JR西日本は、東海道本線・山陽本線(JR神戸線)の六甲道~灘間と御着~姫路間に設置する新駅の名称を発表しました。「摩耶駅」と「東姫路駅」です。両駅とも2016年春に開業する予定です。
摩耶駅は「エコステーション」
六甲道~灘間の新駅「摩耶駅」は、東灘信号場付近に設置されます。六甲道駅から1.4km、灘駅から0.9kmで、橋上駅舎と島式ホーム1面が設けられます。
JR西日本によりますと、摩耶駅の名称は「摩耶山」に由来し、「摩耶埠頭」「摩耶インター(阪神高速)」といった近隣施設の名称に広く使用され、馴染みやすいことから決定したということです。
駅のコンセプトは「六甲の自然に調和する新しい駅・エコステーション」。直流電力変換装置が導入され、照明はすべてLED化されます。直流電力変換装置とは、列車のブレーキ時に発生する回生電力(直流)を交流に変換し、駅の照明などに活用する仕組みです。
そのほか太陽光発電パネルなども設置され、これまでの同規模の駅に比べ、50%以上の消費電力を削減することが可能となるそうです。
上り線からの折り返しが可能に
摩耶駅には神戸方に上り線から下り線への渡り線が設けられ、ダイヤ乱れ時の対応します。現在、西明石~大阪間に渡り線はなく、この区間の上り線で電車が運転を見合わせると、姫路方面からの上り電車はすべて西明石止まりになっていました。
摩耶駅の渡り線設置により、六甲道駅以東のJR神戸線内でトラブルが生じても、摩耶駅での折り返しが可能になるため、西明石~三ノ宮~摩耶間の運行が確保されます。そのため、三ノ宮以西の利用者にも、摩耶駅開業はメリットをもたらします。
「東姫路」はわかりやすさ重視
一方、東姫路駅は、姫路駅から1.9km、御着駅から2.4kmの位置に設置され、ホーム相対式2面の地平駅舎となります。全国的知名度がある「姫路駅」との位置関係を名称とすることで、場所がイメージしやすくわかりやすいというのが決定の理由です。
仮称は「まや駅」と「東姫路駅」
ところで、両駅の仮称は「まや駅」と「東姫路駅」でした。つまり「まや駅」は「摩耶駅」と漢字に変更され、「東姫路駅」は仮称がそのまま正式決定となりました。「まや駅」は仮称のひらがな表記を採用せず、漢字使用となったわけです。
最近は、読み方が難しい地名を、なぜかひらがな表記にする傾向があります。摩耶についても、地元では有名な山で、高速道路や埠頭名にも使われていたとはいえ、地元住民以外には読みにくい漢字です。
そのため、「ひらがなのほうが読みやすいのではないか」という声もあったと思います。仮称がひらがな表記だったのはそれが理由でしょうが、JR西日本は最終的に漢字を駅名に採用しました。昔からの地名表記を尊重したわけで、この判断は、評価されていいのではないでしょうか。(鎌倉淳)