航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が、据え置きとなりました。JALが12月分と1月分の価格を価格を明らかにしました。ただ、来春に向けて、値上がりの兆しもでてきています。
12-1月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2025年12~2026年1月発券分で、価格を据え置くことを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、12-1月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、2025年8月から9月の市況価格が85.72米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル147.80円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は12,670円となりました。
欧米往復42,000円に
10-11月発券分は、市況価格85.96米ドル、為替145.63円で、基準金額は12,518円でした。この2ヵ月で、燃油相場はほぼ横ばいで、為替は約1%円安に振れ、その積である基準金額は、1%程度の値上がりにとどまりました。
これにより、JALでは2025年12月1日発券分からの燃油サーチャージ価格を据え置きます。12-1月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが25,000円、ハワイ・インドなどが16,000円、タイ・シンガポールなどが13,000円となります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどは50,000円、ハワイ・インドなどは32,000円、タイ・シンガポールなどは26,000円です。
トランプ関税ショックで
最近の燃油サーチャージは小動きです。8-9月分を底としていますが、大きく値上がりもしてません。「トランプ関税ショック」以降、国際政治は不安定ですが、直近に原油価格や為替を大きく変動させるような動きがなく、燃油価格も緩やかに推移しています。
過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。(配信先で表が崩れる場合はこちらをご覧ください)
路線 | 24-25年 12-1月 |
25年 2-3月 |
25年 4-5月 |
25年 6-7月 |
25年 8-9月 |
25年 10-11月 |
25-26年 12-1月 |
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北米・欧州・中東・オセアニア | 25,000 | 29,000 | 33,000 | 29,000 | 21,000 | 25,000 | 25,000 |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 16,000 | 18,500 | 21,000 | 18,500 | 13,500 | 16,000 | 16,000 |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 13,000 | 15,500 | 18,000 | 15,500 | 10,500 | 13,000 | 13,000 |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 8,000 | 9,500 | 11,000 | 9,500 | 6,500 | 8,000 | 8,000 |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 6,200 | 7,400 | 8,500 | 7,400 | 5,000 | 6,200 | 6,200 |
韓国 | 2,500 | 3,000 | 3,500 | 3,000 | 2,000 | 2,500 | 2,500 |
※片道あたり、発券日基準。
適用条件「ゾーンG」に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンG」に該当します。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 16,000円 |
E | 10,000円~11,000円 | 18,500円 |
F | 11,000円~12,000円 | 21,000円 |
G | 12,000円~13,000円 | 25,000円 |
H | 13,000円~14,000円 | 29,000円 |
I | 14,000円~15,000円 | 33,000円 |
J | 15,000円~16,000円 | 35,000円 |
K | 16,000円~17,000円 | 38,000円 |
L | 17,000円~18,000円 | 41,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 44,000円 |
N | 19,000円~20,000円 | 47,000円 |
O | 20,000円~21,000円 | 50,000円 |
今後の見通しは?
直近では、燃油価格はやや値上がり傾向です。基準となるシンガポールケロシンの市況価格は89ドル程度で、今回の市況価格平均の85.72ドルより、4%程度値上がりしています。
為替相場はじりじりと円安に触れていて、150ドル程度の値動きになっています。今回の為替平均147.80ドルに比べると、2%程度のドル高です。
このままの状況で推移すれば、燃油価格の上昇とドル高で、燃油サーチャージには値上げの兆しがみえます。次回(2-3月発券分)の燃油サーチャージの基準価格は、今回より1ランク高い、13,000円台になるでしょう。つまり、「ゾーンH」になる可能性が高そうです。
ただ、中東情勢が落ち着き、ウクライナの戦争に終結の見通しが出れば、燃油価格や為替相場も大きく動くでしょう。高市新政権が緩和的な政策をとれば、より円安に振れる可能性もあります。そうした先行きを見通すのは困難で、燃油サーチャージの動向も不透明です。(鎌倉淳)