「東京往復スーパー早特きっぷ」が値上げです。「東京往復スーパー早特きっぷ」は、山陽新幹線エリアから東京・横浜への格安新幹線チケットとして知られていて、14日前までの購入で、新幹線が大幅割引になります。現在の割引幅は約25%にも及び、東海道・山陽新幹線では最大級の格安チケットとして知られてきました。その割引幅が普通車で約19%に縮小されます。
2014年10月1日から
値上げが行われるのは2014年10月1日からです。JR西日本のプレスリリースには、『「東京往復スーパー早特(はやとく)きっぷ」「のぞみ早特往復きっぷ」の発売について』とさりげないタイトルが付けられており、「値上げ」とは一切書かれていません。そのため、あやうく見落とすところでした。
画像:JRおでかけネットより
JR西日本の最新の「東京往復スーパー早特きっぷ」の価格表によりますと、代表区間である岡山・広島~東京の価格は以下のように変更されています。「→」の左が2014年9月30日まで、右が2014年10月1日からです。
◆岡山~東京都区内(往復)
普通車用24,690円(約25%割引)→26,500円(約19%割引)
グリーン車用32,910円(約25%割引)→34,700円(約20%割引)
◆広島市内~東京都区内(往復)
普通車用26,740円(約25%割引)→28,500円(約19%割引)
グリーン車用36,000円(約28%割引)→37,700円(約25%割引)
「東京往復スーパー早特きっぷ」には、上記以外にも福山、新尾道、三原、新岩国、徳山、新山口発と横浜市内着がありますが、いずれも値上げされています。
似たきっぷに、7日前まで予約の「のぞみ早特往復きっぷ」がありますが、こちらは値上げされていません。岡山発が28,880円、広島発が31,890円で据え置きです。「東京往復スーパー早特きっぷ」との差額が2,000円~3,000円程度に縮まりました。
LCC春秋航空は考慮せず?
この時期に山陽新幹線の長距離チケットが値上げされた背景として、競合するJALとANAの運賃値上げが関係しているとみられます。JAL、ANAは、普通運賃を2014年7月に大幅値上げしました。東京~広島間を例に取ると、JAL、ANAともに普通運賃31,990円が34,890円に値上げされています。割引運賃に関しては、直近のJALの先得割引では12,000円~16,000円程度、21日前まで購入の特便割引では13,000円~14,000円程度になっています。このため、「東京往復スーパー早特きっぷ」の割引幅を縮小しても競争できるとJRが判断したとみられます。
広島空港にはLCCの春秋航空の成田路線が開設されたばかりですが、LCCの成田路線とは直接競合関係にならない、との判断も働いているのかもしれません。
航空運賃もJRの運賃も、普通運賃以外の値上げはほとんどニュースになりません。そのため、利用者はなかなか気づきにくいですが、こうした「静かな値上げ」は今後も続いていくとみられます。