「特急並み快速」を福井~敦賀間で運行へ。北陸新幹線開業後、三セク鉄道に

新快速との連携を求める

北陸新幹線敦賀開業後の並行在来線で、福井~敦賀間に特急並みのスピードの快速列車の運行を検討していることが明らかになりました。福井県知事が議会で答弁しました。

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JRが特急運行を拒否

北陸新幹線は、2024年春に敦賀延伸が予定されていて、それにともないJR北陸本線の金沢~敦賀間が第三セクターに移管されます。福井県では、大阪、京都方面への利便性を維持するため、大阪~福井間での直通特急運行を求めてきましたが、JR西日本が拒否。福井駅や鯖江駅などから京都駅や大阪駅へ向かう場合、敦賀駅での乗り換えが必須になることが明らかになっています。

これに関し、福井県の杉本達治知事は、2021年6月18日の県議会本会議で事情を説明しました。

それによりますと、特急の存続について、JR西や国との間で協議をしたものの、運行上の制約が非常に大きいなどという理由で強く難色を示されたほか、並行在来線の経営の収支にも影響があることから、最終的に断念するに至ったとのことです。

敦賀駅新快速

新快速と連携

代替案として、利便性確保のために、福井~敦賀間に特急並みの快速列車を走らせる検討を進めていることを、知事が明らかにしました。この列車は新快速ともダイヤを連携することをJRに求めていて、「特急に乗っていたお客さんを快速のほうに持ってきて、(三セク会社の)経営にもプラスに働くようにしていく」方針です。

敦賀駅は新幹線ホームが既存の在来線ホームと離れていて、大阪方面との接続列車用に新幹線ホームの直下に特急用ホームを新設します。

そのため、並行在来線に快速を設定しても、大阪方面のJR特急と乗り換えるには長い通路を歩かなければなりません。一方、JR新快速は既存ホームに発着します。そのため、並行在来線快速は、大阪発着の特急だけでなく、乗り継ぎ利便性の高い新快速とも接続させたい、ということのようです。

特急ホームと在来線ホームの移動時間を勘案すれば、特急と新快速の発着時刻が10分程度の差になればちょうどよさそうですが、現状のダイヤはそうなっていません。新幹線との接続もありますし、そうしたダイヤ調整が可能なのかといえば、なかなか難しそうな印象もあります。

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どの程度利用されるのか?

ちなみに、敦賀~大阪間の新快速は、湖西線経由で毎時1本程度運行されていて、所要時間は2時間5分です。同区間の特急「サンダーバード」は1時間23分程度なので、新快速は特急より約40分時間がかかります。

敦賀駅での乗り換え時間を含めると、福井駅や鯖江駅から大阪駅へ向かう場合、「並行在来線快速+新快速」の乗り継ぎは、現状より40~50分余計に時間がかかるようになりそうです。

特急料金は不要になりますが、並行在来線の運賃はJRより高くなります。トータルで今の特急料金+運賃よりは安くなるでしょうが、それに見合うだけのメリットがあるかというと疑問でしょう。つまり、新快速接続を優先させすぎると、あまり使われなさそうな気もします。

ということで、「並行在来線快速」ができたとしても、どの程度利用されるかはダイヤ次第というのが、正直なところではないでしょうか。(鎌倉淳)

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