JR西日本は、2019年春に全線開業するおおさか東線の運転体系の概要を発表しました。開業により、何が変わるのでしょうか。
2019年春に全線開業
おおさか東線は新大阪~久宝寺間を結ぶ20.3kmの路線です。城東貨物線を旅客化するもので、「南区間」と呼ばれる放出~久宝寺間9.2kmは2008年に先行開業しています。残る「北区間」の新大阪~放出間11.1kmが工事中で、2019年春に全線開業する予定です。
JR西日本は、2018年11月13日に、全線開業後のおおさか東線の運行系統を発表。それによりますと、新大阪~久宝寺間に毎時4本(15分間隔)の普通列車を運転します。
ダイヤの骨格は現在と同じで、放出~久宝寺間の列車を、新大阪まで延伸するようです。全線の所要時間はおおむね35分となります。
ラッシュ時に「直通快速」
これにくわえ、ラッシュ時などには新大阪~奈良間を結ぶ「直通快速」を運転。直通快速は、平日朝に奈良発新大阪行きを4本、平日夕方に新大阪発奈良行きを4本設定します。土休日は朝夕に新大阪発奈良行きを2本、奈良発新大阪行きを2本設定します。
平日は通勤客向け、土休日はお出かけや観光客を意識したダイヤになっています。
直通快速のおおさか東線内の停車駅は、放出、高井田中央、JR河内永和の3駅です。このうち高井田中央駅とJR河内永和駅は、これまで快速通過駅でしたが、新大阪延伸にあわせて新たに快速停車駅となります。
一方、現在運転されている尼崎~奈良間の直通快速は、尼崎~放出間の運転を取りやめます。おおさか東線から北新地・尼崎への直通列車がなくなります。
新大阪~奈良に新ルート
おおさか東線の全線開業のトピックスは、新大阪~奈良間に新ルートができることでしょう。大阪東部地域や奈良方面から、新幹線の拠点駅である新大阪駅への鉄道の利便性が高まります。
ただ、直通快速の運転は1日4本に限られることから、新幹線を使って奈良へ向かう観光客には、使いやすいとはいえません。どちらかといえば、おおさか東線、大和路線沿線住民の、新幹線アクセスの利便性が向上する効果のほうが大きそうです。
直通快速の所要時間は、新大阪~奈良間でおおむね60分です。現在の大和路快速の大阪~奈良間は約50分ですので、新大阪~奈良間において、時間短縮効果もあまりありません。
運賃は変わる?
現在の放出~大阪~新大阪間が11.2km、新規開業するおおさか東線の放出~新大阪間が11.1kmであることから、最短経路で計算される運賃に大きな変化はありません。
北区間には、南吹田、JR淡路、城北公園通、鴫野の各駅が新設されますが、このうち南吹田駅が吹田市、それ以外が大阪市内に位置します。
これらの駅が「大阪市内駅」に指定されるのかは未発表です。ただ、報道公開された南吹田駅の駅名標の右上に、何かのマークを隠すようにシールが貼られていました。
隠しているのは「阪」のマークでしょう。そのため、おそらくは南吹田駅を含む全駅が大阪市内駅に指定されると推察されます。
北梅田へ乗り入れ可能
おおさか東線は新大阪が始発駅となりますが、今後、東海道線支線(梅田貨物線)の地下化工事が完成すれば、新設される北梅田駅へ乗り入れできる構造になっています。
北梅田駅開業は2023年春の予定で、おおさか東線が乗り入れれば、新大阪を経て梅田エリアに直通できることになります。
北梅田からは、なにわ筋線の建設計画も進められています。実現すれば、関西空港から北梅田を経て奈良に至る鉄道系統の設定も可能になります。遠い将来の話にはなりますが、夢のある路線といえそうです。(鎌倉淳)