2019年3月ダイヤ改正で、JR東日本が商標登録を出願済の特急列車が登場しました。「はちおうじ」「おうめ」「富士回遊」です。このほか、出願済の列車名として「サフィール踊り子」と「おだわら」が残されています。これらの列車はいつ登場するのでしょうか。
5つの列車名を商標出願
JR東日本は、2018年9月3日に「はちおうじ」「おうめ」「富士回遊」「おだわら」「サフィール踊り子」の5名称について、商標登録の出願をしました。いずれも「鉄道による輸送」を役務としており、列車名の候補とみられていました。
このうち「はちおうじ」「おうめ」「富士回遊」については、2019年3月ダイヤ改正で中央線の特急として運行を開始することがJR東日本から正式に発表されました。
いっぽう、「おだわら」「サフィール踊り子」については、告知がありませんでした。つまり、この2つの列車名に関しては、2019年3月改正では登場しないことになります。
「おだわら」は通勤特急?
では、この2列車はどういう位置づけなのでしょうか。
まず、「おだわら」に関しては、列車名からして「はちおうじ」や「おうめ」と同様の通勤特急で、運転区間は東京・新宿~小田原でしょう。
「はちおうじ」「おうめ」は「中央ライナー」「青梅ライナー」の格上げで誕生しました。ならば、「おだわら」は「湘南ライナー」「おはよう新宿ライナー」「ホームライナー小田原」を格上げして登場する特急と推測できます。
「サフィール踊り子」は新型特急?
「サフィール踊り子」は、まったく新しい車両を予感させる愛称です。JR東日本では、伊豆特急向けの新型車両としてE261系を開発していて、2020年春から東京・新宿~伊豆急下田間で特急列車として運転を開始します。
つまり、「サフィール踊り子」は、2020年春のダイヤ改正でデビューする新型特急の愛称の候補である可能性がきわめて高いでしょう。
東海道線特急はどう変わる?
現在の東海道線では、特急用車両の老朽化が進んでいます。「踊り子」の185系は1981-82年の製造。「スーパービュー踊り子」の251系は1990-92年の製造です。
東海道線の通勤ライナーにも、185系、251系が使われています。一部列車には215系が使われていて、1992-93年の製造です。JR東日本は、これらの車両をオリンピック・パラリンピック前に一気に更新する計画を立てているようです。
東海道線特急に投入する新たな主力車両は中央線特急「あずさ」「かいじ」として使用されてきたE257系です。2019年3月ダイヤ改正で、中央線特急の定期運用からE257系が引退することが正式発表されました。これにより捻出したE257系をリニューアルのうえ、東海道線に投入します。
このほかに、前述した開発中の新型車両E261系も投入されるわけです。つまり、伊豆方面に向かう東海道線特急は、E257系の「踊り子」とE261系の「サフィール踊り子」の2タイプになるとみられます。
これらの運行開始時期は2020年春が有力ですが、E257系はリニューアルが終わった車両から、2019年のうちに順次投入されるかもしれません。
首都圏最後の通勤ライナー
特急「おだわら」については、新列車となるので、2020年春のダイヤ改正で登場する可能性が高そうです。
2019年3月改正の中央線系統と同じ方針を採るなら、現状の「湘南ライナー」「おはよう新宿ライナー」「ホームライナー小田原」を格上げする形で特急「おだわら」や「新宿おだわら」が誕生するのでしょう。
「湘南ライナー」などの東海道線通勤ライナーは、首都圏最後の存在です。特急「おだわら」が運転を開始し、東海道線の通勤ライナーが全て特急に格上げされた場合、首都圏のJR各線から、通勤ライナーが全て姿を消すことになります。今後の情報公開を待ちたいところです。(鎌倉淳)