東武鉄道が新型特急「スペーシア エックス」を2023年7月15日に運行開始します。車両の仕様や料金など、わかっていることの詳細をまとめてみました。
新フラッグシップ特急
東武鉄道の特急「スペーシア」は、浅草~東武日光・鬼怒川温泉を結ぶ、同社の看板列車です。現在は100系車両で運行しています。
東武では、この後継車両として、新たにN100系を導入し、その愛称を「スペーシア エックス(SPACIA X)」とすることを発表しました。東武鉄道の新たなフラッグシップ特急で、運行開始は2023年7月15日です。
1日2~4往復の運行を予定します。4往復を運行するのは主に週末です。時刻表など詳細は未発表ですが、観光に便利な時間帯の発着ダイヤを検討しています。
停車駅は、浅草、とうきょうスカイツリー、北千住、春日部、栃木、新鹿沼、下今市、東武日光、東武ワールドスクウェア、鬼怒川温泉です。
進化したフォルム
外観デザインは、現行スペーシアのフォルムを進化させ、日光東照宮陽明門などの「胡粉(ごふん)」を彷彿とさせる白をイメージしています。窓枠は栃木県の伝統工芸である鹿沼の組子や江戸の竹編み細工などをモチーフにしています。
6両編成で、定員は212名。1両あたり約36名というゆったりした座席配置です。シートバリエーションはスタンダードシート、プレミアムシートのほか、特別座席料金のかかるコクピットスイート、コンパートメント、ボックスシートを備えます。そのほか、カフェ併設のコクピットラウンジもあります。順に見て行きましょう。
スタンダードシート
標準席となるのが、3~5号車の「スタンダードシート」(112席)。2×2の4列シートで、シートピッチは現スペーシアと同じ1,100mm。新幹線グリーン車(1,160mm)には及ばないものの、「普通車」としては贅沢なつくりです。浅草~東武日光間の特急料金(以下同)は1,940円です。
プレミアムシート
上級席が2号車の「プレミアムシート」(35席)です。2+1の3列シートで、電動リクライニングやバックシェル構造を採用。シートピッチは1,200mmと、新幹線グリーン車以上にゆったりしとした作りです。
大型インアームテーブルや読書灯を搭載します。特急料金は2,520円で、「スタンダード」より580円高くなります。
ボックスシート
5号車の一部には「ボックスシート」(4席)が設置されます。といっても、古典的な普通車のボックスシートとは異なり、横幅80cmに一人が座るゆとりある設計です。
2シートが向かい合う形で2組が配置され、半個室の雰囲気でプライベート感が味わえます。スタンダード特急料金にくわえて、特別座席料金として1室400円かかります。
コンパートメント
「コンパートメント」は4名定員の個室です。コの字型ソファーと可変テーブルを採用し、利用者がテーブルのレイアウトを変更させることができます。
ファミリーやグループ旅行向けの部屋といえます。4室あるので、チケットは比較的入手しやすいでしょう。個室料金は1室6,040円です。スタンダードシート特急料金が別途かかります。
コックピットスイート
浅草方先頭車(6号車)には、「コックピットスイート」という個室が設置されます。面積は11平方メートルで、室内にはソファーを配置し、最大7人が利用できます。コンセプトは「走るスイートルーム」で、「スペーシア エックス」の最上級シートとなります。
1車両に一つだけの個室で、展望を独占できるスイートルームだけに高い人気となりそう。個室料金は1室12,180 円です。スタンダードシート特急料金が別途かかります。
コックピットラウンジ
東武日光方の先頭車両となる1号車には「コックピットラウンジ」が設けられます。コンセプトは「時を超えるラウンジ」で、日光金谷ホテルや、日光に残る大使館別荘をモチーフにした落ち着きのある空間を作ります。
4人、2人、1人掛けの各種ソファーがあります。4人用が800円、2人用が400円、1人用が200円の座席料金がかかります。
カフェの看板メニューはクラフトビール「Nikko Brewing」とクラフトコーヒー「日光珈琲」です。ドリンクに合わせて、アペタイザーやスイーツも開発しているそうです。
贅を尽くした
以上が、東武鉄道の新型特急「スペーシア エックス」の概要です。「贅を尽くした」という表現が当てはまるようなリッチな列車で、私鉄豪華特急としては、近鉄「ひのとり」と東西の双璧をなすでしょう。
「スペーシア エックス」は、当面、4編成24両のみが製造されます。現行100系は9編成あるので5編成少なく、現行「スペーシア」がただちに姿を消すわけではありません。
運転区間に新宿が含まれていないことから、「スペーシア エックス」は東武線内でのみ運用され、JR直通はしないようです。(鎌倉淳)