鉄道利用が再び減少の兆し。「GOTO」継続も効果に限り

10月が当面のピークか

鉄道利用者が10月をピークに減少に転じる兆しをみせています。近郊電車はすでに減少に転じ、中長距離の予約も鈍っているようです。

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減少に転じた在来線

JR西日本とJR東海が、2020年11月鉄道利用状況の速報を発表しました。JR西日本によると、近畿圏の11月の在来線利用者は対前年同月比で76%となり、10月の79%を下回りました。

近距離の運輸取扱収入は71.4%で、10月の74.9%を下回っています。鉄道利用者の実数もきっぷの売上げも減っているのです。

JR東海も、11月の利用状況の速報(25日利用分まで)を公表しています。名古屋近郊の在来線は対前年同月比74%で、10月に比べて5ポイント減となっています。

大阪環状線323系

JR東日本や、主要私鉄各社は11月の速報をまだ発表していません。ただ、新型コロナウイルス感染症が拡大してから、主要鉄道各社の対前年比はどの会社もおおむね同様の傾向を示しています。そのため、各社とも11月の近郊電車の利用状況は10月に比べて落ちこんでいるとみられ、10月をピークに下落に転じた可能性が高そうです。

新幹線・特急は微増

新幹線や特急といった中長距離列車は傾向が異なります。JR西日本の11月の利用者数は、山陽新幹線が対前年同月比54%で10月に比べ7ポイント増。在来線特急が48%で同5ポイント増です。つまり、新幹線・特急の11月の利用者は、10月に比べ微増という結果になっています。

JR東海も同様で、新幹線東京口は50%で10月に比べて4ポイント増。在来線特急は53%で同4ポイント増。いずれも11月の利用者数は10月より増えています。

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逆の動きをしている理由

近郊電車と新幹線・特急の利用状況が逆の動きをしている理由を考えるのは難しくありません。11月下旬から新型コロナウイルス感染症の患者数が激増したため、予約不要の近場のおでかけが減ったものの、新幹線・特急の利用者は、前から予定を組んで予約しているので、すぐには減少しないのでしょう。

逆に言えば11月の感染増加や、大阪市・札幌市発着のGOTOキャンペーンの除外を受けて、これから新幹線・特急の利用者も減少に転じるとみられます。

実際、JR西日本の運輸取扱収入では、11月の中長距離は46.1%で10月に比べ8.3ポイントも減少しています。遠くへ出かける予約を取る動きが、すでに減っていることを示しています。

利用者は冷静に判断

新型コロナウイルス感染症の第三波が拡大している一方で、政府はGOTOキャンペーンの継続を貫いています。しかし、鉄道利用者は、近距離も中長距離も減少に転じているようです。

利用者たる国民は、冷静にリスクを判断しているのでしょう。いくら旅費が安くても、感染リスクに釣り合わなければ旅行を控えるという、ごく当たり前の話です。そういう状況では、キャンペーンに関係ない外出も控える動きが広まります。

結局のところ、新型コロナが収まらなければ、GOTOキャンペーンを継続してもその効果に限りがあるわけです。交通機関の利用者を完全に回復させるには、感染を押さえ込むのに全力を尽くすのが早道、ということかもしれません。(鎌倉淳)

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