ローカル路線バス乗り継ぎの旅「旅の日」第3弾の正解ルートを探り、検証する記事です。ここでは、京都ルートなど、その他の展開を検討します。
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ローカル路線バス乗り継ぎの旅「旅の日」第3弾の正解ルートを検証する

京都ルート
ローカル路線バス乗り継ぎの旅「旅の日」第3弾のルート検証、ここで話を福知山駅に戻します。
福知山駅から、丹波大身行きのバスに乗り、京都を目指した場合の乗り継ぎを検討してみましょう。たとえば、このように乗り継げます。
▽2日目
福知山駅前07:20→08:00丹波大身08:50→09:07京丹波町病院前09:15→09:47園部駅/JR園部駅西口10:49→11:59JR亀岡駅南口12:29→13:33京都駅前14:00→14:17河原町三条→徒歩0.3km→三条京阪14:35→15:39延暦寺バスセンター16:08→16:50堅田駅西口/堅田駅17:45→18:33守山駅19:20→19:56錦の里20:15→20:31野洲駅北口20:40→20:50道の駅竜王かがみの里21:23→21:41近江八幡駅
▽3日目
近江八幡駅07:00→07:08鳴谷07:20→08:06八日市駅08:25→08:52湖東記念病院09:20→09:33愛知川駅→徒歩9.3km→南彦根駅西口12:03→12:56彦根駅前→徒歩6.6km→米原駅14:30→14:58ローザンベリー多和田→徒歩16.4km→関ヶ原駅
▽4日目
関ケ原駅07:00→徒歩8.1km→綾戸口09:21→09:44大垣駅前10:55→11:17墨俣11:30→11:56JR岐阜駅前12:51→13:59ほらどキウィプラザ15:00→15:25福祉センター→徒歩19.3km→郡上八幡駅19:12→19:21郡上八幡城下町プラザ
このように、京都駅で、比叡山の延暦寺へ向かうバスルートの情報を得られれば、堅田を経て近江八幡駅まで、2日目に到達可能です。
しかし、彦根市を中心とした、滋賀県の湖東地区は路線バスが非常に少ないため、3日目以降は難渋します。3日目に30km以上を歩いて滋賀県を抜けて、4日目に30km近くを歩いて、ようやくゴールできる形です。
有料道路を禁止とすれば
このルートは、比叡山と琵琶湖を越える区間で有料道路を経由します。有料道路の使用可否については、過去のバス旅シリーズで、必ずしもルールが統一されていません。
今回は、番組の冒頭で「有料道路を走る高速バスは禁止」というナレーションとともに「路線バスのみ 有料道路を走るバスには乗れない」という字幕が表示されました。
ナレーションと字幕とでニュアンスが異なりますが、「有料道路を走るバスは全面禁止」と受けとめれば、上記の乗り継ぎはできません。
そうなると、比叡山も琵琶湖も有料道路区間を通れません。次善の策として、次のような乗り継ぎになります。
▽2日目
福知山駅前07:20→(中略)→三条京阪14:35→15:13 比叡平17:15→17:43大津京駅→徒歩0.5km→イオンスタイル大津京前18:11→18:43堅田駅→徒歩3.3km→琵琶湖大橋東詰19:55→20:27守山駅
比叡山の有料道路手前の比叡平から、大津京へのバスに乗り、堅田からは琵琶湖大橋を歩いて渡ります。その場合、2日目は守山駅までとなります。先ほど示したように、2日目に近江八幡に達していてもゴールは厳しいので、守山駅までとなると、さらに厳しくなります。
奈良ルート
では、もう一つの考え方として、京都から奈良まで南下して、石打から名阪国道を目指すルートはどうでしょうか。「ローカル路線バスの旅W」第5弾で、髙木は奈良以東のルートを経験済みなので、道筋は見えるはずです。
▽2日目
福知山駅前07:20→(中略)→13:33京都駅前/京都駅八条口14:16→14:46中書島15:15→15:30まちの駅イオンモール久御山15:50→16:14美濃山口16:29→16:52近鉄新田辺17:21→17:29同志社大学正門17:50→17:57三山木駅→徒歩4.5km→祝園駅19:05→19:32学研奈良登美ヶ丘駅19:50→20:08高の原駅20:18→20:47JR奈良駅西口
▽3日目
JR奈良駅西口09:11→10:47石打12:46→13:11上野市駅14:27→15:06関バスセンター→徒歩6km→亀山駅16:40→17:23平田町駅17:45→18:33近鉄四日市18:46→19:32山城駅19:40→20:00東員駅20:05→20:16笹尾東四丁目20:53→21:39桑名駅前
▽4日目
桑名駅前08:03→9:01神馬の湯→徒歩3.2km→松山グリーンハイツ09:48→10:29海津市役所10:48→11:40大垣駅前11:55→12:17墨俣12:30→12:56JR岐阜駅前15:15→16:24ほらどキウイプラザ16:25→16:50福祉センター→徒歩19.3km→郡上八幡駅
3日目に奈良駅を始発バスで出発すると、その日のうちに桑名駅にまで達します。4日目は海津市のコミュニティバスなどを使えば、岐阜駅に12時56分に到着します。
悲惨な失敗に
奈良ルートでも、4日目の13時頃に、岐阜駅に到着できるわけです。
しかし、岐阜駅発の洞戸方面行きバスは、12時51分に出たばかり。次便は15時15分発です。これに乗ると福祉センター着は16時50分。19キロを歩いて郡上八幡駅に到着するのは22時頃になるでしょう。
その場合、郡上八幡駅から城下町プラザへの最終バスは終了しています。つまり、夜間に郡上八幡駅まで歩きに歩いたあげく、失敗という、悲惨な終わり方になっていたでしょう。
早着や遅延などで、岐阜駅12時51分発のバスに乗れればゴールできますが、間に合わなければ失敗に終わるわけです。
奈良ルートは、桑名から岐阜への乗り継ぎが意外と難しいですし、それを巧みにこなしても5分差でゴールできないという結果が待っていたことになります。
「正解ルート」と「最適解」
ここまでの検証を踏まえてみると、髙木・太川両チームがたどったルート以上に、優れたルートは見当たりません。つまり、両チームは、「正解ルート」をたどったことになります。
あえていえば、2日目の夜に、髙木チームがマキノまで進んでいれば、3日目に関ヶ原のコミュニティバスを活用できていた可能性があるので、より歩く距離を少なくできました。
その乗り継ぎを整理して再掲すると、以下のようになります。
▽1日目
砂丘東口11:10→11:42岩美駅12:20→12:50湯村温泉13:15→14:33八鹿駅14:40→15:08和田山駅15:45→16:02白井→徒歩4.8km→16:54上夜久野駅前17:44→17:55下夜久野駅前→徒歩16.1km→21:30福知山駅
▽2日目
福知山駅07:42→08:11綾部駅前/綾部駅南口08:50→09:24大町バスターミナル10:28→10:47於見→徒歩8.8km→12:40川上12:53→13:24ホテルうみんぴあ前→徒歩11.5km→16:19小浜駅16:55→17:53近江今津駅18:45→18:55北深清水→徒歩4.8km→マキノ駅
▽3日目
マキノ駅07:04→07:11小荒路→徒歩5km→08:20永原駅08:55→09:28道の駅あぢかまの里09:35→09:48湖北病院09:52→10:30長浜駅11:47→12:17高番→徒歩6.6km→玉北部集落センター15:26→15:52野上東防火水槽前→徒歩1km→一里塚前16:07→16:27老人福祉センター西→徒歩1.4km→綾戸口17:41→18:00大垣駅前18:30→19:05岐阜聖徳学園大学19:15→19:42 JR岐阜駅前
▽4日目(土曜)
JR岐阜駅前08:04→09:13ほらどキウイプラザ09:20→09:45福祉センター→徒歩19.3km→郡上八幡駅14:15→14:25郡上八幡城下町プラザ
前述したように、関ヶ原・垂井のコミュニティバスは、存在を知ることからして難しそうで、運行時間帯だったとしても、利用できたかは定かではありません。
仮にこのルートで乗り継いだとしても、髙木チームは46km、太川チームは33kmを歩くことになります。4日間合計で79kmとなり、実際ルートより5kmほど短くなるだけです。
「ローカル路線バスの旅」の最適解としては長すぎる気もします。とはいえ、他に選択肢もなさそうで、「最適解」を求めるとすれば、この乗り継ぎになるのでしょう。
逆算すると
今回は、長距離の徒歩を前提として、ルート選択の余地も少ないお題でした。
では、ミスをした場合、どの程度挽回できるか、ということを見るために、ゴールから逆算した、最終乗り継ぎを確認してみます。
▽2日目
和田山駅07:00→徒歩10.2km→上夜久野駅前09:37→10:02下夜久野駅前12:20→12:53福知山駅前13:22→13:51綾部駅前/綾部駅南口14:24大町バスターミナル14:28→14:47於見→徒歩8.8km→12:40川上18:20→18:41おおい町役場前→徒歩1.6km→ホテルうみんぴあ前
▽3日目
ホテルうみんぴあ前06:00→徒歩11.5km→08:50小浜駅08:55→09:53近江今津駅10:15→10:25北深清水→徒歩1.7km→マキノ病院前12:42→12:54マキノ駅13:00→13:10小荒路→徒歩9.6km→道の駅あぢかまの里15:22→15:33木之本バスターミナル15:56→16:30長浜駅16:57→17:30高番→徒歩9.9km→関ヶ原駅
▽4日目(土曜日)
関ケ原駅07:00頃→徒歩8.1km→綾戸口09:21→09:44大垣駅前10:55→11:17墨俣11:30→11:56JR岐阜駅前12:51→13:59ほらどキウイプラザ15:00→15:25福祉センター→徒歩16.5km→郡上八幡駅19:12→19:21郡上八幡城下町プラザ
最後の福祉センターから郡上八幡駅までで近道をして16kmと計算すると、4日目は綾戸口09時21分発のバスに乗れば、ゴールは可能です。逆算すると、関ヶ原を7時ごろに出発すれば間に合います。
3日目に関ヶ原駅に着くには、長浜駅を16時57分のバスに乗れば間に合います。逆算すると、3日目は小浜駅を08時55分のバスに乗ることが最低条件になります。
3日目の朝に歩くと仮定すれば、2日目はホテルうみんぴあまで達していれば、なんとかなります。そこから逆算すると、和田山駅を朝出発することが条件になります。つまり、1日目は、和田山にまで達していれば、ゴールは可能だったということです。
そう書くと甘いルート設定に見えてしまいますが、現実的に、この逆算は最終局面の計算が厳しいですし、実現性は微妙です。また、1日目の歩く距離を減らすと、2日目の徒歩距離が伸びるので、負担感は増えるでしょう。徒歩区間の平準化という点でも、実際ルートが最適だったように思えます。
想定ルートを想定通りに
ということで、今回の「旅の日」は、想定されたルートを、おおむね想定された時間帯に進んだとみてよさそうです。最大の分岐点は福知山でしたが、髙木は「南ルート」の誘惑を断ち切って、若狭湾へ進みました。この判断が、最大の勝因といえるでしょう。
綾部から於見方面に進んでしまえば、あとはルート選択の余地に乏しく、ほとんど一本道でした。見どころは、オリンピック金メダリストの、驚くような体力になってしまった観もあります。
これで、「旅の日」の太川・髙木の「リレーバス旅」は、2連勝となりました。次回はどんな企画が待っているのでしょうか。(鎌倉淳)