航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が高止まりしています。今後の見通しとあわせて見てみましょう。
24年2-3月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2024年2-3月発券分で、価格を改定することを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、2-3月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、直近2ヶ月の市況価格が110.32米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル149.67円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は16,512円となりました。
欧米往復87,200円
12-1月発券分は、市況価格119.25米ドル、為替146.15円で、基準金額は17,429円でした。この2ヶ月で、原油価格が7%値下がりし、為替は2%円安に振れています。結果として、基準価格が5%値下がりしたわけです。
これにより、JALでは2月1日発券分から燃油サーチャージの価格を1段階引き下げます。ひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが43,600円に、ハワイ・インドなどが28,200円に、タイ・シンガポールなどが23,000円になります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどが87,200円に、ハワイ・インドなどが56,400円に、タイ・シンガポールなどが46,000円となります。
高止まり続く
燃油サーチャージは、2022年10-11月発券分がピークで、その後は値下がりをしたものの、2023年8-9月発券分を底として上昇に転じました。前回は4段階の急騰で、過去2番目の高値となっていました。
今回はそれより1段階下がったものの、大きくは変わらず、高止まりが続いています。
過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。
路線 | 23年 4-5月 |
23年 6-7月 |
23年 8-9月 |
23年 10-11月 |
23-24年 12-1月 |
24年 2-3月 |
---|---|---|---|---|---|---|
北米・欧州・中東・オセアニア | 36,800 | 33,400 | 28,800 | 33,400 | 47,000 | 43,600 |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 23,600 | 21,300 | 18,400 | 21,300 | 30,500 | 28,200 |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 19,600 | 17,900 | 15,000 | 17,900 | 24,700 | 23,000 |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 12,700 | 11,000 | 9,200 | 11,000 | 17,800 | 16,100 |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 9,900 | 8,400 | 7,100 | 8,400 | 11,400 | 10,300 |
韓国 | 4,100 | 3,500 | 2,900 | 3,500 | 5,900 | 5,300 |
※片道あたり、発券日基準。
最高値の4ランク下
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンK」に該当します。前回の「L」より1ランク下です。最高値だった2022年10-11月の「O」の4ランク下となっています。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 17,800円 |
E | 10,000円~11,000円 | 20,200円 |
F | 11,000円~12,000円 | 24,200円 |
G | 12,000円~13,000円 | 28,800円 |
H | 13,000円~14,000円 | 33,400円 |
I | 14,000円~15,000円 | 36,800円 |
J | 15,000円~16,000円 | 40,200円 |
K | 16,000円~17,000円 | 43,600円 |
L | 17,000円~18,000円 | 47,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 50,400円 |
N | 19,000円~20,000円 | 53,800円 |
O | 20,000円~21,000円 | 57,200円 |
今後の見通しは?
最近の原油価格は落ち着きを見せていて、直近の数字を見ると、基準となるシンガポールケロシンの市況価格は102米ドルで、今回の基準価格の110米ドルから1割近く下がっています。
一方、為替相場の円安傾向も一段落し、乱高下はあるものの143円前後の値動きとなっています。今回の基準価格の149円に比べると4%ほど円高です。
このままの状況で推移すれば、次回の基準価格は14,000円台になり、燃油サーチャージのゾーンは2段階下の「I」になりそうです。
ただ、米国の金利動向は先が読めず、最近の為替は不安定です。中東やウクライナを巡る紛争も終わりがみえません。原油価格や為替に大きな変動があっても不思議でなく、燃油サーチャージの金額が大きく動く可能性もありそうです。(鎌倉淳)