仙台~金沢「ツアー用直通新幹線」時刻表。大宮駅スイッチバックの「東北・北陸新幹線」は定期化できないか?

仙台~金沢間で、ツアー用の直通新幹線が運転されます。これまでにも、仙台~長野や新潟へ直通する新幹線は設定されたことはありますが、東北新幹線と北陸新幹線を直通して仙台~金沢間を直通する列車が走るのは初めてのことです。

運転日は2016年11月7日と8日で、車両はE7系です。定期列車でもあれば便利そうな「東北・北陸新幹線」は、定期化できないのでしょうか。

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北陸新幹線キャンペーンにあわせ

この列車は、JR東日本と JR西日本が連携して展開する「美味しさ五ツ星。北陸新幹線キャンペーン」にあわせて運転されるものです。東北から北陸への旅行商品(ツアー)用の団体臨時列車で、列車名はありません。

通常、東北新幹線から北陸新幹線へは、大宮駅で乗換えが必要ですが、この列車では大宮駅での乗換えを省略することになります。

時刻表は以下の通りです。

仙台・金沢直通新幹線の時刻表

■11月7日 仙台→金沢
仙台10:36発→福島10:59発→郡山11:14発→黒部宇奈月温泉13:52着→富山14:05着→新高岡14:14着→金沢14:30着

■11月8日 金沢→仙台
金沢17:26発→新高岡17:40発→富山17:50発→黒部宇奈月温泉18:03発→郡山20:45着→福島21:08着→仙台21:34着

E7系

乗り換えがないのはメリット

東北新幹線内の停車駅は仙台、福島、郡山のみ。北陸新幹線の停車駅は黒部宇奈月温泉~金沢間の各駅です。大宮駅は運転停車で、金沢行きは12時10分頃、仙台行きは19時50分頃に発着するとみられます。

所要時間は仙台発が3時間54分、金沢発が4時間8分となりました。「はやぶさ」と「かがやき」を乗り継げば3時間半程度で移動することも可能ですから、定期列車よりも速い、というわけではありません。大宮駅での乗り換えを省略できる、というだけです。

とはいえ、それだけでも旅行者にとってはメリットが大きいもの。荷物を抱えた旅行では、乗り換えは少なければ少ないほどいい、というのが多くの旅行者の実感でしょう。

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配線と最高速度がネック

この「東北・北陸新幹線」、定期運転はできないのか、と思ってしまいます。東京~大宮間は新幹線ダイヤが過密なので、大宮で「折り返す」形の東北・北陸新幹線は、運用としても悪くなさそうです。

ただ、JRの関係者に尋ねてみると、「そう簡単ではない」との返事。そもそも定期運転するほどの需要があるか疑問で、仮に需要があったとしても、大宮駅の配線と、東北新幹線の最高速度がネックとなるそうです。

平面交差が避けられず

まず、大宮駅の配線です。大宮駅では、東北新幹線系統と上越・北陸新幹線系統が直通運転する場合、平面交差が発生してしまいます。

仙台方から来た列車が金沢方面へ向かうには、大宮駅で折り返して東北新幹線の下り線を平面交差で抜ける必要があります。金沢方から来た列車が仙台方面へ向かうには、大宮駅で折り返して、東北新幹線の上り線を平面交差で抜ける必要があります。

こうした平面交差は、ダイヤを組む上で大きな制約になります。

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E7系は時速320kmを出せない

北陸新幹線は50Hz区間と60Hz区間にまたがっていますし、碓氷峠には急勾配もあります。そのため、北陸新幹線を走るには、これらに対応している車両でなければなりません。今回のツアー列車では、北陸新幹線用に開発されたE7系が選ばれています。

しかし、北陸新幹線の営業速度は時速260kmに抑えられており、E7系の営業最高速度も時速260kmです。車両の設計上の最高速度は時速275kmとなっていますが、東北新幹線の宇都宮~仙台間の営業最高速度320kmには及びません。

東北新幹線では「やまびこ」「なすの」などが時速275km運転ですので、E7系だけが遅いわけではありません。ただ、東北新幹線内でダイヤ上の制約にはなりそうです。

閑散期限定?

今回、ツアー用の臨時列車が運行するのは、11月上旬の平日です。閑散期でダイヤに余裕のある時期ですから、こうした列車の運行が実現したのでしょう。しかし、定期列車とする場合は、ピーク時でも運転しなければなりませんから、とくに大宮駅の平面交差が大きなネックとなりそうです。

とはいえ、新幹線ネットワークを使って東北地方と北陸地方を結ぶという試みは評価できます。新たな観光流動やビジネス需要を作り出す原動力になるかもしれません。定期化は難しくとも、一般販売もされる臨時列車の運転くらいは期待したいところです。

北海道新幹線とは直通できない?

最後に、北陸新幹線と北海道新幹線の直通運転はどうでしょうか。金沢~大宮~仙台~新函館北斗間の運転です。実現すれば「北・北新幹線」としておもしろいな、などと思ってしまいます。

こちらは、編成長がネックとなりそうです。現在のE7系は12両編成ですが、北海道新幹線のホームは10両までの対応です。したがって、E7系を現設備で使用する限り、「北・北新幹線」は実現できそうもありません。(鎌倉淳)

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