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札幌地下鉄、延伸計画は動き出すか。 清田、手稲方面が候補に

路線バス運転士不足で

札幌市で地下鉄延伸事業が動き出すかもしれません。背景にあるのは路線バスの運転士不足。住民の足を確保するため、市が交通体系を見直すための調査に着手します。候補となるのは、清田や手稲方面への延伸ですが、実現するのでしょうか。

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新年度予算案に調査費計上

札幌市が新年度予算案に、バスや地下鉄の利用など、現状の交通体系のあり方を調査する費用として、約1000万円を盛り込む方針であることが明らかになりました。

路線バスの運転士不足が深刻化し、札幌市内で減便や廃止が相次いでいることを受けたものです。

札幌市営地下鉄東豊線

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秋元市長が宣言

札幌市の地域メディア「ひろまある」によりますと、札幌市の秋元克弘市長は、2026年1月7日に開かれた清田区新年交礼会で、「今後もバスの減便が続くという状況を考えたときに、市民の足をどう守るかという視点で、地下鉄を含めた交通体系を考えていかなければならない」と発言しました。

さらに、「新年度には、こういった視点での新たな検討を行う。たとえば、バスが20台(運転手さん20人)必要な人員輸送を地下鉄なら運転手1人で運べる。人手不足、人材確保の観点から公共交通がどうあるべきかという視点で検討を進めたい」と述べ、バス運転士不足の解決策として、地下鉄延伸も視野に入れた調査をすることを明らかにしています。

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清田、手稲が候補

札幌市内で、地元住民らが地下鉄延伸を求めているのは2カ所です。ひとつが東豊線の清田延伸、もう一つが東西線の手稲延伸です。

清田延伸については、2001年にまとめられた札幌市の総合交通対策調査審議会で検討されました。その答申資料によれば、延長区間は福住~清田間の4.2km。札幌ドーム、東月寒、北野、清田の4駅を設置します。事業費は当時の試算で1050億円です。

手稲延伸については、答申などはありませんが、地元の期成会では、東西線の宮の沢からJR手稲駅を経て、北海道科学大学付近(下手稲通)に至る約6kmを想定しています。

札幌市総合交通計画改定版
画像:「札幌市総合交通計画改定版」より
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採算性のカベ

現時点では、新年度に調査に着手する、という以上のことは決まっていません。そのため、延伸の実現性も見通せません。

よく知られているとおり、鉄道新線を建設する場合、費用便益比や収支採算性で基準をクリアしなければ、国の補助金を獲得できないという課題があります。建設費が高騰するなか、地方都市の地下鉄の末端部分で、こうした基準をクリアするのは、簡単ではなさそうです。

実際、清田延伸については、先述の答申時に収支採算性の調査もおこなわれており、累積収支の黒字化の年数が33年と見込まれました。基準は30年以内なのでクリアできず、実現に至らない一因となりました。

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市営地下鉄は大目に見る?

ただ、風向きは変わっています。2022年の国会では、国交省の鉄道局長が、「収支採算性については、地方の公営の場合は事業主体がしっかりしていることから、より柔軟に対応している」と答弁しています(2022年2月16日衆議院予算委員会、上原敦鉄道局長、荒井優議員への答弁)。

市営地下鉄の場合、採算性については大目にみると、国が認めているわけです。となると、補助金を得るハードルも下がります。

そもそも、今回の場合は、バスの運転士不足で、大都市内の公共交通すら維持できなくなっているという、切実な理由が存在します。

とくに、清田方面はJR線もなく、軌道系交通機関が他にありませんので、地下鉄を作らなければ、運転士不足で住民の足が失われてしまうかもしれません。ならば、「柔軟な対応」で、事業着手する可能性もありそうです。(鎌倉淳)

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