航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の値上がりが一服しました。JALは2022年12月発券分から値下げして、欧米往復が10万円を割り込みます。
基準価格が17,000円台に
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2022年12~2023年1月発券分で、価格を引き下げることを発表しました。2022年4月頃からはじまった燃油サーチャージの急騰は、原油価格の下落により一段落を迎えます。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、12-1月発券分では、基準となるシンガポールケロシンの直近2ヶ月の市況価格が128.12米ドルで、同期間の為替平均が1ドル139円でした。これを乗じた1バレルあたりの金額は17,810円となりました。
10-11月発券分は、市況価格151.56ドル、為替135.18円、基準価格20,488円でしたので、13%値下がりしたことになります。
JALの新サーチャージ金額
これにより、JALでは12月1日発券分から燃油サーチャージの価格を引き下げます。ひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが47,000円に、ハワイ・インドなどが30,500円に、タイ・シンガポールなどが24,700円になります。
これは片道の金額なので、往復で北米・欧州・オセアニアなどが94,000円に、インド・ハワイなどが61,000円に、タイ・シンガポールなどが49,400円となります。
このサーチャージ金額は、2022年8-9月発券分と同額です。2ヶ月ぶりにアメリカやヨーロッパへのサーチャージ往復金額が10万円を割りこみ、タイへの往復は5万円を下回ります
5期前からの燃油サーチャージの変化は下表の通りです。
路線 | 4-5月 | 6-7月 | 8-9月 | 10 -11月 | 12-1月 | 増加率 |
---|---|---|---|---|---|---|
北米・欧州・中東・オセアニア | 20,200 | 36,800 | 47,000 | 57,200 | 47,000 | 232% |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 12,700 | 23,600 | 30,500 | 37,400 | 30,500 | 240% |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 9,800 | 19,600 | 24,700 | 29,800 | 24,700 | 252% |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 5,800 | 12,700 | 17,800 | 22,900 | 17,800 | 306% |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 5,200 | 9,900 | 11,400 | 12,900 | 11,400 | 219% |
韓国 | 1,800 | 4,100 | 5,900 | 7,700 | 5,900 | 328% |
※片道あたり、発券日基準
適用価格表の上限に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンL」に該当します。前回の「O」より3ランク下にあたります。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 17,800円 |
E | 10,000円~11,000円 | 20,200円 |
F | 11,000円~12,000円 | 24,200円 |
G | 12,000円~13,000円 | 28,800円 |
H | 13,000円~14,000円 | 33,400円 |
I | 14,000円~15,000円 | 36,800円 |
J | 15,000円~16,000円 | 40,200円 |
K | 16,000円~17,000円 | 43,600円 |
L | 17,000円~18,000円 | 47,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 50,400円 |
N | 19,000円~20,000円 | 53,800円 |
O | 20,000円~21,000円 | 57,200円 |
ANAは、まだ10月以降の燃油サーチャージを発表していませんが、金額としてはJALと大差ない金額になるでしょう。
世界的なインフレとリセッション入りを背景に、最近の原油価格は落ち着きを見せています。しかし、円安は一段と加速していて、1ドル150円も見えてきました。
基準となるシンガポールケロシンの最新の市況価格は126米ドルで、今回の基準価格の138米ドルを下回っています。しかし、為替相場を150円前後とすると、基準価格は18,900円になり、適用上限表の「M」に該当。今回より上になります。
したがって、このままの状況で推移すれば、2-3月の燃油サーチャージは、また少し値上がりするかもしれません。(鎌倉淳)