南海電鉄の和歌山市駅の駅ビルが建て替えられることが決まりました。現在の駅ビル(南海和歌山ビル)は取り壊され、跡地に4階建ての新ビルが建てられます。新ビルには市民図書館が入居する予定。また、隣接地にオフィスビルが新築されます。駅施設は1階に移ります。
かつての1番線に新駅舎
和歌山市駅では、南海和歌山ビルで営業していた高島屋和歌山店が2014年8月に閉店。駅を含めた周辺地区の活性化が大きな課題となっていて、南海電鉄と和歌山市が連携して駅周辺の活性化について検討を進めてきました。その事業構想がまとまりました。
南海電鉄と和歌山市の発表によりますと、第1期工事として、現在の駅ビルに隣接する駐車場スペースに鉄骨造り7階建て延べ約6000平方メートルのオフィス棟を新設します。1~2階に金融機関が入り、3~7階はオフィススペースとなります。南海和歌山ビルに入居している事業所が、こちらに移転するとみられます。
駅舎(駅施設)も新設し、鉄骨造一部2階建の建物が、現在の駅ビルと線路の間の駐車場スペースに建設されます。かつて1番線のあった場所のようです。改札口は現在の2階から1階に移されバリアフリー化されます。工事はすでに着工しており、2017年春の開業を予定しています。
画像:和歌山市
画像:南海電鉄
市民図書館が入居
続いて行われる第2期工事では、7階建ての南海和歌山ビルを解体撤去し、4階建ての新しいビルを建設します。新ビルは1階に30台分の駐車場、中2階に800台分の駐輪場を備え、2~4階に延べ床面積約6000平方メートルの市民図書館が入居する計画です。新図書館は2019年度の開館予定です。
このほか、駅前広場についてもタクシーと自家用車を分離するなどの整備を行うとしています。全ての工事が終わるのは2020年度になるそうです。
改札口を1階に移してバリアフリー化するということは、現在の2番、3番、4番ホームに直結する形で駅施設を建設するとみられます。5、6番線のみ跨線橋を使ったアクセスになるのでしょう。
現在の和歌山市駅構内図(南海電鉄ホームページ)
駅施設はコンパクトに
和歌山市駅は、かつては和歌山市の中心駅で、南海和歌山ビルは1973年に完成、ピーク時には1日に約5万人の利用客がいました。しかし、2013年度には約1万7000人にまで落ち込んでいます。今となっては利用者数に比べて駅ビルの器が大きすぎるように見えますし、駅施設をコンパクトにして1階に移設する、というのは時代に即した判断といえるでしょう。
和歌山市の中心市街地はJR和歌山駅方面に移りつつあり、駅ビルを建て替えても、和歌山市駅周辺の活性化は容易ではありません。新ビルには大型商業施設の入居が予定されていないようですので、南海としても商業地としての開発は諦めているのかもしれません。
ただ、大型図書館が駅ビルに入居すれば、新しい人の流れができることでしょう。それが駅の利用者増につながることを期待したいところです。