JR東日本「終電繰り上げ」の全詳細。午前1時以降をばっさりと

早寝ダイヤへ

JR東日本が2021年春のダイヤ改正で、首都圏の17路線で終電を繰り上げます。午前1時以降に運転する列車をばっさり短縮した内容で、とくに末端部での影響が大きそうです。

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首都圏100km以内で実施

JR東日本で終電繰り上げの対象となるのは、東京駅を中心としたおおむね100km圏内を走る路線。山手線や京浜東北線、中央線など、都心部を走る路線も含まれます。首都圏の主要路線で一律に終電時刻を早めるのは、1987年のJR東日本発足以来初めてです。

JR東日本は、終電繰り上げの目的として、鉄道工事における働き方改革の実現や、鉄道設備の設置・保守のスピードアップをあげています。また、新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした利用者の行動様式に対応したと説明しており、終電時間帯の列車利用者が減少していることも大きな理由のようです。

終電繰り上げ時間

具体的な終電繰り上げ時間は、下図をご覧ください。

JR東日本終電繰り上げ
画像:JR東日本プレスリリース

JR東日本終電繰り上げ
画像:JR東日本プレスリリース

JR東日本終電繰り上げ
画像:JR東日本プレスリリース

JR東日本終電繰り上げ
画像:JR東日本プレスリリース

JR東日本終電繰り上げ
画像:JR東日本プレスリリース

20分以上繰り上げる区間

終電繰り上げ時間は、路線によりさまざまですが、おおむね20分以上の繰り上げになるのは以下の区間です。

○京浜東北線・川崎~桜木町(33分程度)、関内~磯子(24分程度)
○中央線各駅停車・高円寺~三鷹(25分程度)
○中央線快速・新宿~高尾(29~30分程度)
○青梅線・拝島~青梅(22分程度)、宮ノ平~奥多摩(37分程度)
○武蔵野線・府中本町~東所沢(26分程度)
○総武線各停・幕張本郷~千葉(23分程度)
○京葉線・海浜幕張~蘇我(30分程度)
○京浜東北線・浦和~大宮(23分程度)
○高崎線・深谷~高崎(21分程度)、高崎問屋町~新前橋(37分程度)
○宇都宮線・自治医大~宇都宮(24分程度)
○常磐線快速・北松戸~取手(22~23分程度)、神立~勝田(23分程度)

ざっとみて気づくのは、20分以上の繰り上げになるのは、京浜東北線、中央線、総武線各停、京葉線、常磐線快速といった近距離電車が多いことでしょうか。

とくに、近距離電車の末端での終電繰り上げが多くなっています。中央線各駅停車の中野~三鷹間、青梅線、総武線各停の幕張本郷~千葉間、京浜東北線の浦和~大宮間などです。

一方で、東海道線、横須賀線、高崎線、宇都宮線といった中距離電車は、おおむね10分台までの繰り上げに収まっています。

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1時以降がばっさり

時刻表と照らし合わせながら見ていくと、午前1時を超える区間が集中的に繰り上げ対象になっていることが察せられます。1時以降の深い時間に列車が多く走っているのは近距離電車で、なかでも末端区間は遅くまで走っているので、繰り上げ幅が大きくなってしまったのでしょう。

中距離電車でも、東海道線の小田原や、宇都宮線の宇都宮、高崎線の高崎といった、相対的に終電が遅い末端部で、ばっさり繰り上げられました。これも「1時終電」の基準を適用したからでしょう。

基準を一律にすることで、行政や政治家からの口出しを避けようという意図が含まれているのかもしれません。

中央線

私鉄との競合は?

私鉄との競合は、あまり考慮されていないように感じられます。京王線や西武新宿線と競合する中央線は、一律ほぼ30分繰り上げという厳しい措置ですし、京急と競合する京浜東北線も繰り上げ幅は大きい方です。

また東京メトロと競合する山手線や中央線の都心区間は、メトロの終電にあわせるような時間帯になりました。

JR東日本は、今回のダイヤを私鉄各社に提示して、終電時刻の調整をする方針です。私鉄各社も終電繰り上げを検討していると報じられており、JRの繰り上げに歩調を合わせて、終電を早めてくるかもしれません。

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あまり影響ない?

終電まで飲み歩く人が少なくなった昨今ですので、20~30分の終電繰り上げに悲鳴を上げる人は多くないようです。ツイッターを見ても「影響ない」旨の書き込みが目立ちます。電車が早く終わるなら、夜遊びも早く切り上げればいい、という程度と受け止めている人が多いようです。

当サイトで過去に終電記事を載せたときも、意外なほどにアクセスが少なく、「終電問題」への関心の低さを痛感しました。

ただ、国鉄が民営化されJRが発足して以来、これほどの終電繰り下げが行われたことはありません。その点で、社会的には大きな意味を持つといえます。「夜更かし社会」から「早寝社会」への転換を象徴するダイヤ改正、と表現したら言い過ぎでしょうか。

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