青春18きっぷで「日本縦断」が不可能に。3月ダイヤ改正、接続悪化で

五稜郭駅で乗り継げず

2021年3月のJRダイヤ改正で、青春18きっぷ1枚での日本縦断が不可能になります。肥薩線の不通に加えて、途中の接続が悪くなるためです。

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日豊線ルートのみに

青春18きっぷでの日本縦断とは、5日間で稚内駅から西大山駅(南行)または、西大山駅から稚内駅(北行)まで普通・快速列車のみで旅行することです。青春18きっぷのみで通過できない津軽海峡区間では、オプション券により北海道新幹線を利用します。

2020年3月ダイヤ改正までは、南行、北行とも、青春18きっぷでの日本縦断は可能でした。ところが、2020年7月豪雨で肥薩線が不通になると、北行が到達不能に。残る乗り継ぎルートは、南行の日豊線経由のルートのみとなっていました。すなわち、以下の乗り継ぎです。

◇1日目
稚内05:20-名寄08:47
名寄10:01-旭川11:28
旭川13:47-滝川14:38
滝川14:45-岩見沢15:24
岩見沢15:40-白石16:15
白石16:23-苫小牧17:24
苫小牧17:35-東室蘭18:43
東室蘭18:47-長万部20:21
長万部21:26-森22:40
……森泊

◇2日目
森05:32-五稜郭07:01
五稜郭07:12-木古内08:07(道南いさりび鉄道=北海道新幹線オプション券利用)
木古内09:48-奥津軽いまべつ10:22(はやぶさ16号=北海道新幹線オプション券利用)
津軽二股12:52-青森14:01
青森14:05-弘前14:45
弘前14:50-秋田17:27
秋田18:03-酒田19:48
酒田19:54-村上22:00
村上22:25-新津00:06
……新津泊

◇3日目
新津05:37-長岡06:31
長岡10:34-水上12:52
水上13:14-新前橋14:06
新前橋14:10-高崎14:20
高崎14:24-熱海18:01
熱海18:06-沼津18:26
沼津18:31-浜松20:10(ホームライナー浜松3号=別途乗車整理券が必要)
浜松20:12-豊橋20:46
豊橋20:55-米原23:10
……米原泊

◇4日目(平日)
米原04:58-大阪06:44
大阪06:51-姫路07:56
姫路08:01-岡山09:29
岡山09:31-糸崎11:06
糸崎11:20-岩国13:35
岩国14:09-下関17:19
下関17:23-小倉17:38
小倉18:59-中津20:04
中津20:25-大分22:07
大分22:31-佐伯23:53
……佐伯泊

◇5日目
佐伯06:18-延岡07:26
延岡07:35-都城10:50
都城13:03-隼人15:33(吉都線経由)
隼人16:15-鹿児島中央17:03
鹿児島中央17:12-指宿18:23
指宿18:35-西大山18:53
……ゴール!

日豊線813系

2021年ダイヤ改正で

この乗り継ぎが、2021年3月13日ダイヤ改正で、どう変わるのでしょうか。時刻表をたどって、青春18きっぷによる日本縦断を試みると、以下のようになります。

◇1日目
稚内05:20-名寄08:46
名寄10:01-旭川11:28
旭川13:47-滝川14:38
滝川14:45-岩見沢15:24
岩見沢15:40-白石16:15
白石16:23-苫小牧17:24
苫小牧17:35-東室蘭18:43
東室蘭18:58-長万部20:21
長万部21:16-森22:30
森……泊

1日目の北海道内ダイヤは大枠で変更はなく、森泊は変わりません。

◇2日目
森05:32-五稜郭07:01
五稜郭09:07-木古内10:14(道南いさりび鉄道=北海道新幹線オプション券利用)
木古内13:01-奥津軽いまべつ13:35(はやぶさ28号=北海道新幹線オプション券利用)
津軽二股15:54-蟹田16:16
蟹田16:25-青森17:13
青森17:26-弘前18:12
弘前19:20-秋田22:01
秋田22:27-羽後本荘23:10
羽後本荘……泊

2日目は、五稜郭から木古内への道南いさりび鉄道の始発列車の時刻が、旧ダイヤの7時12分発から新ダイヤでは6時56分発に繰り上がり、森からの列車の到着5分前に出発してしまいます。このため、道南いさりび鉄道は次発列車となり、木古内到着が約2時間遅れます。乗れる「はやぶさ」は午後の列車になり、1日目は羽後本荘まで到達するのが精一杯、となります。

◇3日目
羽後本荘05:33-酒田06:39
酒田07:02-村上09:38
村上09:53-新潟11:05
新潟11:07-長岡12:21
長岡12:34-越後湯沢13:51
越後湯沢15:08-水上15:46
水上15:53-高崎16:56
高崎16:59-小田原20:25
小田原20:34-熱海20:57
熱海21:11-沼津21:32
沼津21:35-静岡22:31
静岡22:41-浜松23:53

2日目に発生した遅れを3日目も取り戻せず、浜松泊まりとなります。ダイヤ改正前は米原まで行けていたので、大幅な後退です。

◇4日目
浜松06:01-大垣08:07
大垣08:11-米原08:46
米原08:48-姫路11:18
姫路11:35-相生11:54
相生12:26-岡山13:37
岡山13:50-糸崎15:21
糸崎15:39-広島16:58
広島17:09-岩国18:01
岩国18:17→下関21:33
下関21:44→小倉21:58
小倉22:11-柳ヶ浦23:34
……柳ヶ浦泊

4日目は、旧ダイヤなら佐伯まで行けたのですが、新ダイヤでは柳ヶ浦泊まりとなります。

◇5日目
柳ヶ浦05:51-佐伯08:35

このように、佐伯に5日目の午前8時半頃に到着しますが、その先の列車がありません。鉄道に詳しい方ならご存じのとおり、佐伯~延岡間の下りの普通列車は午前6時台の1本だけで、この列車に乗らなければ、この区間を乗り越えることはできません。

すなわち、4日目に佐伯まで到着することが、青春18きっぷで日本縦断の必須条件なのですが、新ダイヤでは実現できません。

北行は現ダイヤでも日豊線経由では5日間で到達できず、新ダイヤでも変わりはありません。したがって、肥薩線の不通が続く限り、南北双方向で青春18きっぷによる日本縦断はできなくなることになります。

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青春18きっぷ登場以来初?

2015年3月の北陸新幹線開業までは、日本海縦貫ルートが使えたため、青春18きっぷによる日本縦断は難しくありませんでした。しかし、同新幹線開業により直江津~金沢間で青春18きっぷが使えなくなったことで、東京を経由しなければならなくなり、青春18きっぷによる日本縦断は行程が厳しくなりました。

1982年の青春18きっぷの発売開始以来、「日本縦断」がずっと可能だったのかは定かではありません。試みに手元にある1983年の時刻表を確認してみますと、札幌~函館間の夜行鈍行が威力を発揮し、5日間での乗り継ぎが可能です。1998年の時刻表では、道内夜行はなくなりましたが、各地で普通列車が速達化して本数も増え、やはり実現可能です。

細かい検証はしていませんが、青春18きっぷで日本縦断ができなくなったのは、ひょっとしたら今ダイヤ改正が初めてかもしれません。

寂しいダイヤ改正に

今回、日本縦断ができなくなった直接的な原因は、道南いさりび鉄道の木古内行き始発列車の時刻繰り上げです。各地の終電繰り上げなど列車本数削減が影響しなかったとはいえませんが、それよりは津軽海峡区間で一本遅くなってしまったことが、直接的な原因といえます。

時代をさかのぼって遠因をたどれば、整備新幹線の開業により、東北、北陸、鹿児島の各線の一部区間が第三セクターに移管されたことが大きな原因です。そして、2020年7月の豪雨で肥薩線が長期不通になってしまったことで、乗り継ぎが決定的に難しくなりました。

その点で、「減量ダイヤの結果、日本縦断ができなくなった」とは言えないのですが、寂しい話題の多いダイヤ改正に、さらに暗い話題を投げかける形になってしまった観があります。

こんなハードな旅を実践する人はほとんどいないとは思いますが、一つの時代が終わったような、象徴的な事例に感じられます。

一筋の光明を述べるとすれば、肥薩線の再建でしょう。同線は壊滅的な打撃を受けたので、復旧がいつになるのかは全く見通せませんが、復旧と同時に「青春18きっぷによる日本縦断」が再び実現可能になるのでは、と期待したいところです。(鎌倉淳)

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