JR東日本が、2020年度の設備投資計画を発表しました。新型コロナウイルス感染症の影響が続く状況ですが、中央線グリーン車導入など主要な計画に変更はなく、前年度から設備投資額は大きくは減りません。ただ、今後は投資が抑制される可能性もありそうです。
300億円減
JR東日本の発表によりますと、2020年度の設備投資は連結で7110億円、単体で5510億円を計画しています。 2019年度実績と比べると、連結で約300億円減、単体で約670億円減となります。
2019年10月の台風19号で被災したE7系については、2022年度末までに復旧に向けた車両新造を進めます。横須賀・総武快速線にはE235系電車、津軽線・五能線・奥羽本線にはGV-E400系電気式気動車、男鹿線にはEV-E801系交流蓄電池電車を投入します。
中央快速線へのグリーン車導入についても工事をすすめ、予定通り2023年度末の実施を目指します。
成長投資は確実に
ホームドアについては、山手線では東京駅、京浜東北線では品川駅(大宮方面)・東京駅・与野駅など、中央・総武緩行線では信濃町・千駄ヶ谷駅などで使用を開始する予定です。エレベーター、トイレ、案内表示などの駅設備の改良も各駅ですすめます。
防犯カメラの設置拡大や、侵入防止柵の整備など、駅・列車内などでセキュリティ向上の取組みも継続します。
こうした内容を見ていると、これまでに計画していた設備投資の多くは、新型コロナ禍があっても変更せずに実施することがわかります。
ラッシュ時の混雑が緩和し、減便の検討すら行われている状況ですが、中央線快速のグリーン車導入予定に変更がない、というのはその象徴でしょう。
JR東日本は、「収益力の向上に資する成長投資、業務改革や働き方改革に資する重点枠投資は着実に実行する一方、維持更新投資については新型コロナウイルス感染症拡大による減収などに鑑み、安全の確保を前提にしながらコストダウンを行った」としています。
ダイヤなど見直しへ
JR東日本は、2021年3月期の業績予想のなかで、短期的に固定費を削減し、維持更新投資を見直すと掲げています。さらに、設備をスリム化し、車両更新周期を見直すほか、輸送ダイヤなど事業の基本となる事項についても見直すとしています。
JR東日本は、2021年3月期で過去最大の4180億円もの連結最終赤字を予想しています。
2021年度以降の業績の見通しはわかりませんが、これだけの赤字を出しながら、7000億円規模の設備投資を続けていくのは難しいとみられます。となると、今後、車両更新のペースが鈍るなど、利用者にも目に見える形で影響が出てくるかもしれません。