建設中の北海道新幹線札幌駅のホーム位置について、現駅より東側約200mに設置する「修正東側案」で決着することになりました。今月中にも正式決定します。
2年にわたり議論
北海道新幹線は新函館北斗~札幌間が建設中で、2030年度末の開業を目指しています。しかし、札幌駅のホーム位置について、認可された「在来線ホーム転用」が困難だとして、JR北海道が別位置での建設を主張してきました。
2016年10月には、認可案と「旧東側案」の2案に絞り込まれましたが、結論が出ず、2017年10月に「地下案」も検討に追加。しかし、費用面などから検討対象から外れ、JR北海道が新たに提案した「修正東側案」(東案その2)と認可案で絞り込み作業を進めてきました。
工事着手のリミットが迫るなか、2018年3月12日に開かれたJR北海道と鉄道建設・運輸施設整備支援機構、国、道、札幌市による5者協議でJR北海道が提案する「修正東側案」について検討。技術的課題が解決できる見通しが立ったとして、今月中に正式に決定する方針が固まりました。
西1丁目にも改札口
「修正東側案」では、新幹線ホームは創成川をまたぐ形で設置されます。2面2線の対向式ホームが設けられ、到着と出発でホームを分けて使用します。在来線との乗り換えには跨線橋を設け、西1丁目に新幹線改札口と在来線改札口を新設します。
また、ホーム東端のグランクラス、グリーン車の位置に専用エレベーターを設置し、地上に専用の貴賓室や車寄せを設置するとしています。
ホームの幅は約10m。下りホーム(降車側)では、西端部が約9m、東端部が約5mと狭くなります。在来線ホームと新幹線ホーム位置は、ずれており、埼京線の渋谷駅のような形になりそうです。
新在乗り換えの移動距離は約300mで、乗り換え時間として約6分(新幹線列車中央から5、6番線の先頭車両まで)かかります。一方、新幹線専用コンコースが広く取れることなどのメリットもあります。
札幌駅東側の再開発に弾み
ホーム位置が固まったことで、札幌駅周辺の街づくり計画も進展しそうです。札幌市は、これまで、現駅案を前提として再開発計画を検討してきましたが、今後は、「修正東側案」に沿って計画作りが本格化するでしょう。
札幌駅東側は開発がやや遅れていたエリアでもあり、新しい駅舎、改札口ができることは、再開発にはメリットといえます。
地下鉄からの新幹線への乗り換えは、東豊線が便利になります。これまで大通やすすきの方面から札幌駅へのアクセスは南北線が主力でしたが、新幹線開業後は変化が起きるかもしれません。
延伸は考慮されているか
気がかりなのは、決定案が北海道新幹線のさらなる延伸に備えているのか、という点です。新幹線の基本計画では、北海道新幹線は旭川まで延伸する構想ですし、長万部から室蘭・苫小牧を経て札幌に至る北海道南回り新幹線の計画もあります。
「修正東側案」では、苗穂方に引き上げ線が作られるようで、東側に線路が抜けられますので、延伸を実現する場合に経路上の問題はなさそうです。
ただ、対向式2面2線のホームでは捌けないでしょうから、将来的に線増できる余地がほしいところ。そうした発展性を備えているかが、公表されている資料からはわかりません。
現時点では、旭川延伸も北海道南回り新幹線も、夢物語の域を出ず、実現に向けた動きはほとんどありません。ただ、2030年度に北海道新幹線が札幌開業を果たしたら、必ず話題に上ることでしょう。
北海道新幹線の札幌駅位置問題がこじれた大きな原因は、新幹線延伸についてよく検討せずに、駅前にタワーを作ってしまったことにあります。同じ轍を踏まないためにも、「修正東案」では、ぜひ将来の延伸に備えた作りにしてほしいところです。(鎌倉淳)