「トワイライトエクスプレス瑞風」は一人旅に優しいか? JR西日本が客室を公開、2段式寝台も設置

JR西日本が「トワイライトエクスプレス瑞風」の車両を公開しました。アールデコ調のデザインや、1両1室のスイートルームのほか、シングルルームが設定された初の国内クルーズトレインです。

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2017年6月に運行開始

「トワイライトエクスプレス瑞風」は、JR西日本が2017年6月17日から運行を始めるクルーズトレインです。いわゆる「豪華寝台列車」ですが、定期運用はされず、団体列車として用いられます。

車両はすでに完成し、試験走行も行われてきましたが、これまでは車体を保護するため黒いシールで覆われていました。2017年2月23日にシールが剥がされ、深緑色に金色のラインが入った外観や内部が公開されました。

瑞風

形式名は「87系寝台気動車」

「瑞風」はディーゼル発電機で発電した電力と、バッテリーアシストによるモータ駆動という、ハイブリット動力方式を採用した車両です。

形式名は「87系寝台気動車」で、最高速度は110km/h。10両編成で、4両の内燃車と6両の付随車で構成される4M6Tです。客室は16室あり、「ザ・スイート」「ロイヤルツイン」「ロイヤルシングル」の3クラスに分かれています。定員は30名、エキストラベッドを用いた最大定員は34名です。

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スイートはダブルデッカー仕様

注目を浴びているのが、「ザ・スイート」。1車両1室という世界でも類をみない贅沢な車両です。1泊2日コースで1室2名150万円の値付けは、日本の鉄道客車として最高水準でしょう。

ダブルデッカー仕様で、通路を客室の下に潜り込ませることで、客室から左右の眺望を確保しています。ベッドは2つしかありませんが、ソファをベッドにすることで最大4名が利用可能。バスタブ付きのバスルームがあり、トイレは2箇所あります。

瑞風スイート

標準的客室が「ロイヤルツイン」

「瑞風」で標準的な客室が、「ロイヤルツイン」です。ソファが進行方向に向かって並列しています。

ソファは収納式ベッドになっており、夜はそのまま進行方向と平行のベッドになります。小さなテーブルと、トイレ、シャワールームが付いています。

瑞風ロイヤルツイン

「ロイヤルシングル」には2段式寝台も

国内のクルーズトレインとして初めて登場したのが、シングルルーム。これまでのクルーズトレインは2人利用を前提としていたので、「お一人様」のための部屋を設けた「瑞風」は、一人旅にも優しい列車といえます。

「瑞風」の「ロイヤルシングル」には横に長いソファが設置されていて、夜はそのままベッドになります。

進行方向と直角で寝る形は、昔ながらのB寝台スタイルです。ライティングデスクと、トイレ、シャワールームもあります。一人で使うには十分です。

瑞風シングル

ソファ上段にも寝台が収納されていて、開くと2段式寝台になり、2名使用も可能です。いまとなっては2段式寝台は懐かしい感じもします。

瑞風2段寝台

ただ、「ロイヤルシングル」を2人で使うには、クルーズトレインとしてはやや狭いかな、という印象です。2泊3日の行程に、この部屋に2人となると、かなりの仲良し限定になりそう。

これまでの寝台特急の常識からいえば、十分広いのですが、クルーズトレインの場合は1人利用がよさそうです。

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食堂車は2交代制

食堂車(6号車)は2人卓が6つと、4人卓が2つで、計20名が座れる構成です。「瑞風」の最大定員は34名ですから、2交代での運用を想定しているようです。

シングル利用者は2人卓を1人で利用するとみられますが、シングルは2室だけですので、十分間に合います。でも、この豪華な食堂車で、1人利用はちょっと寂しいと感じる人もいるかもしれません。

ちなみに、スイートの利用者はルームサービスで食事をとることもできるそうです。シングル利用者にも、ルームサービスをしてほしいという要望が寄せられるのではないでしょうか。

瑞風食堂車

ラウンジには喫煙室

食堂車の隣の5号車にはラウンジがあり、バーカウンターも設置されています。飲み物はオールインクルーシブになる見込みですが、まだ検討中の様子。

ラウンジには隔離された喫煙室も設置されています。「瑞風」は全室禁煙と思われますが、スモーカーはここで一服できます。

瑞風ラウンジ

展望車には「かぶりつき」用チェア

1号車と10号車は展望車です。ミニラウンジが設置されています。天井近くまでガラス張りになっています。上と左右はワイドな眺望を楽しめそうです。

下の写真は、ラウンジ後方から運転席方面を見た形ですが、ラウンジから前方・後方をダイナミックに望むことは難しい構造です。ただ、運転席の後ろにミニチェアが設置されていて、「かぶりつき」をする人はここに座ると、運転席をのぞき込めます。じっくり前方を見たいなら、一人旅でかぶりつくのがおすすめかも。

瑞風展望室

眺望を楽しみたいなら、「展望デッキ」に出るのがいいでしょう。展望デッキは、車両外部に出られる空間で、いわば「ベランダ」です。後方展望デッキは、走行中も開放されることが検討中だそうです。前方展望デッキは、乗客の安全のため、外にでることはできません。

ちなみに、各車両には乗務員室が分散して設置されています。列車長スペースは5号車、車掌室は4号車、サービスクルー室は2、3、8、9号車。サービスクルーの寝室は、1号車と10号車に設けられています。

座席の向きにこだわる方は?

「瑞風」のツアーは、当面、「大阪・京都~下関」に設定されます。山陽本線と山陰本線経由で、1泊2日と2泊3日のコースがあります。

1泊2日の場合、「大阪→下関」「下関→大阪」といった「片道利用」になり、2泊3日の場合は、「大阪・京都→下関→大阪・京都」という周遊旅行になります。

1人で利用するなら、1泊2日コースの片道利用で十分な気がします。1泊2日コースでもシングル一人利用は33万円~で、価格的には「優しい」とはいえません。

注意点として、シングルもツインも座席は転換しません。また、片道利用では進行方向の変更もほとんどありません。そのため、座席の向きにこだわる方は、どの部屋になるかが気になりそうです。

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