山陽新幹線、割引きっぷを一斉値上げ。「スーパー早特きっぷ」「EX早特」など

航空会社と協調?

JR西日本が「スーパー早特きっぷ」「こだま指定席きっぷ」など、山陽新幹線関連の割引きっぷを一斉値上げします。値上げ率は区間により10~20%以上に達します。

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特別企画乗車券の見直し

JR西日本は、2022年4月1日より、特別企画乗車券の見直しをすると発表しました。山陽新幹線関連の割引きっぷについては、一斉に値上げします。

値上げとなるのは、「スーパー早特きっぷ」「スーパー早特21」「こだま指定席きっぷ」「おとなびWEB早特」のほか、「EX予約サービス」や「eきっぷ」「EX早特」などの一部区間でも値上げとなります。

また、「大分往復割引きっぷ/宮崎往復割引きっぷ」「新幹線&やくも早特3」など、新幹線と在来線を乗り継ぐ割引きっぷの多くが販売を終了します。

山陽新幹線

スーパー早特きっぷ

まずは、山陽新幹線を代表する割引きっぷである「スーパー早特きっぷ」(14日前までに購入)について見てみます。以下のような価格改定となります。

「スーパー早特きっぷ」新旧価格(円)
設定区間 新価格 旧価格 値上率
新大阪 ~ 小倉 ・博多 11,690 10,480 12%
新神戸 ~ 小倉・博多 11,690 10,470 12%
新大阪・新神戸 ~ 熊本 14,390 13,100 10%
新大阪・新神戸 ~ 鹿児島中央 16,970 14,670 16%
新大阪・新神戸 ~ 長崎 14,800 13,100 13%
新大阪・新神戸 ~ 大分 14,010 12,530 12%
岡山 ~ 熊本 13,850 12,730 9%
岡山 ~ 鹿児島中央 15,800 14,260 11%
広島 ~ 熊本 11,710 11,200 5%
広島 ~ 鹿児島中央 14,560 13,240 10%

 

最重要区間である新大阪・新神戸~小倉・博多間では12%の値上げ。また、飛行機との競合が激しく割引率が高かった新大阪・新神戸~鹿児島中央では、全体で最も高い16%の値上げ率となっています。

さらに、新大阪・新神戸~佐世保間に関しては、「スーパー早特きっぷ」の設定自体がなくなりました。

21日前までに購入の「スーパー早特きっぷ」についても、新大阪・新神戸~鹿児島中央間で11%の大幅値上げとなっています。新大阪・新神戸~熊本間は2%と小幅な値上げにとどまりました。

「スーパー早特21」の新旧価格(円)
設定区間 新価格 旧価格 値上率
新大阪・新神戸~ 熊本 12,470 12,220 2%
新大阪・新神戸 ~ 鹿児島中央 14,700 13,240 11%
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こだま指定席きっぷ

次に、山陽新幹線の「こだま」号を利用できる「こだま指定席きっぷ」をみてみましょう。設定区間が多いので、ここでは大阪発着と広島発着を取り上げます。

「こだま指定席きっぷ」新旧価格(円)
設定区間 新価格 旧価格 値上率
大阪~岡山 4,600 3,870 19%
大阪~新倉敷 5,740 4,790 20%
大阪~福山 5,990 4,990 20%
大阪~新尾道 6,320 5,700 11%
大阪~三原 6,570 5,910 11%
大阪~東広島 7,640 6,820 12%
大阪~広島 7,810 6,820 15%
広島~神戸 7,640 6,820 12%
広島~西明石 6,810 6,010 13%
広島~姫路 6,320 5,700 11%
広島~相生 5,990 4,990 20%
広島~岡山 4,600 3,870 19%
広島~新倉敷 4,020 3,870 4%
広島~福山 3,770 3,360 12%
広島~新山口 4,020 3,870 4%
広島~厚狭 4,600 3,870 19%
広島~新下関 4,840 4,480 8%
広島~小倉 5,740 4,690 22%
広島~博多 6,810 5,910 15%

 
ご覧のとおり、最大の値上げ率となるのが広島~小倉間の22%です。その他の主要区間では、大阪~岡山間が19%、大阪~広島間が15%などとなっています。値上げ率の小さい区間もあるものの、全体的には10%~20%の大幅値上げとなっています。

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おとなびWEB早特

おとなび会員限定の「おとなびWEB早特」も値上げされます。おとなびは50歳以上の会員組織ですが、無料で会員登録できますので、50歳以上なら誰でも利用できるお得なきっぷです。

「おとなびWEB早特」新旧価格(円)
設定区間 列車 新価格 旧価格 値上率
新大阪~岡山 のぞみ 5,070 4,430 14%
新大阪~広島 のぞみ 8,490 7,430 14%
新大阪~博多 のぞみ 12,470 10,910 14%
新大阪~岡山 こだま 3,670 2,450 50%
新大阪~広島 こだま 6,250 4,160 50%
新大阪~博多 こだま 9,160 6,100 50%
新大阪~出雲市 のぞみ 10,250 8,960 14%

※「のぞみ」はのぞみ、みずほが利用可。「こだま」はこだまと一部のひかりが利用可。

おとなびWEB早特には「のぞみ・みずほ」に乗れるタイプと、「さくら・ひかり」に乗れるタイプ、さらに「こだま」(一部「ひかり」含む)に乗れるタイプの3種類がありますが、ここでは「のぞみ・みずほ」タイプと「こだま」タイプを取り上げます。

驚かされるのは、「こだま」タイプ。50%の大幅値上げとなります。もともと破格すぎたきらいはあるものの、値上げ率の高さは目を引きます。

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EX予約サービス

東海道・山陽新幹線の会員制サービスであるエクスプレス予約でも、山陽新幹線の一部区間が値上げとなります。エクスプレス予約の基礎的なチケットである「EX予約サービス」の価格をみてみます。

「EX予約サービス」新旧価格(円)
設定区間 新料金 旧料金 値上率
新大阪~広島 9,740 9,320 5%
新大阪~徳山 11,620 10,750 8%
新大阪~新山口 12,170 11,300 8%
新大阪~小倉 13,720 12,610 9%
新大阪~博多 14,600 13,490 8%

※普通車指定席の価格

新大阪発着でみてみると、値上げとなるのは東広島以遠です。新大阪~広島間が5%、それより遠くなると8~9%の値上げです。エクスプレス予約の基礎的チケットの価格がこれだけ上がるのは驚きです。

詳細は略しますが、エクスプレス予約で特急券のみの基礎的チケットである「e特急券」も値上げとなります。e特急券と同額の「eきっぷ」(J-WESTカード専用)も値上げです。

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EX早特

エクスプレス予約の割引きっぷである「EX早特」はどうでしょうか。EX早特は無料会員制サービスのスマートEXでも購入できますので、エクスプレス会員以外にも影響します。

「EX早特」新旧価格比較(円)
設定区間 新料金 旧料金 値上率
京都・新大阪~小倉・博多 13,820 12,570 10%
新大阪・新神戸~小倉・博多 13,140 12,000 10%

※普通車指定席の平日価格

京都・新大阪・新神戸~小倉・博多間で10%の値上げとなっています。

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発売終了商品

2022年3月で発売を終了する山陽新幹線関連の商品としては、「e早特」「WEB早特3」「大分往復割引きっぷ/宮崎往復割引きっぷ」「新幹線&やくも早特3」「阪神往復割引」があります。

このうち、e早特とWEB早特3は、設定区間が新大阪・新神戸~熊本・鹿児島中央であることから、エクスプレス予約が同時期に九州新幹線で利用可能になることにともなう措置とみられます。

それ以外の割引きっぷに関しては、特別な事情はなさそうなので、たんなる割引の縮小のようです。

在来線では割引拡大も

JR西日本は、山陽新幹線以外についても、2022年3月から4月にかけて割引きっぷの新規設定や廃止、価格変更などを実施します。

全てが値上げというわけではなく、たとえば近畿圏の在来線特急では、「WEB早特」を新たに設定しました。そのため、割引サービスが拡大した区間もあります。

これには事情があり、近畿圏の在来線特急では2022年3月ダイヤ改正で自由席を廃止・縮小するため、新たな割引きっぷはその救済措置としての意味があります。

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航空会社との「協調値上げ」?

これに対し、山陽新幹線では割引サービスの拡大は見受けられません。特に、飛行機と競合する関西~九州エリアでの割引が大幅に縮小されてしまいます。

背景として、航空会社側の経営状況の厳しさがあるのでしょう。大手航空会社もLCCも、新型コロナでの旅客減少は鉄道会社より深刻で、格安チケットを濫発する余力はありません。JRとしては、それを見越したうえで、飛行機との競合が激しい区間で事実上の値上げに踏み切ったとみられます。

悪い言い方をすれば、航空会社と呼吸を合わせて「協調値上げ」を試みていると受け取ることもできるでしょう。ただ、JR西日本の経営状況は本州3社のなかでもひときわ厳しく、正規料金の値上げすら視野に入る状況です。正規運賃・料金改定より先に、割引縮小に手を付けるのは当然ともいえます。

山陽新幹線は、東海道新幹線に比べて、これまで値引きが大きかったという事情もあります。とはいえ、利用者の懐には厳しい話です。(鎌倉淳)

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