JR西日本が、新快速に有料座席サービス「Aシート」を導入すると発表しました。一部の付属編成を改造し、1日4本の運転でスタートします。
223系1000番台2両を改造
JR西日本の「新快速」は、琵琶湖線、JR京都線、JR神戸線などを走る同社を代表する快速列車です。日中の京阪神エリアでは、15分ごと、毎時4往復が運転されています。8両の基本編成と4本の付属編成を組み合わせ、最大12両編成で運転しています。
JR西日本によりますと、「新快速」12両編成のうち、付属編成の1両(9号車)に有料座席を設置します。車両は223系1000番台の2編成(2両)を改造。2019年春から1日あたり上下4本を運転する計画です。
改造される車両の内装は、落ち着きのある空間にします。座席はリクライニングシートとなり、テーブルも設置。現在の新快速も転換クロスシートですが、より快適なリクライニングシートになるようです。電源コンセント、無料Wi-Fi、荷物スペースも設置。着席定員は46人です。
試験的な先行導入?
着席料金は500円。利用する際は、空いている席に座り、乗務員から現金や交通系ICカードで乗車整理券を購入します。要するに自由席として運用するようで、車内発券のみというのが、首都圏などのグリーン車との最大の違いです。
リクライニングシート設備を備えるなら、「グリーン車」としてもいいように思えますが、JR西日本では「Aシート」という形にしました。駅窓口やエリア外で整理券を販売しないなどの事情を考慮したのかもしれません。また、価格も500円と、首都圏グリーン車に比べて低く抑えています。
とりあえず、2編成、1日4本の運行という点から、試験的な先行導入とみられます。利用状況を見ながら本格導入をさぐるのでしょう。
「1日4本」がどの列車になるかは明らかにされていませんが、プレスリリースの「運転線区」では、「JR神戸線・JR京都線・琵琶湖線」とのみ書かれています。文字通り解釈すれば、北陸線や湖西線には乗り入れない新快速が該当します。
利用されるのか
車内でチケットを購入するというシステム上、普通席に空席があるときには、「Aシート」を使う客は少ないでしょう。逆に、列車が混雑していれば、「Aシート」に移動してきて座る客も多いとみられます。
利用者としては、車内状況を確認してから「Aシート」に乗るかを決められるので、利用しやすいかもしれません。そのため、1日4本の列車が混雑時間帯に運行されるなら、「Aシート」の利用者は多そうです。
ただ、事前座席指定ではないので、乗る前の着席保証にはなりません。「乗ってみなければ座れるかわからない」という点では、着席サービスとしてはどうなのだろう?という気もします。
鉄道会社側にとっても、アテンダントの車内発券業務は負担になります。試験導入の段階なので、試行錯誤があるのでしょう。
全体として、現時点では中途半端なサービスに感じられます。本格導入されるとすれば、どのような形になるのか。興味深いところです。(鎌倉淳)