「都区内フリーきっぷ」「都区内・りんかいフリーきっぷ」の廃止の背景。スイカ普及で利用者が減少。「都区内パス」は存続へ。

JR東日本の「都区内フリーきっぷ」「都区内・りんかいフリーきっぷ」が3月31日で廃止されることが発表されました。

「都区内フリーきっぷ」は、東京近郊の各駅から東京都区内までの往復乗車券と東京都区内のJR東日本の全線が乗り放題となるフリーエリアがセットになったものです。東京23区内の普通列車(快速含む)が乗り降り自由で、郊外から都内の複数箇所を巡るのに便利なきっぷでした。「都区内・りんかいフリーきっぷ」は、さらにりんかい線がフリー区間に含まれていました。

写真・JR東日本
写真・JR東日本

フリーエリアは、京浜東北線なら赤羽から蒲田、総武線なら小岩から西荻窪まで含まれており、この間のJR線を何度乗っても運賃がかからない、というのは魅力的でした。ただ、最近のスイカの普及で利用者は減少していたようです。首都圏で完結するフリー切符類の販売額のピークは2002年頃で、最近はピークの半分以下しか売れていないようです。少々の金額のメリットよりも、スイカの利便性を好む利用者が増えた、ということなのでしょう。

そのためか、今回、代替となるきっぷは発表されません。フリーエリアが同じで、往復運賃部分がついていない「都区内パス」については存続します。都区内パスは他エリアからの訪問者や外国人の利用者が多いため、スイカとの競合が少なく、当分は存続する見込みです。そのため、どうしても都区内のフリーきっぷが必要なら、都区内パスのエリアの始点(浮間舟渡、赤羽、金町、小岩、葛西臨海公園、蒲田、西荻窪など)までいって、都区内パスを購入するほかありません。ただ、遠方からの人が、わざわざ途中下車するのも面倒ですね。

私鉄沿線では、私鉄+東京メトロパスが似たような切符として存在します。東京メトロ全線と私鉄各駅からの往復きっぷがセットになったものです。都内中心部の移動ならば、JRよりもメトロのほうが便利ですし、私鉄を利用可能な人は、これからは「東京メトロパス」を使った方が良いかもしれません。

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