五能線の観光列車「リゾートしらかみ」に、ハイブリッド車両が追加投入されます。対象は「橅(ブナ)」編成で、これまでキハ40系の改造車両で運用されてきましたが、これをディーゼルハイブリッド車両HB-E300系に置き換えます。2016年7月に始まる「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」に合わせて営業運転を開始する予定です。
「青池」に次いで2編成目
現在、「リゾートしらかみ」の車両には、ディーゼルハイブリッド車両HB-E300系の「青池」編成と、キハ40系の「ブナ」編成、「くまげら」編成の計3編成があります。今回はこのうち「ブナ」編成を、ディーゼルハイブリッド式車両HB-E300系へ置き換えるものです。
新型「ブナ」は4両編成(定員約140人)で、最高速度は100km/h。「リゾートしらかみ」のHB-E300系は、「青池」編成に次いで2編成目です。
新サービスの開始を予告
新型「ブナ」編成の外観はブナの木漏れ日を緑色の濃淡で表現。内装は窓を大きくとり、2タイプのボックス席を装備しています。フードカウンターも新たに設置し、沿線にまつわる食も提供する予定です。
JR東日本のプレスリリースでは、「地元の皆様と連携し、五能線沿線を満喫いただける新しい車内サービスをご提供する予定です」としており、これまでの「リゾートしらかみ」にはない、何らかの新サービスが開始されることが予告されています。フードカウンターを設置しているところから、「食」を採り入れた新サービスになるのでしょう。
デザインは、「KEN OKUYAMA DESIGN」(奥山清行氏)が担当。E6系、E7・W7系、山手線の新型車両E235系も手がけていて、鉄道車両のデザインの実績は豊富です。
JR東日本が力を入れる理由
ということで、JR東日本は「リゾートしらかみ」に力を入れています。「ブナ」編成の製造費は約14億円とのことで、ローカル線用の車両の製造費としては大盤振る舞いで、そのやる気がうかがえます。
実際、日本各地を走るリゾートトレインのなかでも、「リゾートしらかみ」の人気は抜きんでていて、最近でも年間10万人が利用しているとのこと。五能線の景観のよさ、白神山地という世界遺産の存在が人気の理由なのでしょうか。
五能線の旅客収入は3億7700万円だが
とはいえ、JR東日本の資料によりますと、2013年度の五能線の旅客運輸収入は年間3億7700万円にすぎません。14億円もする車両を2本も投入して、元が取れるのかとちょっと心配になります。
おそらくは、五能線の立地が秋田新幹線と東北新幹線に挟まれた位置にあり、JR東日本としては「リゾートしらかみ」単体の採算だけでなく、東京などからの観光客が往復の移動に落とすお金も計算しているのでしょう。
何であれ、素晴らしいローカル線に新型車両が投入されることは、とても素敵ですね。