航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が、最高値を更新します。JALは2022年10月発券分から引き上げ、欧米往復は11万円を突破します。
基準価格が20,000円を突破
JALは国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、2022年10-11月発券分で大幅に引き上げることを発表しました。4月頃から急騰を始めた燃油サーチャージは、さらなる高値圏に突入します。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、10-11月発券分では、基準となるシンガポールケロシンの直近2ヶ月の市況価格が151.56米ドルで、同期間の為替平均が135.18円。これを乗じた1バレルあたりの金額は20,488円となり、基準価格が初めて20,000円台を突破しました。
JALの新サーチャージ金額
これにより、JALでは10月1日発券分から燃油サーチャージの価格を引き上げます。ひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが57,200円に、ハワイ・インドなどが37,400円に、タイ・シンガポールなどが29,800円になります。
これは片道の金額なので、往復で北米・欧州・オセアニアなどが114,400円に、インド・ハワイなどが74,800円に、タイ・シンガポールなどが59,600円となります。
アメリカやヨーロッパへのサーチャージ往復金額が、ついに10万円を突破し、11万円台となりました。タイへの往復ですら6万円近くになります。格安航空券の本体価格かと見まがうような金額が、サーチャージだけでかかるようになりました。
4期前からの燃油サーチャージの変化は下表の通りです。に比べると、欧米が約2.8倍、東南アジアが約3倍、韓国が約4.2倍などとなっています。
路線 | 4-5月 | 6-7月 | 8-9月 | 10 -11月 | 増加率 |
---|---|---|---|---|---|
北米・欧州・中東・オセアニア | 20,200 | 36,800 | 47,000 | 57,200 | 283% |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 12,700 | 23,600 | 30,500 | 37,400 | 294% |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 9,800 | 19,600 | 24,700 | 29,800 | 304% |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 5,800 | 12,700 | 17,800 | 22,900 | 395% |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 5,200 | 9,900 | 11,400 | 12,900 | 248% |
韓国 | 1,800 | 4,100 | 5,900 | 7,700 | 428% |
※片道あたり、発券日基準
適用価格表の上限に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の上限である、「ゾーンO」に該当します。つまり、現時点で想定している最高値です。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 17,800円 |
E | 10,000円~11,000円 | 20,200円 |
F | 11,000円~12,000円 | 24,200円 |
G | 12,000円~13,000円 | 28,800円 |
H | 13,000円~14,000円 | 33,400円 |
I | 14,000円~15,000円 | 36,800円 |
J | 15,000円~16,000円 | 40,200円 |
K | 16,000円~17,000円 | 43,600円 |
L | 17,000円~18,000円 | 47,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 50,400円 |
N | 19,000円~20,000円 | 53,800円 |
O | 20,000円~21,000円 | 57,200円 |
ANAは、まだ10月以降の燃油サーチャージを発表していませんが、金額としてはJALと大差ない金額になるでしょう。
ただ、幸いなことに、最近になって原油価格は落ち着きを見せており、当面の天井に到達した雰囲気も漂います。円安も一段落しました。
基準となるシンガポールケロシンの最新の市況価格は138.5米ドルで、今回の基準価格の151.56米ドルを下回っています。為替相場も135円前後で、今回の相場平均と同水準です。
したがって、このままの状況で推移すれば、12-1月の燃油サーチャージは少し値下がりするかもしれません。(鎌倉淳)