フランス随一の観光名所・ヴェルサイユ宮殿にホテル設置計画が浮上しています。ヴェルサイユ宮殿の管理当局が財務改善のため、高級ホテル会社との合弁を計画しているとのこと。ヨーロッパ各紙が報じています。
庭園入口付近にある建物を改装
ヴェルサイユ宮殿といえば、、1682年にフランス王ルイ14世が建てたフランス王国を代表する宮殿です。パリの南西22キロのヴェルサイユに位置し、バロック建築の代表作とされる宮殿と、広大な庭園で知られています。
今回ホテルに改装されると報じられているのは、ヴェルサイユ宮殿の庭園入口付近にある1680年代の建物です。フランスのニュースサイトTheLocalによりますと、グラン・コントローレ(Grand Contrôle)、プチ・コントローレ(Petit Contrôle)、パビリオン(Pavillon)の3つです。グラン・コントローレは2011年にもホテル化が報じられたものの実現しなかった建物で、かつては出納係らが住んでいた場所です。
最大20億円近くの投資が必要
ホテル化にあたり、ヴェルサイユ宮殿の管理当局は入札を公募します。ホテルを開業するには、老朽化した屋根や壁を修復するために400-700万ユーロ(約5億5000万-9億6500万円)かかり、さらにホテルに改装するのに同程度のコストがかかる見通しとのこと。
つまり最大20億円近くの投資が必要で、これに応じられるのは高級ホテルチェーンのみでしょう。実際、大手ホテルチェーンのアコーホテルズが入札に関心を示しているとも報じられています。アコーホテルズは、ルスツリゾートの運営にも名前が挙がっている高級ホテルチェーンです。どの会社が落札したとしても、宿泊料金は目が飛び出る価格になりそうです。
姫路城を旅館にできるか?
それにしても、ヴェルサイユ宮殿はフランスの至宝ともいえる歴史的建造物です。なぜそんな大切なものを民間に貸し出すのでしょうか。どうやら最近のフランス政府は歴史的遺産の維持費の捻出に苦慮しており、民間の資金を活用する方針に傾いているようです。現地報道によると、「歴史的遺産を改装し価値を加え経済活動に用いる」のは、フランスの文科省の政策だそうです。
ひるがえって、日本ではどうでしょうか。日本でたとえれば、姫路城の櫓を高級旅館にするというようなイメージになりそうです。それはそれで旅行者には面白そうですが、ことの良し悪し以前に、火災の恐れのある木造建築では難しいかもしれません。