンマン運転を視野に入れたことになります。
外観は、相模線が湘南の海をイメージした濃淡2色の青色。宇都宮線・日光線はレトロ調を継承し、黄色と茶色の2色配置としています。
ロングシート
E131系は、車体幅2,950mmの拡幅車体です。房総半島のE131系はセミクロスシートでしたが、相模線、宇都宮線・日光線は全席ロングシートです。座席は幅を広げた低座面で、クッション性を向上させています。
4トビラ車で、ドアは半自動機能を搭載したドアを備えます。ドア上の一部には17インチの案内表示画面があり、多言語で運行情報などを提供します。車いすやベビーカー利用者のためのフリースペースを各車両に設置。宇都宮線・日光線には大型洋式トイレも設けます。相模線にはトイレはありません。
宇都宮・日光線は1両減
どちらも現行の205系は4両編成ですが、E131系では相模線が4両編成、宇都宮線・日光線は3両編成となります。相模線は現状維持、宇都宮線・日光線は1両減となります。
4両と3両の違いは、それぞれの路線の輸送量を反映したとみられます。2019年度の輸送密度で比較すると、相模線は29,412、宇都宮線・宇都宮~黒磯間は16,391、日光線・宇都宮~鹿沼間は8,314、鹿沼~日光間は4,184となっていて、相模線に比べて宇都宮線・日光線は2割~6割程度にとどまります。この輸送量から、宇都宮・日光線は3両で十分という判断になったのでしょう。
一方、編成本数の増減でみてみると、相模線は205系13編成がE131系12編成となります。宇都宮・日光線は同12編成が15編成となります。
相模線は編成本数が減ったことで、ピーク時に現状と同じ運用を維持できなくなる可能性があり、ラッシュ時の運行本数の削減や、横浜線直通(橋本~八王子)の廃止が検討されることでしょう。宇都宮・日光線では逆に編成本数が205系より増えますので、他形式で運行している列車をE131系に置き換えるなど、何らかの運用変更が行われそうです。
E131系は、ワンマン運転に対応しているため、これらの路線では近い将来にワンマン化が実施される可能性が高そうです。首都圏では、205系3連で運行されている鶴見線もE131系投入の有力候補とみられます。(鎌倉淳)