ジェットスターの営業赤字は90億円、LCC3社の決算が出揃う。エアアジアは営業赤字33億円。ピーチの一人勝ちが鮮明。

ジェットスター・ジャパンの事実上の初年度決算がわかりました。売上高は128億円、営業赤字は90億円、最終赤字は88億円となりました。これは官報に公告された2013年6月期決算で、ジェットスター・ジャパンとしては第2期の決算です。ジェットスター・ジャパンの運航開始は2012年7月ですので、運航開始後の最初の決算となります。

ジェットスター

2012年に運航を開始した格安航空会社LCC3社の決算がこれで出揃いました。3社の最新決算は以下の通りです。

■ジェットスター・ジャパン
第2期決算公告(2013年6月期) 2013.10.15官報
資本金60億円 資本剰余金60億円 利益剰余金-114.84億円
売上128.19億円 営業損失90.58億円 経常損失88.22億円 当期純損失88.34億円

■ピーチ・アビエーション
第3期決算公告(2013年3月期) 2013.08.15官報
資本金75.15億円 資本剰余金74.85億円 利益剰余金-28.19億円
売上143.87億円 営業損失9.6億円 経常損失12.01億円 当期純損失12.09億円

■エアアジア・ジャパン
第2期決算公告(2013年3月期) 2013.07.01官報
資本金25億円 資本剰余金25億円 利益剰余金-36.96億円
売上34.67億円 営業損失33.89億円 経常損失36.36億円 当期純損失36.41億円

エアアジア・ジャパンは売上高34億円、営業赤字33億円。ピーチ・アビエーションは売上高143億円、営業赤字9億円という結果です。売上高に対する赤字額ではエアアジア・ジャパンが悪く、絶対的な赤字額で言えばジェットスター・ジャパンの数字が突出しています。これに対して、ピーチは売上高でジェットスターをやや上回り、営業損失はもっとも小さくなりました。決算数字を見る限り、ピーチの一人勝ちです。

それにしても、ジェットスター・ジャパンの決算数字は楽観できるものではありません。同社は今期に計72億円の増資をしたと報じられています。88億円の最終赤字を計上したのですから、増資分を1年で吹っ飛ばしてしまったわけです。同社の資本金は60億円、資本準備金が60億円ですが、利益剰余金はマイナス114.84億円、株主資本は5.15億円にまで細っています。

ジェットスターの機材数は6月時点で13機。9機だったピーチを上回ります。にも関わらず売上高はピーチを下回ったため、固定費負担が損失を膨らませたと推定できます。ピーチに比べると機材の稼働率だけでなく搭乗率も低かったと思われますし、ジェットスターはセールも多かったので、客単価も低かったかもしれません。

機材が余剰なのは、関西空港の拠点化の遅れが原因でしょう。その理由は機体整備上の不備です。整備については、10月9日に国土交通省から2度目の厳重注意を受けたばかりですので、関西空港の拠点化はさらに遅れる可能性があります。整備士を初めとする人員が機体の数に追いついていないのかもしれません。

ただ、関西空港拠点化が実施され、十分な整備体制が整えば、機材数は多いので路線網の拡大は急速に進むと思われます。機材の稼働率を上げることができれば、経営状況の改善が一気に見込めるかもしれません。

また、拠点となる成田空港のLCC支援体制も充実してきました。LCC利用者向けに、格安バスの早朝便が増便され続けていますし、スカイライナーの最終列車時刻も繰り下げられています。駐車場の割引制度も設けられました。空港での宿泊者に配慮して24時間営業のコンビニエンスストアも開設されています。今まで使いにくかった成田空港の早朝、深夜の利便性が向上すれば、ジェットスターにも追い風になるでしょう。

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