北海道新幹線札幌延伸

新函館北斗~札幌

北海道新幹線は、青森県青森市から北海道札幌市を経て旭川市までを結ぶ計画の新幹線です。このうち、青森市から札幌市までの区間が整備新幹線に指定されています。

現在、新青森駅~新函館北斗駅間が開業済みです。新函館北斗~札幌間は建設中で、開業予定は2030年度末となっていましたが、数年の遅れが生じています。札幌~旭川間の建設のメドは立っていません。

北海道新幹線札幌延伸の概要

北海道新幹線は、新青森駅~新函館北斗駅間148.8kmが開業済み、新函館北斗~札幌間211.5kmが建設中です。

新函館北斗~札幌間には、新八雲(仮称)駅、長万部駅、倶知安駅、新小樽(仮称)駅の4駅を設けます。札幌までの開業予定は2030年代半と見込まれています。

北海道新幹線路線図
画像:JR北海道ウェブサイトより

 

札幌駅の新幹線ホームは、在来線ホームより東側に建設します。創成川の東西に改札口を設けます。

北海道新幹線札幌駅ホーム
画像:JR北海道ウェブサイトより

 

北海道新幹線札幌延伸時の所要時間

北海道新幹線の札幌延伸時の最高速度は260km/hで計画されましたが、320km/hに引き上げる予定です。札幌まで開業し、320km/h運転が実現した場合の所要時間は、東京~札幌間で4時間30分を目指しています。

新函館北斗~札幌間は、2012年の試算(260km/h運転)で約1時間5分とされています。320km/h運転が実現すれば5分程度短縮しますので、約1時間になる見通しです。

走行する列車名などは未定です。

総事業費と費用便益比

北海道新幹線の工事費は、国土交通省の試算によると、新青森・新函館北斗間で約5,783億円、新函館北斗・札幌間で2兆3,159億円、合計で2兆8,942億円とされています。

2012年1月の国交省第1回整備新幹線小委員会参考資料『整備新幹線(未着工区間)の整備効果等について』で示された試算では、輸送密度14,800人、事業費7283億円、費用便益比1.1とされました。

2022年の国会答弁によれば、想定輸送密度は17,800人です。しかし、2023年の事業再評価によりますと、建設費の高騰により、費用便益比は0.9%と1を割り込んでいます。ただし、残事業に限れば1.3とされ、事業の続行が決定しています。

建設スキームと並行在来線

北海道新幹線の新函館北斗~札幌間は「整備新幹線」として整備が進められています。 整備新幹線は、鉄道・運輸機構(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が新幹線施設を建設・保有し、営業主体であるJRに対して施設を貸し付ける枠組みです。貸付を受けるJR北海道は受益の範囲内で鉄道・運輸機構に貸付料を支払います。

北海道新幹線の開業後、並行在来線はJR北海道から切り離されます。新函館北斗~札幌間が開業すると、JR函館線の函館~小樽間が並行在来線として、JR北海道から経営分離される予定となっています。

函館~小樽間のうち、函館~新函館北斗間は、第三セクターに転換のうえ存続します。新函館北斗~長万部間は旅客営業が廃止され、貨物線となる見通しです。長万部~小樽間は鉄道が廃止されることが決まっています。

北海道新幹線札幌延伸の沿革

北海道新幹線は、「全国新幹線鉄道整備法」に基づいて整備が進められている新幹線です。1972年7月3日運輸省告示第243号により青森市~札幌市が基本計画区間に追加され、1973年11月13日に、同区間の整備計画を決定しています。同日、札幌市~旭川市も基本計画区間に追加されました。

このうち、新青森~新函館北斗間は、2005年4月27日に工事実施計画が認可・着工され、2016年3月26日に開業しています。

新函館北斗~札幌間は、2012年6月29日に認可・着工され、新函館北斗開業の概ね20年後(2035年)までの開業が予定されていました。その後、2015年1月14日の「政府・与党申し合わせ」において、開業を5年前倒しし、2030年度末の開業を目指すことが決定しています。

ただし、工事は順調に進んでおらず、2024年5月10日に、建設主体である鉄道・運輸機構が、数年の遅れが生じていることを国交省に伝えています。長大トンネルの掘削に時間がかかっていることが主要因なので挽回は難しく、開業は順調にいっても2030年度半ばになりそうです。

北海道新幹線の計画上の終点は札幌ではなく、旭川です。札幌~旭川間は「基本計画路線」と位置づけられています。ただし、現時点で建設のメドは立っておらず、着工の時期や、設置駅なども未定です。


 

北海道新幹線札幌延伸のデータ

北海道新幹線札幌延伸データ
営業構想事業者 JR北海道
整備構想事業者 鉄道・運輸機構
路線名 北海道新幹線
区間・駅 新函館北斗~札幌(途中駅:新八雲、長万部、倶知安、新小樽)
距離 211.5km
想定輸送密度 17,800人/日
総事業費 2兆3,159億円
費用便益比 0.9(2023年再評価時)
累積資金収支黒字転換年
種別 第一種鉄道事業
種類 新幹線鉄道
軌間 1,435mm
電化方式 交流25,000V
単線・複線 複線
開業予定時期 2030年代半ば
備考 全国新幹線整備法

北海道新幹線札幌延伸の今後の見通し

北海道新幹線札幌延伸は2031年春の開業を目指して工事が進められていました。しかし、工事には遅延が生じていて、回復が難しく、予定通りの開業は絶望的になりました。

新たな開業予定時期は示されていませんが、うまくいって2034年春ころで、もう少し後ろ倒しになる可能性もありそうです。

途中、長万部や倶知安までの先行開業を唱える動きもありますが、長万部以南のトンネル工事にも遅れがでているので、そうした形での部分開業も難しいでしょう。

札幌~旭川間については、現時点ではまったく白紙です。札幌開業後に議論されることでしょう。

【参考資料アーカイブ】
「収支採算性及び投資効果の確認」に関する参考資料』(2012)[PDF]
北海道新幹線(新函館北斗・札幌間)再評価報告書(2023)』[PDF]