ピーチ・アビエーションが2013年5月22日より座席指定料と手荷物料金を値上げ。LCCで相次ぐ「手数料値上げ」の背景は?

格安航空会社LCCのピーチ・アビエーション(以下、ピーチ航空)が、2013年5月22日より、価格の一部を値上げします。今回値上げされるのは座席指定料金の一部と、受託手荷物料金です。

座席指定料金に関しては、これまで「スタンダードシート」「プレジャーシート」(前方席)「ストレッチシート」(足の伸ばせる席)の3種類だったものに、「ファストシート」(最前列)を追加。スタンダードシート座席指定料金は、国内線210円を250円に値上げ、国際線320円を400円に値上げします。プレジャーシートとストレッチシートの料金は据え置きですが、これまでストレッチシートに分類されていた最前列はファストシートになり、国内線840円を1260円に値上げ、国際線1280円を2000円に値上げとなります。一方、「ハッピーピーチプラス」で予約すると、これまで有料だったプレジャーシートの座席指定が無料になり、この点は実質値下げといえます。

ピーチ手数料
       画像:ピーチ・アビエーションウェブサイト

受託手荷物料金に関しては、これまで国内線で1個につき1050円、国際線で1個につき1600円だったものが、「Zone」によって料金が異なる体系となりました。新体系では、Zoneは4つに分類され、「Zone1」が国内線近距離、「Zone2」が国内線遠距離、「Zone3」が国際線近距離、「Zone4」が国際線遠距離です。たとえば、大阪から九州エリアはZone1、大阪から韓国はZone3などとなっています。このうち、Zone1では受託手荷物1個につき1000円となり、わずかながら値下げとなりました。一方、Zone2が1600円、Zone3が2000円、Zone4が2600円となり、これらはいずれも値上げです。要するに、大阪から九州エリア以外の路線の受託手荷物料金は、全て値上げとなります。

ピーチ航空は、機内持込手荷物について、2013年4月22日より、「三辺の和の総計が115cm以内の荷物」を1個と、身の回り品1個までに制限しています。今回、さらに受託手荷物料金を値上げしたことで、手荷物料金の収益を上げる方策に出たといえます。

手数料の値上げは、日本の格安航空会社LCCで相次いでいます。ジェットスター・ジャパンも2013年4月10日より支払手数料200円を300円に値上げしています。それ以前にも、2012年11月には受託手荷物料金を100円から200円値上げし、さらにオプション料金の値上げも実施しました。エアアジア・ジャパンも2012年10月に、受託手荷物料金の当日支払料金1600円を2000円に値上げしています。

こうした手数料値上げの背景には、日本の格安航空会社LCCが経営的に苦しんでおり、ビジネスモデルの再構築を迫られているという事情がありそうです。「日本的LCC」は、海外LCCと異なり、手数料水準を低くしてスタートしました。高額の手数料は日本の風土に合わない、という判断だったと思われますが、そのビジネスモデルでは採算が取れない、ということなのでしょう。

ピーチ航空はLCC3社のなかで、もっとも成功していると見られています。それでも、搭乗率は必ずしも当初見込みには達していないようで、乗客の少ない平日で一部の便を運休するなどの措置をとっています。機材を限界まで回転させるのがLCCの本来のビジネスモデルですが、それで十分な搭乗率を達成するのが難しいという問題にも直面しているようです。

「低手数料」「高機材効率」を掲げてスタートした日本のLCCですが、各社とも「高手数料」「低機材効率」に舵を切り始めた。LCCで相次ぐ手数料値上げの背景には、こうした日本的LCCのビジネスモデルの再構築への模索がありそうです。

とはいえ、こうした手数料を含めても、大手航空会社より格安航空会社LCCのほうが低価格である、という事実は変わりません。利用者としては、表示価格に惑わされるのではなく、手数料も含めた総額を確認したうえで、賢く使いたいものです。

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