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京急の「赤字転落」が意味するもの。人口減少のカゲが首都圏の鉄道にも忍び寄ってきた

京浜急行が2016年3月期で40億円の最終赤字に転落することを明らかにしました。久里浜線の延伸と宅地開発事業の凍結を決め、それにともなう資産の評価損と減損損失が発生するためです。

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「三浦半島の人口減少を踏まえ」

京浜急行では、2017年3月期を初年度とする経営計画を策定中で、この期間における新規投資の峻別をおこなっています。その結果、久里浜線延伸(三崎口~油壺駅間)事業と、延伸区間における三浦市三戸・小網代地区の大規模宅地開発事業を凍結することを決定しました。京急では、「三浦半島における人口減少や地価の下落などを踏まえ」たとしています。

これにより、棚卸し資産の評価損と減損損失が発生し、京浜急行電鉄の2016年3月期の連結最終損益は40億円の赤字(前期は107億円の黒字)となります。従来予想(130億円の黒字)から一転して赤字となります。

売上高は従来予想と同じ1%減の3130億円。交通やレジャー・サービス事業は順調です。営業利益は従来予想の285億円には届きませんが、150億円を確保する見通し。減益ながら営業利益を計上しているため、京急の経営がにわかに悪化したというわけではありません。

三崎口駅

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免許は失効済み

延伸凍結を決めた京急久里浜線は、1975年に三浦海岸~三崎口間が開業し、現在の形になっています。さらに油壺まで延伸する計画が古くからありましたが、土地取得が難航するなどして、なかなか先に進みませんでした。2005年には、京急が事業廃止届出書を国土交通省に提出し、すでにこの区間の免許は失われています。

当時、京急は、免許は廃止するものの、延伸区間の見直しなどを行ったのち再申請するとしていました。詳細を地元の人に聞いてみると、「油壺の手前に新駅を建設し宅地開発をする計画があった」ということです。宅地造成工事は実際に2009年に開始されたとのことですが、環境問題などもあり停滞していたようです。

そもそも、日本の人口がピークアウトするなかで、この計画の実現性は、地元でも疑問が持たれていた様子。結局、「凍結」という名で事実上断念するに至ったということのようです。

率直な印象として、久里浜線延伸断念のニュースを聞いて、驚いた人はいなかったのではないでしょうか。「何をいまさら」という感想のほうが多そうです。

油壺延伸

京急沿線で人口減少が始まる

三浦半島は、神奈川県の中でも人口減少が著しい地域です。2015年国勢調査では、神奈川県で最も人口が減少したのが横須賀市で、次いで小田原市、三浦市の順です。横須賀市の人口は40万6686人で、5年前と比べて(以下同)1万1639人の減(△2.8%)、三浦市は4万5302人で3050人の減(△6.3%)でした。

京急沿線では、横浜市金沢区でも大幅な人口減少に転じています。2015年の人口は20万2300人の6974人減(△3.3%)で、横浜市内で最大の減少数・減少率です。次いで港南区が21万5775人で、5636人減(△2.5%)となります。磯子区は人口増、南区は若干の減少にとどまっていますが、横浜市では、東南部での人口減少傾向がはっきりしてきました。

人口減少は日本全体で起こっていることですが、横浜市では京急沿線でその傾向が早く現れ始めているわけです。京急の経営者も当然、このことは認識しているでしょう。

三浦半島の先端部の住宅地が売れるか

人口減少地域に新たに鉄道を敷いて宅地開発をするのは現実的とはいえません。そもそも、三浦半島の先っぽの新興住宅地を買う人が多くいるとは思えず、京急としても、会社の業績が良いうちに減損処理をしてしまおう、ということになったのではと推測します。

京急の油壺延伸断念と宅地開発失敗の減損処理による赤字転落。これは、首都圏の人口減少のカゲが、鉄道事業にも静かに忍び寄ってきていることを、端的に示しているのかもしれません。(鎌倉淳)

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