JR東日本のインターネット列車予約サイト「えきねっと」が、6月27日にリニューアルします。新しいプラットフォームで、旅はどう変わるのでしょうか。
UIを改善
「えきねっと」が、JR東日本のインターネット電子モールとしてオープンしたのは、2000年4月。すでに20年以上の歴史があります。現在はJR東日本の列車予約サイトとして多くの人に利用されていますが、使い勝手はイマイチ。近年はだいぶマシになったものの、操作性に難のあるサイトとして指摘されることが多くありました。
2021年6月の「えきねっと」リニューアルの最大のポイントは、この操作性の改善です。UI(ユーザーインターフェース)を一新すると宣言しました。
具体的には、トップ画面からダイレクトに乗りたい経路を検索できるようになるほか、座席選択時に進行方向が確認可能になり、号車も自由に選ぶことができるようになります。空席状況と価格を比較しながら商品が選択可能になります。
アプリもアップデート
「えきねっと」アプリも大幅にアップデートします。新幹線eチケットや在来線チケットレスが最短3タップで予約可能になり、最大6人まで購入できるようになります。予約の変更や払い戻しにも対応します。
QRコードによる発券も注目点です。紙のきっぷを指定席券売機で発券する際に、「受取用QRコード」が使えるようになります。2人以上の予約では、QRコードを分けて送ることができ、別々の駅で発券することも可能です。
JR東日本の各駅では、QRコード読み取り機能付きの指定席券売機が、ここ数年急速に増えていましたが、このサービスを見据えていたのでしょう。
コンビニ払いに対応
予約時の決済方法も多彩になります。これまではクレジットカードしか使えませんでしたが、新たにコンビニエンスストア支払いと金融機関(ATM・ネットバンキング)支払いを追加。駅の券売機や窓口での現金支払いも可能になります。クレジットカードを持たない人でも、えきねっとを使えるようになるわけです。
ただし、コンビニ、金融機関、駅での支払いについては、JR東日本、JR北海道、JR西日本の列車を申し込む場合に限ります。JR東海、JR九州、JR四国の列車支払いには使えません。
「週末パス」も買える!
購入できる商品も広がります。「株主優待割引」や「往復割引」が適用された新幹線eチケットが購入可能になるほか、「週末パス」「北海道フリーパス」など、一部の企画乗車券も取り扱います。
シニア向け会員組織「大人の休日倶楽部」専用のきっぷも扱います。「大人の休日倶楽部パス」も買えるようになりますし、新設定の「大人の休日倶楽部割引」の新幹線eチケットが購入できるようになります。
JR北海道管内では、在来線用のチケットレス特急券が買えるようになります。札幌~岩見沢、苫小牧間などに設定され、定期券やICカード乗車券と組み合わせれば、窓口できっぷを購入することなく特急に乗車できるようになります。
「JRE POINT」付与率変更
さらに、同社の共通ポイントサービス「JRE POINT」の付与率も一部で変更されます。新幹線eチケット(指定席)の購入で最大2%、チケットレスサービスで最大5%のポイントが付与されるほか、ビューカードでは最大3%、ゴールドカードは最大8%が追加で付与され、最大13%を還元します。
ビューゴールドカード最大13%という付与率は、カードの還元率としては抜群です。JR東日本線を多く利用する人なら、新規会員になる動機としては十分でしょう。
割引きっぷが買いやすく
以上が、2021年6月の「えきねっと」リニューアルのおおざっぱな内容です。
旅行者から見た大きな改善点としては、割引きっぷや企画乗車券を購入できるようになることでしょう。前日が購入期限の「週末パス」が「えきねっと」で発売され、当日受け取りが可能になるなら、JR東日本エリア以外の旅行者が購入しやすくなります。エリア内の人も、前日までに駅に行かなくてもいいのなら、より使いやすくなるでしょう。
「株主優待割引」については、最近、駅の券売機できっぷの購入が可能になりましたが、今後は「えきねっと」でも新幹線eチケットが購入できるようになります。株主優待券の価値向上につながりそうです。「往復割引」は、通常運賃の「往復割引乗車券」とは違うようですが、これまで購入できなかった割引きっぷが、ネット購入できるようになることは、旅行者にとって朗報です。
チケットレス特急券については、JR北海道が札幌近郊で取扱いを開始しますが、内容は通勤客向けです。JR東日本は、今後、QRコードをチケットとして利用できる新たなチケットレスサービスも検討する予定なので、それが実現すれば、旅行者にとっても大きな変化になりそうです。(鎌倉淳)