仙台-石巻間を結ぶ仙石線と東北本線が直通運転されることになりました。これは、JR東日本が2012年10月18日に発表したものです。
仙石線は民鉄の宮城電気鉄道として開業し、戦時中に国有化された路線です。両線は松島周辺で併走する区間があり、渡り線も設けられていましたが、これまで直通運転がされたことはありませんでした。
仙石線は現在、東日本大震災で一部区間が不通になっていますが、今回の発表では、それを2015年中にも全線復旧させるとのこと。その際、仙石線と東北本線との渡り線を整備し、直通列車を運行するそうです。渡り線は東北本線の塩竃-松島間、仙石線の松島海岸-高城町間に設けられます。この区間にはすでに車両搬入・搬出の渡り線が存在しますが、それを定期列車用に整備するようです。整備は約400メートルのレールを新設し、事業費は約20億円と見込んでいます。
ただし、東北本線は交流20000V、仙石線はかつて地方私鉄だったために直流1500Vで、電車の直通はできません。そのため、この計画でも電車の利用は想定されておらず、直通運転をするのはディーゼル車両とのこと。快速運転を想定しているようで、震災前に最速1時間3分かかっていた仙台―石巻の所要時間が、10分も短縮されるとのことです。
この仙台―石巻の直通列車は、仙台―塩釜では東北本線、高城町―石巻では仙石線を走ります。走行距離は仙石線とほぼ同じですが、東北本線は停車駅が少ないうえ、快速運転によって所要時間を縮められるでしょう。また、仙台駅の東北本線ホームは地上にあるため、新幹線などへの乗り換えも便利になります。
ディーゼル車両のため、石巻から先、非電化区間の石巻線女川方面にも直通乗り入れが可能。そうなると、仙台-高城町-石巻-女川間の直通列車の運転が実現するかもしれません。
もともと、震災前にも仙石線の石巻行き快速列車は同線内で運転されていましたが、2015年以降はこの快速を全面的に東北本線に移管するものと思われます。仙石線は駅が多いわりに待避設備が少ないので、快速運転にはもともと不向き。そのため、快速を東北線に移すことで「緩急分離」をはかるのではないかと思います。
その場合、高城町で系統分断され、仙石線本塩釜経由の列車はすべて仙台-高城町の区間運転になる可能性もあります。ラッシュ時はともかく、日中は東北本線の線路容量には余裕がありますから、そうなるのではないか、と推察します。
現在、仙石線は津波で一部線路が流失し、高城町-陸前小野間が不通となっています。現在の仙台-石巻間の所要時間は、東北線小牛田駅経由で約1時間10分、松島海岸-矢本間で運行する代行バスを利用すると約1時間40分となっています。