一部線区の廃止が検討されている富山地方鉄道で、2026年度は全線存続することが決まりました。同社の中田邦彦社長が明らかにしました。ただ、最終的に全線存続するかについての決定は先送りされました。
本線分科会を開催
富山地方鉄道は、富山県内に108.3kmの路線網を有する地方私鉄で、厳しい経営状況が続いています。地元自治体では、「富山地方鉄道鉄道線のあり方検討会」を設けて支援を検討しており、本線について話し合う分科会が2025年11月29日に開催されました。
分科会には新田八朗知事と沿線4市町の首長らが出席。会合後、中田社長が報道陣の取材に対し、「令和8年度(2026年度)の廃線はない」と明言しました。
これにより、2026年度の全線存続が決定しました。

本線、立山線で廃止方針
富山地方鉄道は、不採算区間として、本線の上市~宇奈月温泉間、立山線の五百石~立山間、不二越・上滝線の月岡~岩峅寺間を挙げています。
このうち、本線の上市~滑川間と、立山線の五百石~岩峅寺間は、今後も同社が単独で運営を続けます。一方、本線の滑川~宇奈月温泉間と、立山線の岩峅寺~立山間、不二越・上滝線の月岡~岩峅寺間については、自治体の支援が必要としています。
すでに、不二越・上滝線は、「みなし上下分離方式」による再構築事業を実施する方針が固まっています。しかし、本線と立山線については未定でした。そのため、富山地鉄では、自治体から新たな支援が得られない場合、2026年11月に廃止する方針を示していました。
2026年度の運行費負担を支援
このうち、立山線の岩峅寺~立山間は、11月22日の立山線分科会で、富山県、富山市、立山町が2027年度を目標に再構築事業に着手し、国と自治体が支援することで合意しました。
残る本線について話し合われたのが、11月29日の本線分科会です。沿線自治体は、2026年度の富山地鉄の運行費を支援する意向を示し、富山地鉄がこれを受け入れたため、当面の廃線は避けられることになりました。
6つの案を検討
会合では、富山県と沿線4市町は将来的な本線のあり方について、以下の6案を検討しました。
(1) 全線存続
(2) 滑川~新魚津間の廃止(回送運行は継続)
(3) 滑川~新魚津間の廃止・設備撤去(回送運行も廃止)
(4) 滑川~宇奈月温泉間の廃止
(5) 上市~新魚津間の廃止(回送運行は継続)
(6) 上市~新魚津間の廃止・設備撤去(回送運行も廃止)
このうち、4、5、6案は不適切とされ、1、2、3案を残して協議を続けることになりました。つまり、新魚津~宇奈月温泉間は、どういう枠組みになるかはともかく、存続する方針が固まった形です。
今後10年間で100億円以上
1案の全線存続(現状維持)の場合、今後10年間の施設維持管理費と整備費は計約100億円に達し、橋梁などの大規模施設の更新には別途事業費がかかります。2、3案についての費用の試算はできておらず、今年度内に示される予定です。
利用者増加策としては、新型車両の導入や新駅設置、定期券料金の値下げ、全国交通系ICカードの導入などが挙げられました。将来的な施策としては、新魚津駅でのあいの風とやま鉄道乗り入れ、同一ホームでの乗り換えも検討します。
暫定的な決定
分科会では、2026年2月ごろ最終報告をまとめ、中長期的な支援策を決定する方針です。2026年度は、支援策決定までの期間として、暫定的に自治体が運行費用を支援する形となります。
要するに、現時点で、本線の将来像について、具体的に決定したことはありません。そのため、中田社長は「来年度の廃止はやめるが、1年単位での先延ばしはもうない」とも述べていて、存続が最終決定でないと釘を刺しています。
富山地方鉄道鉄道線のあり方検討会では、12月1日に不二越上滝線分科会を開催。12月下旬に全体会合を開いて、2026年度の支援策をまとめる方針です。(鎌倉淳)























