ANAがベトナム航空に出資し、秋にも共同運航開始。JALはベトナムへのコードシェア便を失う

ANAとベトナム航空は、資本関係を含む提携をすることで基本合意しました。ANAがベトナム政府から発行済み株式の8.8%を約130億円で取得し、両社は早ければ2016年秋にもコードシェア(共同運航)を開始します。

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ベトナム航空初の海外資本受け入れ

ベトナム航空は同国政府が95%を出資する現地最大の航空会社です。これまで海外企業からの出資を受け入れたことはありません。

日本経済新聞2016年1月12日付よりますと、ベトナム政府は国営企業改革の目玉として、ベトナム航空の資本・業務提携相手の選定を進めてきたとのこと。TPP発効後に日本経由で北米などの需要が取り込めることや、旅客サービスの水準の高さなどを勘案し、最終的にANAを提携先に選んだようです。

一方のANAも、ベトナム路線ではJAL相手に苦戦を強いられており、現地大手航空会社との提携を模索していました。ANAにとっても、海外の航空会社に出資するのはこれが初めてとのことです。

ベトナムからの訪日客はこの5年で4倍超に増えており、今後も利用客が増える見通しです。そのため、この提携はANAにとってもメリットが多いものになりそうです。

ベトナム航空写真:vietnamairlines.com

アライアンスは異なるが

国際的な航空各社のアライアンスでは、ANAはスターアライアンス、ベトナム航空はスカイチームに所属しています。両社はそれぞれが所属するアライアンスの加盟各社の承認を前提に、2016年10月末にもコードシェアとマイレージ制度の相互連携を始めます。どちらかの会社がアライアンスの変更をするという情報は、現時点ではありません。

当初のコードシェアの対象は両国間の国際線とそれぞれの主要国内線となる見込みです。ANAのマイレージ会員はベトナム航空の運航便をANA運航便と同様に予約してマイルを貯められるようになります。

日本・ベトナム間で5割のシェア

ベトナム航空は2015年12月時点で87機の航空機を保有し、29の国際線と21の国内線を運航しています。日本では羽田、成田、中部、関西、福岡の各空港に乗り入れていて、日本・ベトナム間の航空輸送で5割前後の旅客シェアを持ちます。

JALもANAも羽田・成田以外の地方空港発着ではベトナム路線を運航していません。そのため、対ベトナム輸送では、上記のようにベトナム航空が大きなシェアを握っているわけです。

「8.10ペーパー」がここでも?

ベトナム航空はこれまでJALと共同運航を実施してきましたが、ANAの出資に伴い提携を解消する方針です。そのため、JALは地方空港発着を含めベトナムへのコードシェア週48往復96便を一気に失います。

現在、日本~ホーチミン線のシェアはJALが3割に対しANAは1割程度、日本~ハノイ線はJALもANAも2割前後とのことですが、この提携により、ANAとJALのシェアは逆転する可能性が高そうです。

JALとしては切歯扼腕の事態ですが、同社はいわゆる「8.10ペーパー」で2016年度末までの新規投資が制限されているので、ベトナム航空に出資するという選択肢はなかったのでしょう。スカイマークも奪われ、ベトナム航空も奪われ、JALとしてはあとしばらく辛抱が続きそうです。

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