「モバイルSuica特急券」が「えきねっと」に統合。新幹線ネット予約はどう変わる?

ちょっと複雑かも

東北・上越・北陸新幹線系統で、新たなICカード乗車サービスが開始されます。交通系ICカード乗車券で新幹線指定席などに乗車できるものです。これにともない、「モバイルSuica特急券」は廃止されます。最新の新幹線ネット予約のサービスをまとめてみました。

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「えきねっと」で予約して「Suica」で乗る

交通系ICカードによる新たな乗車サービスが行われるのは、東北・北海道・上越・北陸・山形・秋田の各新幹線。JR東日本によると、2019年度末をメドに、「Suica」「Kitaca」「ICOCA」といった交通系ICカード乗車券で、新幹線を利用できます。

手順としては、列車予約サイトの「えきねっと」(JR東日本・JR北海道)や「e5489」(JR西日本)で新幹線の指定席・自由席を予約する際に、交通系ICカード情報を合わせて登録します。すると、そのカードを使ってチケットレスで新幹線の自動改札を通過できるようになります。

現時点で、対応する交通系ICカードとして発表されたのは、Suica、Kitaca、ICOCAの3つ。そのほかの交通系ICカードにも対応すると思われますが、JR東日本では決まり次第案内するとしています。

新サービスでは子どもの利用も可能で、1回の予約で6人まで利用することができます。その場合、人数分の交通系ICカードが必要です。予約サイトでは、運賃と料金が一体となった新幹線専用商品を発売する予定です。

JR東日本チケットレスサービス
画像:JR東日本プレスリリース

JR東日本チケットレスサービス
画像:JR東日本プレスリリース

「えきねっと」が「モバイルSuica特急券」を吸収

JR東日本には、チケットレスサービスとして「モバイルSuica特急券」があります。携帯電話端末で新幹線にチケットレス乗車できるしくみですが、新サービスにあわせて廃止されます。新幹線チケットレスサービスの乗車用端末を、携帯電話から交通系ICカードに切り換え、「えきねっと」で予約可能にするわけです。

これまでのJR東日本の新幹線ネット予約は、「えきねっと」と「モバイルSuica特急券」に分かれていて、わかりにくい部分がありました。今回の新サービスは、この二つを、いわば統合するわけです。形としては、「えきねっと」が「モバイルSuica特急券」を吸収合併する、と表現できるでしょうか。

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「タッチでGo!」「スマートEX」との違い

交通系ICカードを利用した新幹線乗車サービスとしては、他にJR東日本の「タッチでGo!新幹線」と、JR東海・西日本の「スマートEX」があります。

「タッチでGo!新幹線」は、自由席にその都度チケットを買わずに乗車できるもので、今回の新サービスよりも手軽に新幹線を利用できます。ただし、利用区間は東北・上越・北陸新幹線の首都圏エリアに限られます。

「スマートEX」は、東海道・山陽新幹線が対象のサービスです。乗車前に新幹線チケットを購入し、交通系ICカードに登録するもので、今回の新しい乗車サービスと似ています。

「スマートEX」は、紙の乗車券を受け取って利用することができますが、「えきねっと」でもすでに同様のことができます。在来線列車の予約が可能な点など「えきねっと」のほうがサービス範囲は広いですが、新幹線乗車に限っては、両者の機能は似たようなものになりそうです。

スマートEXとEX予約

JRのインターネット予約サービスを整理する

これからのJRのインターネット列車予約サービスを整理してみましょう。東海道・山陽新幹線が「スマートEX」、東北・北海道・上越・北陸・山形・秋田新幹線が「えきねっと」。この二つが基本になります。「えきねっと」は関東甲信越以東の在来線特急も予約できます。

東海道・山陽新幹線の予約には「エクスプレス予約」もありますが、有料会員制なので、新幹線に頻繁に乗車する人向けです。少し前まで「プラスEX」というサービスもありましたが、「エクスプレス予約」に統合されています。

JR西日本・四国には、「e5489」という列車予約サービスがあります。在来線も含めて西日本・四国・九州エリアのJR線列車を予約できますが、新幹線のチケットレス乗車には未対応です。

九州新幹線や九州の在来線は「JR九州列車予約サービス」で予約できます。ただし、JR九州のサービスは、チケットレス未対応です。

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数年ごとに変化する

このほか、予約サービスではありませんが、特急券類を事前購入(予約)せずに新幹線を乗車する人向けのチケットレスサービスとして、上述したJR東日本の「タッチでGo!新幹線」があります。

東海道新幹線には、事前に特急券を購入しないで乗車できるチケットレスサービスはありません。

JRの列車予約サービスはちょっとばかり複雑です。数年ごとに新サービスが生まれていますので、日頃から乗り慣れていない人は、最新情報に追いついていくのに、少し骨が折れそうです。(鎌倉淳)

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