JR北海道への国の支援が継続される方針が固まりました。ただ、知事は「単なる赤字補填はできない」とし、赤字ローカル線を維持する枠組みに関しては不透明なままです。
関係者会議
JR北海道への現在の支援の枠組みが決まったのは2018年7月。国交省がJR北海道に対し経営改善を求める監督命令を出し、あわせて2019~2020年度の2年間を第1期集中改革期間として、計約400億円の財政支援を決めました。この支援の枠組みが2021年3月で終わるため、2021年度から始まる第2期集中改革期間(21~23年度)の財政支援が検討されています。
その方向性を話し合う「北海道の鉄道ネットワークに関する関係者会議」が、2020年12月12日に道庁で開かれました。出席したのは、国交省の上原淳鉄道局長、鈴木直道知事、JR北海道の島田修社長、北海道運輸局の加藤進局長。さらに、オブザーバーとして、旭川、名寄、富良野、北見、釧路、根室、岩見沢、苫小牧の沿線8市長や、JR貨物の真貝康一社長も参加しました。
増額も示唆
会議では、上原局長が、これまでのJR北海道や道、地元自治体の利用促進策を評価。「この2年間の措置をもう一歩進めた形で支援策の充実強化を図っていきたい」と述べました。JR北海道に対する支援の継続を明言したうえで、これまでの年約200億円の増額も示唆した形です。
背景として、JR北海道が運賃値上げや、快速「エアポート」の増便、ローカル線や無人駅の整理など、一定の経営努力を目に見える形にしていることや、新型コロナ禍で同社の事業環境が悪化していることが挙げられます。
支援内容として、上原局長は、経営安定基金の運用益の確保、貨物列車の走行区間のコスト、青函トンネル線区にかかる支援の継続、設備投資の支援、青函トンネル維持管理負担の見直し、新型コロナウイルスの影響も踏まえた資金繰り対策を挙げました。
「利用促進に資する支援ができるか」
ただ、JRが「単独で維持困難」としている路線のうち、地元負担を前提に存続方針を示している8路線の支援方法については不透明です。
会議で鈴木知事は「単なる赤字補填はできない。明確にそれはできないと考えている」と強調。道と沿線自治体は、19、20年度に8区間に対し利用促進費として各年2億円、計4億円を拠出していますが、道として増額は難しいとの認識を示した形です。
とはいえ、知事としても、夕張市長時代に見せた「攻めの廃止」といった踏み込んだ姿勢を示しているわけではありません。「来年度以降、利用促進に資する支援ができるか。検討状況や地域の取り組みの成果も踏まえて市町村の意見を聞きながら検討を進めたい」とも述べており、「単なる赤字補填でない支援方法」について、検討が進められていくことになりそうです。