フジドリームエアラインズ(FDA)は、2017年夏ダイヤの静岡~札幌線の全便を、丘珠空港発着にすると発表しました。2017年3月26日から10月29日まで、毎日1便運航します。
新千歳発着を全便移管
FDAの静岡~札幌線は、破綻したJALの路線を引き継ぎ、2010年から新千歳空港発着で運航を開始しました。2016年6月から、夏期限定で丘珠発着便を週2往復運航しています。
この丘珠便が好調で、搭乗率は想定を上回る69.9%に達したとのことです。そのため、週5往復設定していた新千歳発着便を全て丘珠発着に移管し、2017年夏季の静岡~札幌線は、丘珠発着便のみデイリー運航することになりました。
機材はこれまでと同じで、エンブラエル170(76席)/同175(84席)を使用します。
運航は夏季のみ
丘珠空港の滑走路長は1500mしかありません。そのため、離発着ができるのは主にプロペラ機です。しかし、2013年にFDAがエンブラエル170を用いてテストフライトを実施し、民間ジェット旅客機として初めて同空港に離着陸しました。
2013年11月以降、同社はチャーター便として静岡~丘珠線を運航し、2016年6月に夏期限定で週2往復の定期便化に踏み切ったという経緯があります。
丘珠空港の滑走路長では冬季の離発着に難があり、ジェット機による運航は夏季に限られます。FDAの丘珠線も、冬季は設定されません。
運航ダイヤは未発表です。参考までに、2016年夏ダイヤを掲載しておきます。
173便 静岡11:30→13:15丘珠
174便 丘珠13:45→15:35静岡
滑走路延長は進まず
札幌の基幹空港は、いうまでもなく新千歳空港です。ただ、最近は発着便数が急増して、滑走路もターミナルも混雑しています。
一方、丘珠空港は札幌市中心部に近いものの、発着枠には余裕があります。滑走路の延長によるジェット機対応も検討されましたが、周辺は市街地化が進んでおり、騒音問題や事故への不安があって進んでいません。
周辺住民の理解が不可欠
フジドリームエアラインズの須川恒次社長は、2015年9月18日のセミナーで講演し、「丘珠の滑走路が現在の1500mから1700mになれば良い。冬も飛べて通年運航ができれば丘珠から道内ネックワークを構築したい」と話しています。
こうした構想が実現できるかはなんともいえませんが、今後、MRJなど低騒音小型ジェット機が増えていく見通しがあります。新しい機材の性能も考慮に入れれば、丘珠空港活用の可能性は広がるでしょう。
一方で、空港の活用には周辺住民の理解が不可欠です。周辺住民との話し合いを持ちながら、丘珠空港をどこまで有効に使えるか。じっくり探って欲しいところです。(鎌倉淳)