青春18きっぷの2023年度の販売枚数が約62万枚であることがわかりました。リニューアル前の最終年度に、約75億円の売上げがあったことになります。
毎日新聞が報道
JR各社は青春18きっぷの販売枚数を公表していませんが、メディアの取材があれば答えています。
新型コロナの影響もあってか、最近は青春18きっぷに関する一般紙の記事が少なく、販売枚数の報道もありませんでしたが、久しぶりに大手紙が取り上げました。
毎日新聞は、2024年11月12日付「青春18きっぷはどう変わる?」と題する記事を掲載。そのなかで、2023年度の販売枚数を「約62万枚」と紹介しています。
コロナ前には及ばず
当サイトでは、各メディアの報道を基に青春18きっぷの販売枚数を集約し、「青春18きっぷ研究所」というウェブサイトに掲載しています。
これまでにまとめたところでは、2010年代の青春18きっぷの販売枚数は60万~70万枚程度です。新型コロナ禍前の2018年度が約71万枚。新型コロナの影響を受けた2019年度が約61万枚でした。
2023年度の販売枚数は2019年度とほぼ同じで、コロナ前の2018年度には及びません。つまり、コロナ前までの完全回復には至っていなかったといえます。
【青春18きっぷの販売枚数(全国)】
2009年度 74万枚
2010年度 62万枚
2011年度 63万枚
2012年度 65万枚
2013年度 67万枚
2014年度 69万枚
2015年度 71万枚
2016年度 73万枚
2018年度 71万枚
2019年度 61万枚
2023年度 62万枚
販売枚数がリニューアル要因ではない
すでに広く報じられていますが、青春18きっぷは2024年度冬季利用分からリニューアルをして、これまで可能だった分割利用の仕組みを廃止。連続利用のきっぷとなります。
そのため、通年で分割利用が可能だったのは、2023年度が最後です。
2024年度冬季以降の「青春18きっぷ」は、名称こそ同じですが、これまでの青春18きっぷとはいわば別物。すなわち、62万枚という数字は、多くの人に愛された青春18きっぷの最後の販売実績といえます。
その販売枚数は、2010年代の水準と大きくは変わっていません。したがって、青春18きっぷのリニューアルが、販売不振または販売過剰といった事情に起因するわけでないことが、はっきりしたといえます。
どこまで減少するか
青春18きっぷのこれまでの価格は1枚12,050円でしたので、販売枚数が約62万枚であれば、総売上高は約75億円と計算できます。
今後、分割利用が不可になることで、青春18きっぷの販売枚数の減少は避けられず、売上高も減少が見込まれます。
仮に半分に減った場合、30億円台の売上げです。4分の1なら十数億円です。それでも企画きっぷとしては優秀な成績なので、この程度の販売枚数を維持できるなら、JRとしても販売を続けていくでしょう。
販売実績や利用状況によっては、さらなるルール変更がおこなわれる可能性もあります。多くの旅行者に愛された青春18きっぷは、これからどう変わっていくのか。販売実績からも注目したいところです。(鎌倉淳)