JRが首都圏、関西圏で終電繰り上げへ。私鉄の終電と比べてみる

主要路線の終電到着時刻を見てみる

JR東日本とJR西日本は、2021年春のダイヤ改正で、東京圏、関西圏の終電の時刻を繰り上げると発表しました。午前1時以降の列車の運転はほぼなくなりそうです。

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首都圏は午前1時到着に

JR東日本は、2021年春のダイヤ改正で、東京駅から100km圏内のほぼすべての路線で最終電車の時刻を繰り上げます。

繰り上げは山手線や中央線をはじめ、首都圏のほぼ全ての主要路線で実施する計画で、終着駅の到着時刻を30分程度繰り上げ、午前1時ごろに設定します。一部路線では始発の時間の繰り下げも行います。

具体的な路線や繰り上げ時刻は、2020年10月頃に発表する予定です。首都圏全域で同時に繰り上げるのはJR東の発足以来初めてです。

山手線

関西圏は約50本削減

JR西日本も、2021年春のダイヤ改正で、関西圏の最終電車を繰り上げます。対象は近畿エリアの大阪環状線や神戸線など主要な線区です。大阪駅や京都駅など主要駅を午前0時以降に発車する列車を中心に1日に約50本の運行を削減。ただし、新幹線や他の私鉄の終電との乗り換えは考慮します。

保守作業の人手不足で

JR東日本も、JR西日本も、終電の繰り下げの理由として挙げているのが、線路の保守作業員の人手不足。終電繰り下げにより、列車の間合いを長く取ることができ、保守作業を効率化させます。

1日の作業量を増やせれば、保守作業員が休日を取りやすくなり、採用面もしやすくなると目論みます。

近年の働き方改革で、深夜帯の利用が減少しているという背景もあります。JR西日本によりますと、2013年と2019年を比べると、大阪、京都、三ノ宮の各駅の利用者数は午前0時台で15%減と、時間帯別では最も減少幅が大きかったそうです。

最近のコロナによる影響もあります。JR東日本によると、山手線の0時台の利用状況はコロナ前に比べ66%減。テレワークが急速に広まったこともあり、JR東日本は利用者の行動様式が元に戻ることはないとみています。

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主要駅の終電到着時刻

JR東日本もJR西日本も、終電の繰り上げ対象となる列車は明示しませんでしたが、1時以降まで運転をする列車を中心に、主要路線でまんべんなく終電を繰り上げる様子です。

首都圏、関西圏の主要路線の終着駅の終電到着時刻を並べてみましょう。

【首都圏】

小田原01時21分
久里浜00時51分
逗子00時54分
大船01時09分
大月01時10分
高尾01時22分
川越00時57分
高崎01時37分
宇都宮01時25分
大宮01時17分
勝田01時15分
取手01時05分
成田00時36分
千葉01時21分
蘇我01時23分

【関西圏】

姫路01時24分
西明石01時38分
篠山口00時39分
園部00時52分
米原01時06分
京都01時05分
松井山手00時44分
四條畷01時01分
奈良01時04分
御坊01時03分
和歌山00時48分

路線にもよりますが、主要路線ではおおむね1時すぎまで列車が走っていて、なかには1時半を過ぎる列車もあります。こうした遅い時間を走る列車は、終電繰り上げで真っ先に削減対象になりそうです。

ただ、最終電車は車両運用や乗務員繰りとも関係していますので、単純にいまある列車を削減するのではなく、深夜時間帯のダイヤの大幅な改定をともなうことになるかもしれません。

また、新幹線の最終列車との接続は考慮されるようですので、東京駅や新大阪駅を午前0時頃に出る列車は維持されるでしょう。両駅を0時30分頃以降に出る列車が削減や運転区間の縮小の候補になりそうです。

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私鉄と比べてみると

私鉄とも比べてみましょう。現在の首都圏、関西圏の私鉄主要路線の最終電車の終着駅到着時刻を並べてみます。

【首都圏】

京急久里浜01時01分
金沢文庫01時01分
海老名01時09分[相鉄]
元町・中華街00時57分
菊名01時09分
中央林間01時13分
鷺沼01時10分
小田原01時14分
片瀬江ノ島00時59分
相模大野01時19分
京王八王子01時11分
本川越00時44分
飯能01時05分
小手指01時20分
森林公園01時06分
川越市01時23分
南栗橋00時49分
越谷01時09分
つくば00時43分
守屋00時58分
京成成田00時58分
京成佐倉00時59分

【関西圏】
阪神元町00時40分
神戸三宮00時37分[阪急]
京都河原町00時42分
出町柳00時49分
近鉄奈良00時42分
青山町00時29分
五位堂00時28分
高安00時50分
橿原神宮前00時26分
河内長野00時26分[近鉄]
橋本00時21分
三日市町00時45分
和歌山市00時43分
羽倉崎00時59分

上記のように、主要私鉄は首都圏がおおむね午前1時頃、関西圏は0時40分頃に最終電車が終点に着いています。JR東日本、JR西日本が終電を繰り上げたとしても、私鉄並みになる程度で、私鉄より運行時間帯が短くなることはなさそうです。

これまで、国鉄の時代から、「国鉄(JR)は私鉄よりも終電が遅い」というのが一つの特徴でした。職業によっては、終電の遅さで住む場所をJR沿線に選んでいた人もいるでしょう。私鉄が終電の繰り上げをしないならば、今後はそうした差がなくなっていくのかもしれません。

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